【完結保証】僕の異世界攻略〜神の修行でブラッシュアップ〜

リョウ

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6歳の力走。

王様の嘆願。

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 お茶会を終えた僕はストークとミザーリと王様の執務室に案内された。相変わらず王城は広くて道順を覚えられそうもない。侍従は知り合いだったので質問してみた。

「なぜ、迷わない?」
「あー。最初は迷います。しかし完璧に道順を覚えるために何度も行き先と我々の控室を往復するのです。それで場所が把握できるようになります」
「なるほど」
「今にリョウエスト様も道順を覚えられるようになりますよ。王様は気に入ったものをしょっちゅう呼ばれますし」
「そうなのか」
「毎回大舞踏会の食事を用意するならそれだけで何往復もされると思いますしね。はい、次の角を曲がれば…到着しました」

 侍従はノックして僕たちを通してくれる。入って跪こうとしたら王様が止めた。

「良い」
「はい、王様」
「よく来てくれた。まあ、楽にせよ」
「はい、王様」
「実は頼みがあってな。リョウエストにも難しいと思うが聞いてくれ」
「はい、王様」
「我が国が親交するとある国があってな、そことの話だ。この度ワインの輸出とパンの技術提供が決まってな、お前も私達も儲かるのだが、外交部の馬鹿が交渉を優位に進めようと要らぬ事を言いよったのだ」
「要らぬ事?」
「そうだ。我が国の最上級ワインを向こうの王室に献上するという話をした。そこまでは良かったがその者はそれだけではなく、幻のワインと呼ばれる物を献上すると言って譲歩を引き出したのだ。ありもしない幻のワインの話をな」
「それは国が、困る」
「そうだ。だから今私が困っている。如何にして幻のワインを作り出すか散々関係者を集めて話をさせた。結論は経年変化をさらに進めるという話になって作らせた。だが思ったよりインパクトがなかったのだ」

 ワインは熟成を進めてもそんなに変わらないんじゃないかな。僕の知識があってるかはわかんないけど。当たり年とかあったからなあ。あのお酒。

「それは、困るね」
「そこでだ。リョウ、ワインで何か新しく思いつくことはないか?」
「んー。大変なものと大変じゃないけど技術的に難しいものがある」
「大変なものとは?」
「蒸留という、お酒から、酒精を取り出して、より強い酒精のお酒、作るの」
「ほう。面白そうだな」
「ただ、お金たくさん、使って、大きな釜を、作るの。実験を、繰り返して一番良い形、作らなければ、もったいない」
「錬金術でやれば良いじゃないか?」
「王様、風味は抽出、できないの」
「なるほど。今すぐ作るのは無理か。だが未来のためその研究もした方が良いだろうな。もう一つの方法は?」
「できたワインに、もう一回アルコールを、作らせるの。そうすると、炭酸が発生して、複雑な美味しさになるの」
「よくわからないが炭酸というのはあのシュワシュワしたものだよな。それがワインに入るのか。それは面白そうだな」
「でもそのワインを、作るのには、密閉出来る、瓶が必要なの」
「今のコルクじゃダメなのか?」
「出荷する時、コルクでも良い。でも作る時は、密閉しないと、ダメ」
「なるほど、それが技術的に厳しいと言われるところか。時間さえあれば作れるものではないのだな」
「そう。ここで、使ってる、ワインの瓶で、できたら良いんだけど」
「おい、最高級のワインボトルを持って来てくれ。リョウ、作り方をここにいる書記に記録させるから言ってくれるか」
「わかった。白ワインの、最高のものを準備して、酵母液と、砂糖を入れて密封する。それで三年、経年変化させて、瓶をひっくり返して、口を凍らせるの。溜まったゴミを、取り除いて、最後に白ワインと、砂糖を足せば良いの。できたら白ワインで、なくて熟成が、終わったものを、足したものが良いの。それでコルクを、打ちつけて、抜けないように、針金で、しばったら完成」

 僕は覚えてる限りのことを王様に伝えた。スパークリングワイン、難しいよね。僕も本で内容を知ってる位で実際作ったわけではないしね。

「話を聞くと簡単そうに聞こえるが密閉するのが大変そうだな。工廠部に研究させるか」

 侍従さんが入って来た。

「最高級のワインボトルをお持ちしました」

 口がラッパ状に広がっている。これならなんとかなるのか、な?

「どうだ?」
「ダメでは、ないと思う。研究が、必要、間違いはない」 
「そうか。工廠部に行って打ち合わせをして来てくれ。国家の最優先事項として命令書を書く」
「わかった」
「瓶が出来上がったら国家錬金術師を呼んで作業をさせる。その時立ち会ってくれ」
「ストーク?」
「僭越ながらお答えさせていただきます」
「構わない」
「現在リョウ様におかれましては社交シーズン中にて毎日のように予定が詰まっております。二、三日前に作業予定をお教えいただければ、対応可能でございます」
「わかった。こちらも無理を言っている。そのようにするから良きにはからえ」
「かしこまりました」
「それでは頼むぞ」
「はい!」

 侍従に連れられて工廠部にいく。命令書を持って侍従が中に入っていくとすぐに通された。部長のダンスさんが対応してくれる。

「おう。リョウエスト様、久しぶり」
「うん。お願いあるの」
「国家の最優先事項だ。断れるわけないぞ」
「このワインの瓶の口、完全に密封できるようにして欲しいの」
「どういうことだ?」

 僕はスパーリングワインの製法について細かい説明をした。ダンスさんが話を聞きながら手を動かしているのがわかる。シミュレーションしているのだろう。

「なるほど。外務部の馬鹿のせいで、リョウエスト様が走り回ることになってるのはわかった。そのワインがどんだけ必要かって事もな。よし、やってやろうじゃないか」
「ありがと」
「あんたが礼を言う事じゃないよ」
「それでも」
「礼ならまた面白い仕事を用意してくれ、待ってるぜ」





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