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旅立つ者。
役人さん達を接待する。
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「続きまして、工事業者の選定についての話をしていきたいと思います。我々としては王都の優秀な工事業者に任せたいと思いますがいかがでしょうか?」
「僕、ルステインが、良い」
「子爵様が仰っておられる意味について説明いたします。ルステインにある建物ですからルステインがその享受を受ける事がまずは一番だと考えております。ですから設計は王都、施工はルステインでいかがでしょうか?」
「キース、ありがと。ヴェリーのところに頼もう」
「なるほど。私共スサン商会の商会員の縁者に優秀な工事業者がおります。そちらに頼みたい、と仰っておられます」
「ギピア、ありがと」
「わかりました。当方でその工事業者と打ち合わせさせてもらいます。よろしいでしょうか?」
「値切るの、なしで」
「もちろんでございます」
「よろしく」
これで建物の件は終わったね。
「最後になりますが、これは第一王子様からではなく、王室からのご依頼です。この度王室の皆様のご要望により子爵様の紋章が作られました。まずはこちらをご覧ください」
紋章は天使とフォークとナイフがモチーフになったものだった。誰が考えたのかは知らないけどこれは嬉しいね。
「とても、良い」
「はい。原案はウルリッヒ殿下とルマーニ殿下の合作です。こちらを子爵様の紋章としてお受け取り下さいませ」
「ありがと」
「はい。それで王家の依頼はこちらをモチーフとした子爵専用の馬車一台と子爵のマント、並びに『王国の料理番の工房』の看板をスサン商会に発注したいとの事です」
「かしこまりました。予算はいかほどで?」
「予算の上限はありません。ただし、デザインは一流と呼ばれる方に頼んでくれとの注文が王室からございました。陛下曰く、リョウエスト様らしい発想に富んだデザインにしてくれとの事です」
「かしこまりました。任せてください」
キースのやる気がすごい。
「以上になりますが、何かご質問はありますでしょうか?」
「馬車はどこに、停めるの?」
「ご安心ください。設計段階で馬車置き場を設置しておきます」
「ありがと。あと、来てもらう、料理人は、どこの人?」
「はい。王宮料理人の一人だとお聞きしております」
「わかった」
「以上を持ちまして打ち合わせを終わります」
「お疲れさま」
「「「ありがとうございます」」」
「このあと、お暇?」
「いえ、色々とやる事があります」
「夕方、宿で待っててよ。ギピア」
「はい。こちらの宿をとっております。上流階級の方も利用される宿ですので安心してご逗留下さい」
「「「ありがとうございます」」」
「部下の方は6名でよろしかったですよね?」
「はい」
「申し訳ありませんが部下の方は二人部屋になります」
「いえ、泊まれるだけで十分です」
「出張の、間の、宿泊費は、こっちで持つから」
「本当にありがとうございます」
「本日はルステイン名物のレストラン『スサンの天使』のメニューを皆さんにご提供いたします。それと子爵様がお作りになられました極上のワインを楽しんでいただきたいと思います」
「何から何までありがとうございます」
「うん。僕のため、働く人、僕の味、知らないとダメ。美味しいから、大丈夫」
「子爵様はきちんと働く文官はとても大事にしてくださる方だ。喜んで受けてもらうと嬉しいとおっしゃってる」
「はい。ありがたく」
「本当にありがとうございます」
「嬉しいです」
「あとね、夜の観光、一人案内を、つけるから。今日は、予算は、青天井で」
「そこまでして頂けるとは。今回の件、精一杯頑張ります」
「身を粉にして働かせてもらいます」
「頑張ります」
同日、国王の執務室。
「ほお。リョウエストから緊急の手紙か…ほう。これは助かるな。そしてこっちの書類は……宰相を呼べ!」
「はい。かしこまりました」
国王はその手紙を見てわなわなしている。
「お呼びでございますかな?」
「これを読んでくれ」
「はっ。リョウエスト君からの手紙ですな。なんと…これは我が国にとってとても良き事ですな」
「もう一つの書類をみよ」
「はい……キトレ伯爵の周囲を探らせます」
「うむ。これに関わっているとしたら大きな問題だ。すぐに対処してくれ」
「かしこまりました」
侍従がノックして入ってきた。
「失礼致します。エフェルト公爵様が火急の用だといって参られております」
「通せ」
「はい」
「兄上、今朝リョウエスト君からこのような手紙が来ておりました。当方としてはキトレ伯爵を派閥から離したいと思っております」
「同じ手紙が来た。キトレ伯爵の件、少し待て。こちらで調べさせる」
「かしこまりました」
「それで…お前は何を貰ったんだ?」
「はい。牛肉の赤ワイン茹でという新料理の未登録レシピをもらいました。私はそれが楽しみで仕方ありません。彼は私の領地の特産牛のことを知っていたんですね」
「私の所には船の原因不明の病気の予防と回復させる食べ物のレシピだ。お酢を使った野菜料理だが、保存が効くそうだ。あやつめ。我が海軍で使えるか実験をしろと言う。そして成功したら先王様の名前を使って下さいと書いてあった。五歳にして誇りある貴族のような対応ではないか」
「ますます応援したくなりますね」
「そうだな…それより弟よ、その料理を食べさせてくれ」
