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旅立つ者。
晩餐の開始。
私はサテラージャ国の皇太子ハミルだ。我々は現在コリント王国の王城に滞在している。目的はこの国の美姫、ルディス姫と婚約する為だ。その他にこの国と我が国との通商を取り付けたい目的がある。この国に来て色々な物に驚かされたが、どれも我が国にはない物で是非取り入れたいと願うものばかりだった。
先程謁見の場でルディス姫の顔を初めて見た。噂に違わぬ美しさだった。私は私の顔が赤くなるのを感じた、と同時に私がこれからの結婚生活がとても良い物になるだろうという予感が私の胸を占めている。さて、これから晩餐だ。この国の晩餐がどんなものか楽しみで仕方ない。この国に入ってからの食事はとても美味しかった。先程軽食に出されたサンドエストとか言うものも私は感動したのだ。否が応でも期待が高まる。
侍従長が私を迎えにきた。晩餐の会場に案内すると言う。私はそれに従って会場に入った。そこには円卓がずらっと並べられており、私はその真ん中の一際大きい円卓に案内された。なるほど。席次を無くすことで上下関係はないと示すためか。なかなかここの外交担当はやるな。
他のテーブルを見ると我がサテラージャ王国とコリント王国の面々がバラバラとなり同じ円卓を囲んでいる。自然と会話ができるようにしてるのか。素晴らしい配慮じゃないか。我が国でも取り入れたい文化だなと思う。
私と共にやってきた王弟二人も同じテーブルを囲んでいる。それだけでもありがたい。しばらく待っていると国王陛下の御一家が到着した。全員立ち上がる。私の右隣にはルディス姫が来て左隣には国王陛下が来た。まずは国王陛下のスピーチがあり、続いて私が少し喋らせていただいた。
乾杯ということで白ワインが配られた。私はこの国に来てから白はほとんど呑んでいない。だがしかし、あの赤ワインの美味しさを知った私はこのワインにも同じだけの美味しさがあるだろうことは予想できた。
「それでは両国の繁栄を祈って、乾杯!」
国王様の掛け声と共にグラスを合わせワインを一口飲む。私は一瞬我を忘れた。冷えた白ワインがこれほど美味しいとは。水のような我が国の白ワインを全てこれに変えたいと思ってしまった。
給仕が料理を運ぶ前に侍従長が出てきて説明を始めた。
「皆様、今宵は新しい食文化を我が王国がサテラージャ国の皆様方にご提供いたします。これから出る料理はただ食べるためでなく、会話を楽しみながら食べるウルリッヒスタイルというものに沿って提供されます。まずは前菜と食前酒。続いてスープ。それから魚料理、肉料理、口直しを挟みましてメイン料理とサラダという順番で出していきます。最後にルディスというスタイルで甘いものとお茶の方をお出ししますのでお腹を少し空けておいてくださいませ。では本日はごゆっくり食事をお楽しみ下さい」
そういうと給仕が一糸乱れぬ動きで
入ってきた。料理が配られる。
「まずは食前酒と前菜でございます。白ワインと肉オウトール、ルマーニ甘辛茹で、という料理になります。ルマーニとはこの国で自生している木で美味しい調味料になる実をつけます。なお、名前は発見者が我が国のルマーニ殿下のご友人であり、その友情の証としてこの名がつきました。ではごゆっくりとお楽しみ下さい」
一口食べると美味しい。白ワインにもすごく合う。しかし…。
「ハミル殿下、ルディスです。よろしくお願い致します」
「はい。ルディス姫。こちらこそよろしくお願いします」
「ハミル様、こちらの料理、美味しいのに少ないな、とお思いではないでしょうか?」
「そうだな。いささか少ないかなと」
「うふふ。どんどん料理が出てきて最後にはお腹いっぱいになります。ゆっくりとお話ししながら食べましょうね」
「ああ。よろしく頼む」
ワインと食事と会話を楽しんでいると皿が空いた。給仕が皿を引き上げて、鍋を円卓の上に置く。
