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6歳の力走。
ホテルや宿に料理を教える。
ロイック兄さんの結婚式準備が始まりスサン商会は慌ただしくなった。なんせルフテイン最大の商会となった大店だ。招待客だけでも軽く200人を超える。宿を押さえておくのにも大変で商会員達は走り回っていた。
そんな中で僕は宿泊客が泊まるホテル、宿に対して料理講習を行った。全て僕かお父さんが出資した所である。のべ15軒のホテル、宿は僕が王都に行ってる間に改装を開始し、今現在営業再開に向けてヴェリーさん達が頑張っている所だ。全ての工事手配はお父さんが行った。ほとんどの所はロイック兄さんの結婚式の日取りまで新装開店する予定となっているし、料理に関しても僕のレシピを使う事になっている。
俺はコウダー、ルステイン一の老舗ホテルの跡取りにして料理長だ。俺の住むルステインは現在料理革命というべきものが起きている。
『スサンの天使』という店が出来てから俺たちのルステイン伝統料理や周囲の有名料理店はすっかり廃れてしまい、『スサンの天使』で料理をテイクアウトしてうちで泊まるというお客様ばかりになってしまった。
俺も負けたくなくて新しい味に挑戦しようとがむしゃらに頑張ってきた。なかなか芽が出ず苦しい毎日を送っていたのだが、頑なに行くのを拒んでいた『スサンの天使』に敵情視察に行ってから、その考えが変わった。味が別次元なのだ。俺が思っていた美味さが5ならば『スサンの天使』ははるか上の100を走っていたのだ。俺は負けを認め、『スサンの天使』の天才料理人リョウエスト・スサンのレシピを買い漁った。そのレシピの正確さは同じ料理人として驚いた。誰でもそこそこの味を出せるようになるのだ。
俺のホテルのメニューに新ルステイン料理を掲げその味を出せるように頑張ってきた。幸い、常連のお客様はまだまだな俺の料理でも食べてくれるようになった。だが俺はそこで満足できなかった。もっと、もっとあの味に近づきたいと思ったのだ。だが突きつけられたのは辛い現実だった。設備投資しなければあの味に近づかないとわかったのだ。俺は見積もりをとった。その金額に驚いた。『スサンの天使』は設備投資に相当金を注ぎ込んでいることがわかった。最新鋭の魔法道具、コンロ、オーブン、パン焼き釜…こんな設備投資をできる余裕は今のうちにはなかった。
そんな時である。スサン商会の商会長ハッセルエンさんが訪ねてきたのは。
「ご領主様が息子の料理を再現してくれる店を求めている。設備投資の半額を補助金としてくれる。コウダーさん、やってみないか?」
「ありがたい話ですが半額でもうちは今厳しい状態です。本当に残念ですが」
「わかった。コウダーさん、うちが半額出資しよう。一年に1割利息はつけるがその利息さえ払ってくれればうちは全く問題ない。もちろん正規の契約をするし、心配なら商業ギルドを通そう」
「本当ですか?何故そこまでやっていただけるので?」
「正直『スサンの天使』だけではもうルステインは支えられなくなっているんだ。新しい料理の味を知った人たちを満足させるには『スサンの天使』だけでは器が小さすぎるのだ。それでこうやって色々声をかけさせてもらってる。それにね、コウダーさん」
「はい」
「上の息子の結婚式に貴族様を招待するんだ。コウダーさんのホテルにお願いしようと思っている。コウダーさんは元々腕が良いシェフだ。きっと満足させてくれると私は信じてる」
「ありがとうございます。今回の話受けさせてください」
「わかった。ただ、一つお願いがある」
「はい」
「息子の講習会に出てくれ。息子が基本的な事を教えると言っている」
「リョウエストさんが!?」
「ああ。言い出しっぺだから責任はとりたいとね。不満はあるだろうが出てもらいたい」
「いえ。不満など。あの料理を学べるならたとえ何歳の方でも頭を下げます」
「ありがとう」
こうして俺はリョウエストさんの料理を学ぶという幸運を得た。同じ目的に向かう同志達と一緒にだ。リョウエストさんの指導はいかがなものであるのか?
