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旅立つ者。
閑話・歌が連れてきた者達。
スサン商会には毎日のように客が訪れる。その多くは買い物客のようだが時々違う目的の客が来るようで…。
金髪で隻眼の男が尋ねてきたのはスサン商会が閉まる直前だった。男は段平を腰に差し革鎧に旅装のマントを身につけていた。男は店先で土下座すると口上を話し始めた。
「店先を借りて申し訳ない。手前コリント王国のキトレ伯爵領の小さな村で生まれ、キトレの街にて男を磨いてきたアガックと申す半端者でございます。こちらにいらっしゃるロイックエン様を御尊父とし、修行をさせてもらいたく恥ずかしながら参上つかまつりました。よろしければロイックエン様のご尊顔を拝見したく、伏してお願い申し上げます」
店先でいきなりそんなことをされ、商会員達は慌てる。
「しょ、少々お待ちください。ただいま聞いて参ります」
「よろしくお願い致します」
ロイックエンは事情を聞き嫌々ながら店先に行く。
「ロイックエンだけど何でしょうか?」
「はっ。ロイックエン様、はじめまして。手前はアガックという半端者でございます。避難民を受け入れ、その道筋を導かれたロイックエン様を漢の中の漢と見込み、漢として惚れました。どうぞ手前を店先の端にでも置いておいてくださり漢としての修行をさせて頂けますよう。伏してお願い申し上げます」
「あの、僕はただの商人なんですけど。そういう世界の事は全くわからないんだけど…」
「ただの商人?いやとんでもない。手前はロイックエン様の行動すべてが全て漢だと思っております。伏してお願い致します。御尊父として手前を導いて下さいませ」
ロイックエンは一旦断ったが5日間毎日通ってきたアガックを結局は受け入れた。アガックはロイックエンの言うことをよく聞き、スサン商会の用心棒となった。
「こちらにロイックエン様と言う方がいらっしゃるとお聞きしたのだけど、いらっしゃるかしら?」
と言って店を訪れたのは妙齢の美女だった。女は歳の頃なら二十代後半だろうか。黄色の髪に翠の瞳で女の色香を漂わせている。商会員はドギマギしながら用件を聞く。
「私はガラス細工師にして木工師のキサラというの。ロイックエン様の仕事をやりたくてこの地にやってきて工房を開いたわ。よければお会いさせていただきたいの」
「わ、わかりました。少々お待ちください。都合を聞いて参ります」
商会員はロイックエンに事情を聞いてなんだろうと思いながら店先に出る。
「僕がロイックエンだが何でしょうか?」
「私はキサラ。ガラス細工ギルドランクA。木工師ギルドランクAの資格をもっている工芸師よ。あなたの話を聞いてあなたの仕事をやってみたくてこのルステインに工房を開いたの」
「僕の話を?」
「そうなの。あなたは自分が思ってるより知られているわ。避難民を自分の商会で受け入れているのが真実だと知って私は感動したわ。そんなあなたの仕事を受けたいの。良かったら使ってくれない?」
「木工師とガラス細工師はうちの弱い分野だから助かるけど…」
「決まりね。何が欲しいか言ってくれる?それで私の腕を判断してもらえるかしら」
「ロイックエン様はいらっしゃるか?私は調査商会を営むヤートと言うものです。よければ会わせていただきますか」
男は40前後で苦み走った笑顔が似合う渋い男だった。特徴的なハットとポンチョがとても似合っている。
「はい。ロイックエンですが?」
「初めまして私はヤート。ヤート調査商会を営んでいる者だ。あなたの事を調査させていただき、あなたにとって魅力的な提案をさせてもらおうと思ってきた」
「こちらへどうぞ」
ロイックエンは応接室にヤートを案内する。ヤートは出されたお茶を一口呑むとロイックエンに向き直った。
「さて、今回調査したのは依頼されたものではない。私個人の興味で調べさせてもらった。私は君が歌の通りに義侠心にあふれ…」
「ちょっと待って下さい。歌ってなんですか?」
「ああ。君は知らないのかい?『義侠のロイックエン』という歌がはやっているのだ。君が村一つを襲っていた盗賊を殲滅し、その村の避難民を受け入れ商会員とする内容なんだが。その顔を見ると知らなかったようだね」
「また歌かぁ…」
「それに興味を持ったヤート調査商会の面々は君について調べた。避難民を受け入れて商会員にした事を聞いた我々は喜んだものさ」
「はあ」
「それで君の事を調べていくうちに君がこれから全国的に仕事をしていく事を知った。君の挑戦に私達ヤート商会は手伝いたいと思うようになった」
「はい」
「そこで提案なんだが、君、私達を買わないか?スサン商会がヤート調査商会を吸収する形でいい。私達は君と仕事がしたいんだ。自慢じゃないがヤート調査商会は国内でも三本の指に入る調査能力を有している。その調査能力は君の力になるはずだ」
「なるほど。ちなみにいくらで買えますか?」
「そうだな。金貨1枚で良いと言いたいが諸費用がかかる。金貨100枚でどうかね?」
「安いですね。何か裏がありそうな」
「はっはっは。わかってしまうか。もう我々は貴族の権力闘争に飽き飽きしてるんだ。金は儲かったからあとは志を持ったものの仕事がしたくなったんだよ」
