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旅立つ者。
晩餐は続く。
カッツォのリョウギョウザは美味しかった。途中で配膳の者が我がサテラージャ国の香辛料がいるかどうか、聞いてきた。私はこの味がもったいなくてそれを断った。
「続きまして肉料理でございます。今回お出しするのは鶏肉のテリヤキという料理でございます。甘辛いタレが鶏肉に絡みついております。こちらの秘密には当国の名産であるオウトールが関係しております。是非ともオウトールをお買い求め下さい、と料理人が申しておりました。こちらは赤ワインでどうぞ」
笑いが広がる。この料理人、面白いな。機知に富んでいて料理も美味い。我が国に欲しい人材であるな。
「ふふ。ハミル殿、この料理人が気になるか」
「はい。非常に優れた人材だと思いました」
「この料理人はやれないが、我が国ではそちらの料理人を勉学のため受け入れる用意がある。そちらの香辛料料理を教えてもらう代わりにな」
国王様は優しげな表情を浮かべて微笑んだ。この国の食文化を学ぶものを招聘しようと心に決めた。
「ハミル様、この料理人はどんな人物だと思われますか?」
「そうだな。理知的で天才的な料理の腕を持つ紳士ではないだろうか」
「ふふふ。後ほど引き合わせますわ。ハミル様はきっと驚かれると思います」
「そうか、楽しみにしてる」
「私は彼にはいつも驚かされてる。ハミル殿も良い土産話になると思って彼に会ってみて欲しい」
「国王様も驚きになる人物なのですね。楽しみになってきました」
皿が下げられ新しい料理が届く。それは桃色の何かだった。
「ここで皆様には口直しといたしまして氷菓をご用意いたしました。今回は桃の氷菓でございます。皆様のお口汚しとなりました料理を洗い流していただきたい、と料理人が申しております。ごゆっくりお楽しみくださいませ」
くすくすと笑う者がいる。料理人の機知にはまっているのだろう。それにしてもこれは嬉しい。
「氷菓か。良く調べてるな、サテラージャの事」
「そうなのですか?」
「ああ。我が国には熱い地方がある。その者達にとって氷菓は何よりのご馳走なのだ。ルディス姫はその地方に行く事はないだろうが、本当に何よりのご馳走なんだよ、これは」
「ハミル様はその地方に行かれることはあるのですか?」
「ああ。公務でな」
「でしたら今度私を連れて行ってください。民の生活を知る事も私の仕事だと思っております」
「…ルディス姫。わかった」
皿が下げられ新しい料理が並べられる。だいぶお腹が膨れてきた。
「引き続きましてメインとサラダとなります。メインディッシュは豚肉のリョウガ焼き。サラダはオシュヴァルトでございます。豚肉を甘辛く焼きあげミサル(生姜)という植物で香り付けしたお料理でございます。オシュヴァルトは先ごろ我が海軍の実験により船員の原因不明の病気の予防・回復料理として開発された野菜料理で、先王様の名前を冠しております。少々酸っぱいですが甘辛いリョウガ焼きとは相性が良い食べ物です。料理人からのコメントは特にありませんが、料理人の渾身の作品を是非味わっていただきたく思います。お腹がまだ空いている方はパンをご用意いたします。周りの給仕にお申し付け下さい。こちらは赤ワインでお楽しみ下さい」
料理に手をつける。甘辛くそれでいてミサルという薬味であろうか?その香りと味がとても複雑に混じり合い美味しい。タレが満遍なく絡みついているのも味わいを深くしている。サラダの酸っぱさで味をリフレッシュし、また肉に戻る。なんたる美味しさであろうか。私は思い立ってパンを頼む。残った汁をパンに吸わせて食べるのも至福だった。
「ハミル殿。このオシュヴァルトもこの料理人の発案でな」
「はい」
「我が方の船員病と言われる奇病もだいぶ治ってきている。私はハミル殿にこれを教えたいと思う。同じ海洋国家でそちらも同じ悩みを抱えているだろう。人道的意味でも、これから娘が世話になるという意味でもハミル殿の成果にしてもらいたいと思っている」
「ありがとうございます。国に戻ったら役立ててまいります」
「うん。よろしく頼む」
食べ終わった食器が片付けられ、白い四角の塊が出てきた。なんだこれは?
