【完結保証】僕の異世界攻略〜神の修行でブラッシュアップ〜

リョウ

文字の大きさ
269 / 623
6歳の力走。

初めての林。

しおりを挟む
「リョウー。あなたこれ着てみてね」
「主よ、それを着て早く外に行きましょう」

 工房アトリエに突然来たエメイラとミザーリにそんな事を言われたのは次の日の午前の事であった。
 渡されたのはレザーの上下。いわゆる革鎧ってやつだった。

「これ、どうしたの?」
「マダム・ルステインにサイズを聞いて革細工師に作ってもらったの。魔法技師使って防御力をあげているわ」
「これ、着るの?」
「そうです。早く着て私たちと一緒に今日は林に行くわよー」
「ああ。修行かあ」
「主よ、行かない選択肢はありません。準備して早速出かけましょう」
「うん、良いけど。ストーク」
「かしこまりました。ツヴァイを付けましょう」
「いらないわ。私たちがいるし」
「ストークさん、怒るよ」
「しかし…」
「ストーク、とりあえず2人いるから、大丈夫」
「かしこまりました」
「ナビは?」
「ナビはあなたの力の一部だから大丈夫だわ」
「問題は主がどこまで戦うかって話です。ナビに全てまかすのか、ナビの援護に入るのか、それとも自分一人で戦うのか。できれば一人で戦って欲しいです」
「わかった。とりあえず着るね」

 レザーアーマーを着込む。結構動くのに邪魔だね。

「着たよー」
「じゃあ、行きましょう。場所は馬車で30分ほど走った林よ」
「何か出る?」
「小物の魔物と魔の亜人でも力のない者たちだわ」
「そこでまず戦闘訓練です」
「わかった。ストーク、アレクとボルクに馬車を用意させて」
「かしこまりました」

 『収納』から伸縮する槍を出す。

「これで行く」
「良いわね。最初に槍というのは良い選択だわよ。間合いをとりやすいわ」

 アレク、ボルクが馬車を回してくる。

「私も同道を」
「わかったわ。あなたは馬車を守る事、いいわね?」
「かしこまりました」
「行きましょう」

 馬車はルステインの街中を走り、門から外へ出ていつもとは違う方向に走る。しばらく走ると木々が増え出し林となった。

「もう少し奥に行ったところで止まりましょう」
「ここはまだ魔物でないの?」
「でないわ。ここはよく薬草や植物採取で人がよく入り込んでいるところだもの」
「なるほど」

 馬車が突然止まる。

「リョウ様、ま、魔物です!」
「行きましょう」
「うん」

 降りると大きな鼠の魔物と小さな魔の亜人達が戦っている所だった。

「リョウ、あれと戦える?」
「なんとか」
「じゃあ、お願い」
「うん」

 僕は亜人に狙いをつけて魔法を唱える。

『水の、刃』

 一人の亜人に当たったが当たりどころが悪くそれほどダメージを与えられなかった。

『水の、槍』

 同じ亜人に当たり右肩から先を消失させる。鼠の魔物は僕に気づいて狙いを僕に変える。飛びかかってきた。槍を構える。まだ距離があるのでもう一度魔法。

『風の刃』

 不可視の刃が飛んでいく。鼠の魔物の足を傷つける。距離がつまってきた。白兵戦だ。しっかりと足を踏ん張り槍を構える。

「しっ!」

 前突き。前足に当たり機動力を奪う。もう一度突き。顔に当たる。嫌な感触がするがまだ致命傷ではない。鼠は噛みつきに来るが大きく避け胸に突き。またも嫌な感触が槍から伝わる。鼠の魔物は絶命した。
 今度は魔の亜人達が徒党を組んで襲ってくる。右腕を失ったものを合わせて3匹だ。一対一の状況を作らないと。

『風の嵐』

 風の嵐で3匹を吹き飛ばす。一番近くにいるものに対して槍を構えてチャージする。喉に当たり首を貫く。槍を引き抜くと赤い血が吹き出し亜人は倒れ込む。あと二匹か。

「油断なく、油断なく」

 そう言いきかせて相手の行動を見る右腕のない個体が左手で棍棒を握り走ってきた。槍を払う。足に当たり倒れ込む。すかさず頭に槍を刺す。苦悶の表情を浮かべる亜人。ぞくっと寒気がするが槍を更に押し込む。ぴくっと動くと動かなくなる。

「残り、一匹」

 最後の亜人は逃げ腰だった。逃げないように森側に回り込む。槍を構える。逃げるのを諦めたのか亜人は左手に握った短剣を見せつけるように構える。あれ、元は誰かが使ってたものだな。そして亜人は右手に石を握り投げつけてきた。僕は冷静に避ける。亜人は走ってくる。槍を構え直して構えを取る。ナーディルさんに散々習った基本の構えだ。

「ギュへっ!」

 亜人が飛びかかってくる。カウンター気味に左肩に一撃、素早く槍を引いて腹に一撃。亜人はよろけるが死んでいない。槍を引き抜く。亜人は膝をつく。ガラ空きの首に槍を当てる。亜人と睨み合いになる。亜人は短剣に目をやる。まだやる気か。僕は諦めて首を槍で貫いた。亜人は息をひゅっと出し絶命した。
 僕は残心を残し油断なく周囲を見る。とりあえず何も動くものはない。力を抜く。疲れた。