「続きまして、スープです。本日はコリント鍋という料理をご用意しました。一つの鍋をみなで囲むスタイルです。我が国のある民族では一つの鍋を皆で囲うことは友情の証であり、同じ目的に向かう仲間、という意味合いがございます。我が国とサテラージャ国の恒久の友情を願いましてこちらの鍋をご用意させていただきました。なお、小皿に用意いたしましたのはサテラージャ国原産の香辛料でございます。こちらを入れていただき、味の変化をお楽しみ下さい。こちらは白ワインでどうぞ」
なかなか素晴らしい趣向だ。友情の鍋か。是非我が国でもやってみたいな。
「ハミル殿下、お注ぎ致します。なんの具が好きですか?」
「ルディス姫がよそってくれるのか?」
「はい。私はハミル殿下の妻になる身ですから、夫になる方を立てるのは私の仕事です」
「ありがとう。好き嫌いはないので色々と入れてくれたらありがたい」
「はい。かしこまりました」
ルディス姫に注いでもらった。嬉しいな。
「次はお父様、お皿をくださいな」
「ああ。よろしく頼む」
「お父様はどのくらいよそいます?」
「そうだな。いっぱい入れなくて良いぞ。あとが楽しみだからな」
「はい。かしこまりました」
ルディス姫は国王様のお皿に鍋を注ぐと、自分の分を注ごうとする。
「待った。ルディス姫、今度は私に注がせて欲しい。妻を立てるのも夫の勤めだと、私は思っている」
「ありがとうございます。嬉しい…」
ルディス姫に鍋を注ぎ、食事をしながら会話を楽しむ。国王様に香辛料の量を聞かれ、教えたり、お互いの食文化の違いを話したりして楽しくなってきた。
鍋と小皿が下げられ次の料理が出てくる。周りのテーブルも盛り上がっているようだ。私達も会話をしながら待った。
「続きまして魚料理でございます。カッツォのリョウギョウザ、という料理です。こちらはカッツォの身を細かくし臭みを取り除くハーブを混ぜ小麦粉の皮で包み、焼き上げた品となります。横に置きましたタレをつけてお食べ下さい。ご存知の通り我が国とサテラージャ国の間には海という障害がございます。その海を包み込んで食べてしまえ、という意図で料理人が作り上げました。白ワインでお楽しみ下さい」
コリント王国の料理人、粋な事をするな。
先程謁見の場でルディス姫の顔を初めて見た。噂に違わぬ美しさだった。私は私の顔が赤くなるのを感じた、と同時に私がこれからの結婚生活がとても良い物になるだろうという予感が私の胸を占めている。さて、これから晩餐だ。この国の晩餐がどんなものか楽しみで仕方ない。この国に入ってからの食事はとても美味しかった。先程軽食に出されたサンドエストとか言うものも私は感動したのだ。否が応でも期待が高まる。
侍従長が私を迎えにきた。晩餐の会場に案内すると言う。私はそれに従って会場に入った。そこには円卓がずらっと並べられており、私はその真ん中の一際大きい円卓に案内された。なるほど。席次を無くすことで上下関係はないと示すためか。なかなかここの外交担当はやるな。
他のテーブルを見ると我がサテラージャ王国とコリント王国の面々がバラバラとなり同じ円卓を囲んでいる。自然と会話ができるようにしてるのか。素晴らしい配慮じゃないか。我が国でも取り入れたい文化だなと思う。
私と共にやってきた王弟二人も同じテーブルを囲んでいる。それだけでもありがたい。しばらく待っていると国王陛下の御一家が到着した。全員立ち上がる。私の右隣にはルディス姫が来て左隣には国王陛下が来た。まずは国王陛下のスピーチがあり、続いて私が少し喋らせていただいた。
乾杯ということで白ワインが配られた。私はこの国に来てから白はほとんど呑んでいない。だがしかし、あの赤ワインの美味しさを知った私はこのワインにも同じだけの美味しさがあるだろうことは予想できた。
「それでは両国の繁栄を祈って、乾杯!」
国王様の掛け声と共にグラスを合わせワインを一口飲む。私は一瞬我を忘れた。冷えた白ワインがこれほど美味しいとは。水のような我が国の白ワインを全てこれに変えたいと思ってしまった。