「最後にルディスとなります。ルディスとは食後にお腹を落ち着かせる甘いものとお茶を楽しむ時間の事です。今回はフルーツルディスというお菓子をご用意しました。ルディスというのは当国のルディス姫様の名を冠しており、料理人とルディス姫様の友情を示す為、この名前をつけたのだそうです。我らが姫がいつでも平和なルディスの時間を楽しめることを願っております」
そのフルーツルディスに手をつける。砂糖菓子のようなきつい甘さではなく、すっきりとした自然な甘みだ。さっぱりとしたお茶と一緒にいただくとお腹が落ち着いてくるのがわかる。ああ、これがルディスの時間か。これはサテラージャに戻ってもやろう。ルディス姫といつまでも平和にルディスを楽しむ生活をしたいな。
この食事で私はいろんなことを学んだと思う。いつもの忙しない食事から一線を引いてみると心の豊かさを感じられる。コリント王国のこういった文化から学ぶ事も多い。王弟達と目が合う。彼らも満足しているようだ。私はこの後の通商の話もきっと面白いことになると感じていた。
周りを見回すと不満を持つものはいない。国を問わず話に花が咲いているのがみえる。横を見ると国王様が悪戯っぽい笑顔でどうだ?と言っていた。
「最高の時間でした。いつもの忙しない食事に比べると段違いでした。私は今後ともこんな時間を作っていこうと思います」
「そうか。願わくば我が娘にそんな時間を与えてあげて欲しい」
「はい。お約束します」
食事が終わり、国王様御一家に誘われて王弟達と談話室に移る。
先程の食事もあったろう、お互いにとても話しやすい。国王様が面白いものを見せてやろう、と言う。侍従長に何事か伝えると侍従長は笑顔で談話室を出て行った。
しばらくして侍従長が幼児を連れて入ってきた。国王様がよく来たな、と言う。そして我々に幼児の紹介をしてくれた。
「これが今日の料理全てを担当した『王国の料理番』リョウエスト・スサンだ。驚くだろうが、本当なんだよ」
「続きまして肉料理でございます。今回お出しするのは鶏肉のテリヤキという料理でございます。甘辛いタレが鶏肉に絡みついております。こちらの秘密には当国の名産であるオウトールが関係しております。是非ともオウトールをお買い求め下さい、と料理人が申しておりました。こちらは赤ワインでどうぞ」
笑いが広がる。この料理人、面白いな。機知に富んでいて料理も美味い。我が国に欲しい人材であるな。
「ふふ。ハミル殿、この料理人が気になるか」
「はい。非常に優れた人材だと思いました」
「この料理人はやれないが、我が国ではそちらの料理人を勉学のため受け入れる用意がある。そちらの香辛料料理を教えてもらう代わりにな」
国王様は優しげな表情を浮かべて微笑んだ。この国の食文化を学ぶものを招聘しようと心に決めた。
「ハミル様、この料理人はどんな人物だと思われますか?」
「そうだな。理知的で天才的な料理の腕を持つ紳士ではないだろうか」
「ふふふ。後ほど引き合わせますわ。ハミル様はきっと驚かれると思います」
「そうか、楽しみにしてる」
「私は彼にはいつも驚かされてる。ハミル殿も良い土産話になると思って彼に会ってみて欲しい」
「国王様も驚きになる人物なのですね。楽しみになってきました」
皿が下げられ新しい料理が届く。それは桃色の何かだった。
「ここで皆様には口直しといたしまして氷菓をご用意いたしました。今回は桃の氷菓でございます。皆様のお口汚しとなりました料理を洗い流していただきたい、と料理人が申しております。ごゆっくりお楽しみくださいませ」
くすくすと笑う者がいる。料理人の機知にはまっているのだろう。それにしてもこれは嬉しい。
「氷菓か。良く調べてるな、サテラージャの事」
「そうなのですか?」
「ああ。我が国には熱い地方がある。その者達にとって氷菓は何よりのご馳走なのだ。ルディス姫はその地方に行く事はないだろうが、本当に何よりのご馳走なんだよ、これは」