「わかりました。我が家で試してみて美味しければ料理人を連れてきます。もっとも、リョウエスト君の料理ですからハズレはなさそうですがね」
「ふっふっふ。実に楽しみだ。料理も、あやつのこれからも」
「僕、ルステインが、良い」
「子爵様が仰っておられる意味について説明いたします。ルステインにある建物ですからルステインがその享受を受ける事がまずは一番だと考えております。ですから設計は王都、施工はルステインでいかがでしょうか?」
「キース、ありがと。ヴェリーのところに頼もう」
「なるほど。私共スサン商会の商会員の縁者に優秀な工事業者がおります。そちらに頼みたい、と仰っておられます」
「ギピア、ありがと」
「わかりました。当方でその工事業者と打ち合わせさせてもらいます。よろしいでしょうか?」
「値切るの、なしで」
「もちろんでございます」
「よろしく」
これで建物の件は終わったね。
「最後になりますが、これは第一王子様からではなく、王室からのご依頼です。この度王室の皆様のご要望により子爵様の紋章が作られました。まずはこちらをご覧ください」
紋章は天使とフォークとナイフがモチーフになったものだった。誰が考えたのかは知らないけどこれは嬉しいね。
「とても、良い」
「はい。原案はウルリッヒ殿下とルマーニ殿下の合作です。こちらを子爵様の紋章としてお受け取り下さいませ」
「ありがと」
「はい。それで王家の依頼はこちらをモチーフとした子爵専用の馬車一台と子爵のマント、並びに『王国の料理番の工房』の看板をスサン商会に発注したいとの事です」
「かしこまりました。予算はいかほどで?」
「予算の上限はありません。ただし、デザインは一流と呼ばれる方に頼んでくれとの注文が王室からございました。陛下曰く、リョウエスト様らしい発想に富んだデザインにしてくれとの事です」
「かしこまりました。任せてください」
キースのやる気がすごい。
「以上になりますが、何かご質問はありますでしょうか?」
「馬車はどこに、停めるの?」
「ご安心ください。設計段階で馬車置き場を設置しておきます」
「ありがと。あと、来てもらう、料理人は、どこの人?」
「はい。王宮料理人の一人だとお聞きしております」
「わかった」
「以上を持ちまして打ち合わせを終わります」
「お疲れさま」
「「「ありがとうございます」」」
「このあと、お暇?」
「いえ、色々とやる事があります」
「夕方、宿で待っててよ。ギピア」
「はい。こちらの宿をとっております。上流階級の方も利用される宿ですので安心してご逗留下さい」
「「「ありがとうございます」」」
「部下の方は6名でよろしかったですよね?」
「はい」
「申し訳ありませんが部下の方は二人部屋になります」
「いえ、泊まれるだけで十分です」
「出張の、間の、宿泊費は、こっちで持つから」
「本当にありがとうございます」
「本日はルステイン名物のレストラン『スサンの天使』のメニューを皆さんにご提供いたします。それと子爵様がお作りになられました極上のワインを楽しんでいただきたいと思います」
「何から何までありがとうございます」
「うん。僕のため、働く人、僕の味、知らないとダメ。美味しいから、大丈夫」
「子爵様はきちんと働く文官はとても大事にしてくださる方だ。喜んで受けてもらうと嬉しいとおっしゃってる」
「はい。ありがたく」
「本当にありがとうございます」
「嬉しいです」
「あとね、夜の観光、一人案内を、つけるから。今日は、予算は、青天井で」
「そこまでして頂けるとは。今回の件、精一杯頑張ります」
「身を粉にして働かせてもらいます」
「頑張ります」
同日、国王の執務室。
「ほお。リョウエストから緊急の手紙か…ほう。これは助かるな。そしてこっちの書類は……宰相を呼べ!」
「はい。かしこまりました」
国王はその手紙を見てわなわなしている。
「お呼びでございますかな?」
「これを読んでくれ」
「はっ。リョウエスト君からの手紙ですな。なんと…これは我が国にとってとても良き事ですな」
「もう一つの書類をみよ」
「はい……キトレ伯爵の周囲を探らせます」
「うむ。これに関わっているとしたら大きな問題だ。すぐに対処してくれ」
「かしこまりました」
侍従がノックして入ってきた。
「失礼致します。エフェルト公爵様が火急の用だといって参られております」
「通せ」
「はい」
「兄上、今朝リョウエスト君からこのような手紙が来ておりました。当方としてはキトレ伯爵を派閥から離したいと思っております」
「同じ手紙が来た。キトレ伯爵の件、少し待て。こちらで調べさせる」
「かしこまりました」
「それで…お前は何を貰ったんだ?」
「はい。牛肉の赤ワイン茹でという新料理の未登録レシピをもらいました。私はそれが楽しみで仕方ありません。彼は私の領地の特産牛のことを知っていたんですね」
「私の所には船の原因不明の病気の予防と回復させる食べ物のレシピだ。お酢を使った野菜料理だが、保存が効くそうだ。あやつめ。我が海軍で使えるか実験をしろと言う。そして成功したら先王様の名前を使って下さいと書いてあった。五歳にして誇りある貴族のような対応ではないか」
「ますます応援したくなりますね」
「そうだな…それより弟よ、その料理を食べさせてくれ」
「わかりました。我が家で試してみて美味しければ料理人を連れてきます。もっとも、リョウエスト君の料理ですからハズレはなさそうですがね」
「ふっふっふ。実に楽しみだ。料理も、あやつのこれからも」
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