【完結保証】僕の異世界攻略〜神の修行でブラッシュアップ〜

リョウ

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旅立つ者。

エスナの旅立ち。

 エスナが旅立つ前の日になった。
僕はエスナに何かをしてやりたいと思って厨房を覗く。マスが休憩していた。

「坊ちゃん、なんのようだい?」
「エスナが、明日、旅立つの」
「そうだな」
「最後に、美味しいもの、作るの」
「何を作るんだい?」
「牛肉、ワインで茹でるの」
「なんだい、その料理は?」
「牛肉と、タマネギある?」
「あるよ」
「ワインは?」
「料理用にはないが、従業員用のワインがあるぜ」
「ドンナーある?」
「ちょっとそこまで行って買ってくるよ」
「はい」

 マスに買い物に行かせて僕はタマネギをみじん切りする。なお、タマネギはタマネギっていう名前だ。なんでだ?煮込むのである程度なくなるがきっちり丁寧にみじん切りする。名前はわからないがニンニクらしいものを三欠片取り出し皮をむいて縦に半分切って芯を取り除いた。
 牛肉を一口大の大きさにする。今日の牛肉は魔獣の牛だと言う。大差ないかと思うが一応焼いてみる。最近買いたした魔法道具のコンロがいい具合に肉を焼く。味わってみたが普通の牛肉と違いがわからなかった。牛肉を一口大の大きさに切り、塩胡椒を振りかけ、小麦粉を混ぜる。

 そこまでやった所でマスが戻ってきた。

「ドンナー買ってきたぜ」
「ありがと。ドンナーをお湯で茹でるよ」

 ドンナー(トマト)に十字の切り込みを入れて、お湯に浸ける。皮を湯むきして取り出した後一口大にカットした。

「マスー。これで仕込み終わり」
「意外と簡単なんだな」
「そう。タマネギみじん切り、肉に塩胡椒と、小麦粉、皮を剥いた、ドンナーを一口大で、終わり」
「これから作るのかい?時間早くないか?」
「煮込むから、ちょうど良い」
「そうなんだな」

 まずは鍋に油を引いてニンニクっぽいのを入れる。香りがついたところに牛肉を投入。焼き色がついたら牛肉を取り出し、その鍋に今度はタマネギのみじん切りを入れタマネギの色が変わるまで炒めて牛肉を戻して小麦粉を入れる。

「この小麦粉は何の為に入れるんだい?」
「んー。なんとなく」

 地球で料理本を見ながら作ったから、何でと言われてもよくわからないんだよね。

 そして湯むきしてカットしたドンナーとワインと水を入れる。よく絡ませながら一煮立ちさせる。そして鍋の蓋を閉める。

「あとは弱火で1時間だね」
「なるほど、そんなに茹でるのか」
「たまにかき混ぜるの」
「ちょっと待ってくれ、またこれ新料理か?登録はしたのかい?」
「あ、またやっちゃった」
「しょうがないな。ちょっと待ってな。レシピ書いてやるから」
「ありがと」

 時々蓋を開けて、かき混ぜる。1時間したら肉がトロトロになるだろう。

「坊ちゃん、これ。」
「ありがと」
「今度作る時はちゃんと後先を考えなよ」
「そうする」
「しかし、ワインを贅沢に使うなんてなんてすごい料理なんだ」
「もったいなくて、商会員かぞくの分は、作れない」
「そりゃそうだ。貴重だからな」
「ワインが、各地で、作られて、から、登録しよう」

 あ、ついでにオウトールを茹でてもらおう。マスに茹でるのをお願いする。
 煮込んでるのを待つ間、エスナの事を考えていた。エスナが来たのは僕がまだ赤ちゃんの頃で、田舎から連れて来られた場所でいきなり赤ん坊の世話をさせられるのは大変だったろう。僕はエスナが不満そうな顔、嫌そうな顔をしているのを見た事がない。可能なことは全部やってくれるし、僕が1時間早く起きるようになったら、それに合わせて起きてくれ、毎朝起こしてくれた。
 多感な思春期を全て年季奉公に費やしたのは大変だったろう。店の丁稚の扱いと同じであり、二食は確実に食べれるものの、お小遣いでは欲しいものも手に入らなかったはずだ。それでも朝は必ずその笑顔を見せてくれた。
 これで喜んでくれるかわからないけど笑顔になってくれると良いな。

 最後に塩で味を整える。牛肉の赤ワイン煮完成だ。あとはつけ合わせにオウトールを乗せて皿に盛り付けるだけ。お父さん、お母さんに夕食にエスナを招いて良いか聞く。二人とも心良く返事をしてくれたのでアニナに言ってエスナを呼んでもらった。


 
 夕食時、いつものひっつめ髪を下ろしたエスナか食堂に現れた。精一杯のおしゃれをしているのがわかる。

「エスナ、座って」
「は、はい。私、良いのですか?」
「最後にとっておきの料理をリョウが作ってくれたんだ。エスナの為だよ」
「坊ちゃま、ありがとうございます」
「まあまあ、エスナ、座りなさい」
「アニナ、ワインを配ってくれ」
「はい」

 お父さん、お母さん、ロイック兄さん、ミシェ姉さん、そしてエスナにワインが配られる。

「あの、私は!」
「良いんだ。遠慮はいらないよ。エスナは今日のゲストだ」
「いつも美味しそうって顔で見てたの、俺知ってるもんね」
「ああ。すいません」
「ストラ、知ってても言うもんじゃない。エスナ、これもとっておきのワインなんだ。リョウが初めて作ったワインでね、非常に美味しいんだよ」
「ロイック様、ありがとうございます」
「それじゃ、食べようか。今日も美味しいご飯を食べれるのは神様とお客様のおかげです。感謝」
「「「「感謝」」」」
「…美味い。肉が柔らかくなってる」
「リョウ、これは何で茹でてるの?」
「ワインだよ」
「ワインで茹でるのか。贅沢だな」
「パンにも合うわ」

 エスナがワインに口をつけている。

「お、美味しい」
「な、美味しいワインだろ?」
「エスナ、料理食べて、みて」
「美味しいです」

 エスナは涙を溢しながら食べている。でもロイック兄さんとストラ兄さんが散々笑わして笑顔にした。笑顔はやっぱり素敵だね!

 夕食後の歓談にはエスナを参加させた。故郷の様子やどんな相手と結婚するのかなど聞けて良かったと思う。

 

 翌日、エスナを見送りに家族全員が店先に出た。

「皆様、本当に、本当にありがとうございました」
「気をつけてお帰り」
「はい。皆様お元気で」




 エスナは何度も何度も振り返り手を振ってくれた。笑顔が崩れ泣き笑いしてたけど可愛かった。


感想 9

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