「ハミル様はその地方に行かれることはあるのですか?」
「ああ。公務でな」
「でしたら今度私を連れて行ってください。民の生活を知る事も私の仕事だと思っております」
「…ルディス姫。わかった」
皿が下げられ新しい料理が並べられる。だいぶお腹が膨れてきた。
「引き続きましてメインとサラダとなります。メインディッシュは豚肉のリョウガ焼き。サラダはオシュヴァルトでございます。豚肉を甘辛く焼きあげミサル(生姜)という植物で香り付けしたお料理でございます。オシュヴァルトは先ごろ我が海軍の実験により船員の原因不明の病気の予防・回復料理として開発された野菜料理で、先王様の名前を冠しております。少々酸っぱいですが甘辛いリョウガ焼きとは相性が良い食べ物です。料理人からのコメントは特にありませんが、料理人の渾身の作品を是非味わっていただきたく思います。お腹がまだ空いている方はパンをご用意いたします。周りの給仕にお申し付け下さい。こちらは赤ワインでお楽しみ下さい」
料理に手をつける。甘辛くそれでいてミサルという薬味であろうか?その香りと味がとても複雑に混じり合い美味しい。タレが満遍なく絡みついているのも味わいを深くしている。サラダの酸っぱさで味をリフレッシュし、また肉に戻る。なんたる美味しさであろうか。私は思い立ってパンを頼む。残った汁をパンに吸わせて食べるのも至福だった。
「ハミル殿。このオシュヴァルトもこの料理人の発案でな」
「はい」
「我が方の船員病と言われる奇病もだいぶ治ってきている。私はハミル殿にこれを教えたいと思う。同じ海洋国家でそちらも同じ悩みを抱えているだろう。人道的意味でも、これから娘が世話になるという意味でもハミル殿の成果にしてもらいたいと思っている」
「ありがとうございます。国に戻ったら役立ててまいります」
「うん。よろしく頼む」
食べ終わった食器が片付けられ、白い四角の塊が出てきた。なんだこれは?
「最後にルディスとなります。ルディスとは食後にお腹を落ち着かせる甘いものとお茶を楽しむ時間の事です。今回はフルーツルディスというお菓子をご用意しました。ルディスというのは当国のルディス姫様の名を冠しており、料理人とルディス姫様の友情を示す為、この名前をつけたのだそうです。我らが姫がいつでも平和なルディスの時間を楽しめることを願っております」
そのフルーツルディスに手をつける。砂糖菓子のようなきつい甘さではなく、すっきりとした自然な甘みだ。さっぱりとしたお茶と一緒にいただくとお腹が落ち着いてくるのがわかる。ああ、これがルディスの時間か。これはサテラージャに戻ってもやろう。ルディス姫といつまでも平和にルディスを楽しむ生活をしたいな。
この食事で私はいろんなことを学んだと思う。いつもの忙しない食事から一線を引いてみると心の豊かさを感じられる。コリント王国のこういった文化から学ぶ事も多い。王弟達と目が合う。彼らも満足しているようだ。私はこの後の通商の話もきっと面白いことになると感じていた。
周りを見回すと不満を持つものはいない。国を問わず話に花が咲いているのがみえる。横を見ると国王様が悪戯っぽい笑顔でどうだ?と言っていた。
「最高の時間でした。いつもの忙しない食事に比べると段違いでした。私は今後ともこんな時間を作っていこうと思います」
「そうか。願わくば我が娘にそんな時間を与えてあげて欲しい」
「はい。お約束します」
食事が終わり、国王様御一家に誘われて王弟達と談話室に移る。
先程の食事もあったろう、お互いにとても話しやすい。国王様が面白いものを見せてやろう、と言う。侍従長に何事か伝えると侍従長は笑顔で談話室を出て行った。
しばらくして侍従長が幼児を連れて入ってきた。国王様がよく来たな、と言う。そして我々に幼児の紹介をしてくれた。
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