「ヤート調査商会のお話を聞かせてください。話はそれからです」
「そもそも我々は……」
金髪で隻眼の男が尋ねてきたのはスサン商会が閉まる直前だった。男は段平を腰に差し革鎧に旅装のマントを身につけていた。男は店先で土下座すると口上を話し始めた。
「店先を借りて申し訳ない。手前コリント王国のキトレ伯爵領の小さな村で生まれ、キトレの街にて男を磨いてきたアガックと申す半端者でございます。こちらにいらっしゃるロイックエン様を御尊父とし、修行をさせてもらいたく恥ずかしながら参上つかまつりました。よろしければロイックエン様のご尊顔を拝見したく、伏してお願い申し上げます」
店先でいきなりそんなことをされ、商会員達は慌てる。
「しょ、少々お待ちください。ただいま聞いて参ります」
「よろしくお願い致します」
ロイックエンは事情を聞き嫌々ながら店先に行く。
「ロイックエンだけど何でしょうか?」
「はっ。ロイックエン様、はじめまして。手前はアガックという半端者でございます。避難民を受け入れ、その道筋を導かれたロイックエン様を漢の中の漢と見込み、漢として惚れました。どうぞ手前を店先の端にでも置いておいてくださり漢としての修行をさせて頂けますよう。伏してお願い申し上げます」
「あの、僕はただの商人なんですけど。そういう世界の事は全くわからないんだけど…」
「ただの商人?いやとんでもない。手前はロイックエン様の行動すべてが全て漢だと思っております。伏してお願い致します。御尊父として手前を導いて下さいませ」
ロイックエンは一旦断ったが5日間毎日通ってきたアガックを結局は受け入れた。アガックはロイックエンの言うことをよく聞き、スサン商会の用心棒となった。
「こちらにロイックエン様と言う方がいらっしゃるとお聞きしたのだけど、いらっしゃるかしら?」
と言って店を訪れたのは妙齢の美女だった。女は歳の頃なら二十代後半だろうか。黄色の髪に翠の瞳で女の色香を漂わせている。商会員はドギマギしながら用件を聞く。
「私はガラス細工師にして木工師のキサラというの。ロイックエン様の仕事をやりたくてこの地にやってきて工房を開いたわ。よければお会いさせていただきたいの」
「わ、わかりました。少々お待ちください。都合を聞いて参ります」
商会員はロイックエンに事情を聞いてなんだろうと思いながら店先に出る。
「僕がロイックエンだが何でしょうか?」
「私はキサラ。ガラス細工ギルドランクA。木工師ギルドランクAの資格をもっている工芸師よ。あなたの話を聞いてあなたの仕事をやってみたくてこのルステインに工房を開いたの」
「僕の話を?」
「そうなの。あなたは自分が思ってるより知られているわ。避難民を自分の商会で受け入れているのが真実だと知って私は感動したわ。そんなあなたの仕事を受けたいの。良かったら使ってくれない?」
「木工師とガラス細工師はうちの弱い分野だから助かるけど…」
「決まりね。何が欲しいか言ってくれる?それで私の腕を判断してもらえるかしら」
「ロイックエン様はいらっしゃるか?私は調査商会を営むヤートと言うものです。よければ会わせていただきますか」
男は40前後で苦み走った笑顔が似合う渋い男だった。特徴的なハットとポンチョがとても似合っている。
「はい。ロイックエンですが?」
「初めまして私はヤート。ヤート調査商会を営んでいる者だ。あなたの事を調査させていただき、あなたにとって魅力的な提案をさせてもらおうと思ってきた」
「こちらへどうぞ」
ロイックエンは応接室にヤートを案内する。ヤートは出されたお茶を一口呑むとロイックエンに向き直った。
「さて、今回調査したのは依頼されたものではない。私個人の興味で調べさせてもらった。私は君が歌の通りに義侠心にあふれ…」
「ちょっと待って下さい。歌ってなんですか?」
「ああ。君は知らないのかい?『義侠のロイックエン』という歌がはやっているのだ。君が村一つを襲っていた盗賊を殲滅し、その村の避難民を受け入れ商会員とする内容なんだが。その顔を見ると知らなかったようだね」
「また歌かぁ…」
「それに興味を持ったヤート調査商会の面々は君について調べた。避難民を受け入れて商会員にした事を聞いた我々は喜んだものさ」
「はあ」
「それで君の事を調べていくうちに君がこれから全国的に仕事をしていく事を知った。君の挑戦に私達ヤート商会は手伝いたいと思うようになった」
「はい」
「そこで提案なんだが、君、私達を買わないか?スサン商会がヤート調査商会を吸収する形でいい。私達は君と仕事がしたいんだ。自慢じゃないがヤート調査商会は国内でも三本の指に入る調査能力を有している。その調査能力は君の力になるはずだ」
「なるほど。ちなみにいくらで買えますか?」
「そうだな。金貨1枚で良いと言いたいが諸費用がかかる。金貨100枚でどうかね?」
「安いですね。何か裏がありそうな」
「はっはっは。わかってしまうか。もう我々は貴族の権力闘争に飽き飽きしてるんだ。金は儲かったからあとは志を持ったものの仕事がしたくなったんだよ」
「ヤート調査商会のお話を聞かせてください。話はそれからです」
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