僕の異世界攻略〜神の修行でブラッシュアップ〜

リョウ

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旅立つ者。

新メイドとリーサ師。

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 うちはさながら避難所の様相を呈している。怪我や体調が悪い者はうちの社宅に移されていたがまだ20人近くがうちの食堂で生活している。うちの商会員かぞく達は気のいい者ばかりなので何かとみなの世話を焼いていてくれている。服はさっぱりとした服になっているし、髭や乱れた髪も整えられて元の姿よりいくぶんマシになっている。
 昨日一夜は皆ぐっすりと眠れたようだ。早速働きたいと何人かの者が手を上げ、倉庫整理をやっている。
 ロイック兄さんは学校を休んだストラ兄さんと一緒にカダスの奥さんで大工の棟梁の娘であるヴェリーをよんで集合住宅の増築の話をしている。ヴェリーはカダスから話を聞いており、早速仕事に取り掛かると言ってくれた。
 そのカダスは今日は非番なのに商会に出てきて、避難してきた人々の買い物に付き合ったり、ルステインの案内を買って出てくれている。カダスもすごく気が良い男なんだよね。
 エメイラの授業はしばらく中止になった。エメイラは村があった所へ行き、盗賊の痕跡が残っていないか、生存者がいないか調査するんだって。時々エメイラはこんな感じで領民の手助けになる事をしに出かける。さすが『ルステイン最強の居候』だな、と思う。
 午後にお父さんが僕達兄弟を呼び新しいメイドを紹介してくれた。メイドは王都で僕ら兄弟がお世話になったマチルダさんだった。マチルダさんは僕達がタウンハウスにいる時にお父さんとマックスさんにスサン一家のお世話をしたい、と頼み込んだらしい。その意思が固いためマックスさんが同意して、スサン商会にやってきたみたい。お父さんにしてみれば、エスナが辞めた後どうしようか考えていた時にその話が出たため渡りに船だったようだ。

「本日より皆様のお世話をさせていただきますマチルダです。よろしくお願い致します」
「マチルダさん、しばらくゆっくりしてからで良いよ」
「ロイックエン様、避難民を受け入れたと先程他の商会員の方にお聞き致しました。そんな時にゆっくりなどしてはおられません。早速お世話させていただきます。それから、私の事はマチルダとお呼びください。敬称など一切不要です」
「わかった。マチルダ、よろしく頼む」
「かしこまりました」

 マチルダは荷物を自分の部屋に置いて着替えてくると、アニナと一緒に家の仕事をしたり、食堂にいる人達の世話をしたりしている。マチルダは自分で率先して仕事をやるタイプなので頼りになるなぁと思った。

「お客様がお見えです」

 とマチルダに呼ばれ店に出るとリーリシア神殿のテミス司祭ダンクと女の人がそこには居た。ストラ兄さんと僕で応対する。

「ストラスト君、リョウエスト君、久しぶりだね」
「お久しぶりです」
「こちらの商会が避難民を受け入れたと話を聞いてね、慰問に来させてもらった。こちらはロスハーン神殿の司教ビシリーサ師だ」

 リーサ師はまだ幼そうな女性だ。ピンク色の髪と緑の瞳が印象的である。

「リーサじゃ。我が神の教会があった村が盗賊によって壊滅され、多くの者が亡くなったと聞いた。いてもたっても居られなくなりこちらに来させてもらったのじゃ。どうかその者達に会わせてもらいたい」
「はい。よろしくお願いします。すいません、ついでと言ったら失礼にあたりますがこちらで避難している方の健康診断をしていただけないでしょうか?」
「もちろんだ。やらせてもらうぞ」
「僕、案内する」
「頼むのじゃ」

 テミスさんとリーサ師を避難所である食堂に案内する。ストラ兄さんは倉庫で働いている人達を呼びに行った。食堂にいた人達は一斉にお祈りのポーズをする。全員揃ったところでリーサ師が話し始める。

「ロスハーン神の司教ビシリーサじゃ。我が神の愛し子たちよ。良く生き残ってくれたのじゃ。そなた達の窮状に気が付かなかった事をまずは許して欲しい。我の不甲斐なさにより、そなた達の大事な家族が賊の手にかかり亡くなったと知り、慌てて駆けつけた次第じゃ。大変申し訳なかった」
「いえ、神父様や神官ニルハ様、侍祭クベラ様は最後まで村人の事を案じながらお亡くなりになりました。我々が生き残ったのはロスハーン神様のおかげだと思っております」
「そうか。あの者達も亡くなったか…。今日はそなたらの話を聞かせて欲しい。我に辛かった事、大変だった事、盗賊への怒りなど全て聞かせてもらいたいのじゃ。それからせめてもの罪滅ぼしに我にやってもらいたい事を教えて欲しいのじゃ」
「「「はい」」」
「私はリーリシア神の司祭ダンクテミスというものだ。今日は諸君の健康状態と子供の聖別を調べさせてもらいたい」
「「「ありがとうございます」」」
「テミスさん、あの、体調の悪い人、怪我した人、うちの集合住宅、いるの」
「わかった。あとで案内を頼む」
「うちの商会員かぞくに、言う」

 店の者にテミスさんの案内を頼む。
そのまま僕は食堂に残りマスと一緒にお茶の準備をし、みなに配った。
 テミスさんは全てのものを診断して回り、リーサ師は一人一人の話を聞いている。泣き叫ぶ者や泣いて話ができない者がいたがリーサ師は優しく抱きしめてその話を聞く。僕も横で聞いていてその惨状の酷さを改めて知った。




 

 
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