「今日は四つの、ソースを作る。これ、色々応用が利きます」
「「「はい」」」
「売っているレシピには、ない所まで教えるから、ちゃんと味と、分量覚えてね」
「そんなところまで」
「いいんですか?」
「味、覚えれば、応用できる。応用できたら、ルステイン、料理の街になる」
「ルステインが」
「料理の街に」
「僕一人の力じゃ、無理、みんな、頑張る、必要」
「応えなくちゃな」
「そうだな」
「先生、教えてください」
「わかった。まず、基本のソースを教える…」
リョウエストさんの教え方は親切丁寧だった。応用も色々と教えてくれる。一部、器具に慣れないものが失敗したりしたが、それでも怒らずに粘り強くやってくれた。
「いい、失敗することも大事。次に失敗しないこと、もっと大事」
「分量は、体に覚えさせて。何度も作ってみること、大事」
「ソースは日持ちしない、常に必要分を、作る、大事」
など至言ともいうべき言葉をもらい俺は仲間となった同志達と何回か行われた講習会に出て頑張った。
基本に立ち返って新たに学ぶことも多く、ハッセルエンさんの話にのった自分を褒めてあげたいと思った。
そして今日、俺のホテルのレストランは新装開店を迎えた。ご領主様とリョウエストさんが『新料理マップ』なるものを発行して、『スサンの天使』や各改装したお店においてくれたおかげで、初日から新規のお客様が入ってくれた。「美味しかったよ」と久しぶりに聞いた言葉に顔が綻ぶ。滑り出しは順調。ハッセルエンさんとリョウエストさんの恩に報いるためにも、ルステインを食の都にする一助をしたい。
そんな中で僕は宿泊客が泊まるホテル、宿に対して料理講習を行った。全て僕かお父さんが出資した所である。のべ15軒のホテル、宿は僕が王都に行ってる間に改装を開始し、今現在営業再開に向けてヴェリーさん達が頑張っている所だ。全ての工事手配はお父さんが行った。ほとんどの所はロイック兄さんの結婚式の日取りまで新装開店する予定となっているし、料理に関しても僕のレシピを使う事になっている。
俺はコウダー、ルステイン一の老舗ホテルの跡取りにして料理長だ。俺の住むルステインは現在料理革命というべきものが起きている。
『スサンの天使』という店が出来てから俺たちのルステイン伝統料理や周囲の有名料理店はすっかり廃れてしまい、『スサンの天使』で料理をテイクアウトしてうちで泊まるというお客様ばかりになってしまった。
俺も負けたくなくて新しい味に挑戦しようとがむしゃらに頑張ってきた。なかなか芽が出ず苦しい毎日を送っていたのだが、頑なに行くのを拒んでいた『スサンの天使』に敵情視察に行ってから、その考えが変わった。味が別次元なのだ。俺が思っていた美味さが5ならば『スサンの天使』ははるか上の100を走っていたのだ。俺は負けを認め、『スサンの天使』の天才料理人リョウエスト・スサンのレシピを買い漁った。そのレシピの正確さは同じ料理人として驚いた。誰でもそこそこの味を出せるようになるのだ。
俺のホテルのメニューに新ルステイン料理を掲げその味を出せるように頑張ってきた。幸い、常連のお客様はまだまだな俺の料理でも食べてくれるようになった。だが俺はそこで満足できなかった。もっと、もっとあの味に近づきたいと思ったのだ。だが突きつけられたのは辛い現実だった。設備投資しなければあの味に近づかないとわかったのだ。俺は見積もりをとった。その金額に驚いた。『スサンの天使』は設備投資に相当金を注ぎ込んでいることがわかった。最新鋭の魔法道具、コンロ、オーブン、パン焼き釜…こんな設備投資をできる余裕は今のうちにはなかった。
そんな時である。スサン商会の商会長ハッセルエンさんが訪ねてきたのは。
「ご領主様が息子の料理を再現してくれる店を求めている。設備投資の半額を補助金としてくれる。コウダーさん、やってみないか?」
「ありがたい話ですが半額でもうちは今厳しい状態です。本当に残念ですが」
「わかった。コウダーさん、うちが半額出資しよう。一年に1割利息はつけるがその利息さえ払ってくれればうちは全く問題ない。もちろん正規の契約をするし、心配なら商業ギルドを通そう」
「本当ですか?何故そこまでやっていただけるので?」
「正直『スサンの天使』だけではもうルステインは支えられなくなっているんだ。新しい料理の味を知った人たちを満足させるには『スサンの天使』だけでは器が小さすぎるのだ。それでこうやって色々声をかけさせてもらってる。それにね、コウダーさん」
「はい」
「上の息子の結婚式に貴族様を招待するんだ。コウダーさんのホテルにお願いしようと思っている。コウダーさんは元々腕が良いシェフだ。きっと満足させてくれると私は信じてる」
「ありがとうございます。今回の話受けさせてください」
「わかった。ただ、一つお願いがある」
「はい」
「息子の講習会に出てくれ。息子が基本的な事を教えると言っている」
「リョウエストさんが!?」
「ああ。言い出しっぺだから責任はとりたいとね。不満はあるだろうが出てもらいたい」
「いえ。不満など。あの料理を学べるならたとえ何歳の方でも頭を下げます」
「ありがとう」
こうして俺はリョウエストさんの料理を学ぶという幸運を得た。同じ目的に向かう同志達と一緒にだ。リョウエストさんの指導はいかがなものであるのか?
「今日は四つの、ソースを作る。これ、色々応用が利きます」
「「「はい」」」
「売っているレシピには、ない所まで教えるから、ちゃんと味と、分量覚えてね」
「そんなところまで」
「いいんですか?」
「味、覚えれば、応用できる。応用できたら、ルステイン、料理の街になる」
「ルステインが」
「料理の街に」
「僕一人の力じゃ、無理、みんな、頑張る、必要」
「応えなくちゃな」
「そうだな」
「先生、教えてください」
「わかった。まず、基本のソースを教える…」
リョウエストさんの教え方は親切丁寧だった。応用も色々と教えてくれる。一部、器具に慣れないものが失敗したりしたが、それでも怒らずに粘り強くやってくれた。
「いい、失敗することも大事。次に失敗しないこと、もっと大事」
「分量は、体に覚えさせて。何度も作ってみること、大事」
「ソースは日持ちしない、常に必要分を、作る、大事」
など至言ともいうべき言葉をもらい俺は仲間となった同志達と何回か行われた講習会に出て頑張った。
基本に立ち返って新たに学ぶことも多く、ハッセルエンさんの話にのった自分を褒めてあげたいと思った。
そして今日、俺のホテルのレストランは新装開店を迎えた。ご領主様とリョウエストさんが『新料理マップ』なるものを発行して、『スサンの天使』や各改装したお店においてくれたおかげで、初日から新規のお客様が入ってくれた。「美味しかったよ」と久しぶりに聞いた言葉に顔が綻ぶ。滑り出しは順調。ハッセルエンさんとリョウエストさんの恩に報いるためにも、ルステインを食の都にする一助をしたい。
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