給仕が料理を運ぶ前に侍従長が出てきて説明を始めた。
「皆様、今宵は新しい食文化を我が王国がサテラージャ国の皆様方にご提供いたします。これから出る料理はただ食べるためでなく、会話を楽しみながら食べるウルリッヒスタイルというものに沿って提供されます。まずは前菜と食前酒。続いてスープ。それから魚料理、肉料理、口直しを挟みましてメイン料理とサラダという順番で出していきます。最後にルディスというスタイルで甘いものとお茶の方をお出ししますのでお腹を少し空けておいてくださいませ。では本日はごゆっくり食事をお楽しみ下さい」
そういうと給仕が一糸乱れぬ動きで
入ってきた。料理が配られる。
「まずは食前酒と前菜でございます。白ワインと肉オウトール、ルマーニ甘辛茹で、という料理になります。ルマーニとはこの国で自生している木で美味しい調味料になる実をつけます。なお、名前は発見者が我が国のルマーニ殿下のご友人であり、その友情の証としてこの名がつきました。ではごゆっくりとお楽しみ下さい」
一口食べると美味しい。白ワインにもすごく合う。しかし…。
「ハミル殿下、ルディスです。よろしくお願い致します」
「はい。ルディス姫。こちらこそよろしくお願いします」
「ハミル様、こちらの料理、美味しいのに少ないな、とお思いではないでしょうか?」
「そうだな。いささか少ないかなと」
「うふふ。どんどん料理が出てきて最後にはお腹いっぱいになります。ゆっくりとお話ししながら食べましょうね」
「ああ。よろしく頼む」
ワインと食事と会話を楽しんでいると皿が空いた。給仕が皿を引き上げて、鍋を円卓の上に置く。
「続きまして、スープです。本日はコリント鍋という料理をご用意しました。一つの鍋をみなで囲むスタイルです。我が国のある民族では一つの鍋を皆で囲うことは友情の証であり、同じ目的に向かう仲間、という意味合いがございます。我が国とサテラージャ国の恒久の友情を願いましてこちらの鍋をご用意させていただきました。なお、小皿に用意いたしましたのはサテラージャ国原産の香辛料でございます。こちらを入れていただき、味の変化をお楽しみ下さい。こちらは白ワインでどうぞ」
なかなか素晴らしい趣向だ。友情の鍋か。是非我が国でもやってみたいな。
「ハミル殿下、お注ぎ致します。なんの具が好きですか?」
「ルディス姫がよそってくれるのか?」
「はい。私はハミル殿下の妻になる身ですから、夫になる方を立てるのは私の仕事です」
「ありがとう。好き嫌いはないので色々と入れてくれたらありがたい」
「はい。かしこまりました」
ルディス姫に注いでもらった。嬉しいな。
「次はお父様、お皿をくださいな」
「ああ。よろしく頼む」
「お父様はどのくらいよそいます?」
「そうだな。いっぱい入れなくて良いぞ。あとが楽しみだからな」
「はい。かしこまりました」
ルディス姫は国王様のお皿に鍋を注ぐと、自分の分を注ごうとする。
「待った。ルディス姫、今度は私に注がせて欲しい。妻を立てるのも夫の勤めだと、私は思っている」
「ありがとうございます。嬉しい…」
ルディス姫に鍋を注ぎ、食事をしながら会話を楽しむ。国王様に香辛料の量を聞かれ、教えたり、お互いの食文化の違いを話したりして楽しくなってきた。
鍋と小皿が下げられ次の料理が出てくる。周りのテーブルも盛り上がっているようだ。私達も会話をしながら待った。
「続きまして魚料理でございます。カッツォのリョウギョウザ、という料理です。こちらはカッツォの身を細かくし臭みを取り除くハーブを混ぜ小麦粉の皮で包み、焼き上げた品となります。横に置きましたタレをつけてお食べ下さい。ご存知の通り我が国とサテラージャ国の間には海という障害がございます。その海を包み込んで食べてしまえ、という意図で料理人が作り上げました。白ワインでお楽しみ下さい」
コリント王国の料理人、粋な事をするな。
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