「終わり」
「まあまあね。最初としては悪くない。むしろ命を躊躇なく奪えた事は称賛に値するわ」
「主は生まれながらの戦士のようだった」
「だけどね、まだまだだわ。狙いは粗いし無駄な動きが多い。最後の敵に情けは無用よね」
「魔の亜人と魔物は人類の不倶戴天の敵です。主よ情けは無用ですよ」
「ナビのような存在は稀よ。常に敵だと考えてほしいわ」
「わかった」
「あなたは鼻垂れの小僧でもなかったし軟弱でもなかった。これから鍛えたらあなたは良い戦士にも、良い魔術師にもなれる。これからがんばりましょ」






しおりを挟む
感想 9

あなたにおすすめの小説

転生特典〈無限スキルポイント〉で無制限にスキルを取得して異世界無双!?

スピカ・メロディアス
ファンタジー
目が覚めたら展開にいた主人公・凸守優斗。 女神様に死後の案内をしてもらえるということで思春期男子高生夢のチートを貰って異世界転生!と思ったものの強すぎるチートはもらえない!? ならば程々のチートをうまく使って夢にまで見た異世界ライフを楽しもうではないか! これは、只人の少年が繰り広げる異世界物語である。

元チート大賢者の転生幼女物語

こずえ
ファンタジー
(※不定期更新なので、毎回忘れた頃に更新すると思います。) とある孤児院で私は暮らしていた。 ある日、いつものように孤児院の畑に水を撒き、孤児院の中で掃除をしていた。 そして、そんないつも通りの日々を過ごすはずだった私は目が覚めると前世の記憶を思い出していた。 「あれ?私って…」 そんな前世で最強だった小さな少女の気ままな冒険のお話である。

生まれ変わったら飛べない鳥でした。~ドラゴンのはずなのに~

イチイ アキラ
ファンタジー
生まれ変わったら飛べない鳥――ペンギンでした。 ドラゴンとして生まれ変わったらしいのにどうみてもペンギンな、ドラゴン名ジュヌヴィエーヴ。 兄姉たちが巣立っても、自分はまだ巣に残っていた。 (だって飛べないから) そんなある日、気がつけば巣の外にいた。 …人間に攫われました(?)

幸福の魔法使い〜ただの転生者が史上最高の魔法使いになるまで〜

霊鬼
ファンタジー
生まれつき魔力が見えるという特異体質を持つ現代日本の会社員、草薙真はある日死んでしまう。しかし何故か目を覚ませば自分が幼い子供に戻っていて……? 生まれ直した彼の目的は、ずっと憧れていた魔法を極めること。様々な地へ訪れ、様々な人と会い、平凡な彼はやがて英雄へと成り上がっていく。 これは、ただの転生者が、やがて史上最高の魔法使いになるまでの物語である。 (小説家になろう様、カクヨム様にも掲載をしています。)

異世界魔物大図鑑 転生したら魔物使いとかいう職業になった俺は、とりあえず魔物を育てながら図鑑的なモノを作る事にしました

おーるぼん
ファンタジー
主人公は俺、43歳独身久保田トシオだ。 人生に疲れて自ら命を絶とうとしていた所、それに失敗(というか妨害された)して異世界に辿り着いた。 最初は夢かと思っていたこの世界だが、どうやらそうではなかったらしい、しかも俺は魔物使いとか言う就いた覚えもない職業になっていた。 おまけにそれが判明したと同時に雑魚魔物使いだと罵倒される始末……随分とふざけた世界である。 だが……ここは現実の世界なんかよりもずっと面白い。 俺はこの世界で仲間たちと共に生きていこうと思う。 これは、そんなしがない中年である俺が四苦八苦しながらもセカンドライフを楽しんでいるだけの物語である。 ……分かっている、『図鑑要素が全くないじゃないか!』と言いたいんだろう? そこは勘弁してほしい、だってこれから俺が作り始めるんだから。 ※他サイト様にも同時掲載しています。

異世界転生特典『絶対安全領域(マイホーム)』~家の中にいれば神すら無効化、一歩も出ずに世界最強になりました~

夏見ナイ
ファンタジー
ブラック企業で過労死した俺が転生時に願ったのは、たった一つ。「誰にも邪魔されず、絶対に安全な家で引きこもりたい!」 その切実な願いを聞き入れた神は、ユニークスキル『絶対安全領域(マイホーム)』を授けてくれた。この家の中にいれば、神の干渉すら無効化する究極の無敵空間だ! 「これで理想の怠惰な生活が送れる!」と喜んだのも束の間、追われる王女様が俺の庭に逃げ込んできて……? 面倒だが仕方なく、庭いじりのついでに追手を撃退したら、なぜかここが「聖域」だと勘違いされ、獣人の娘やエルフの学者まで押しかけてきた! 俺は家から出ずに快適なスローライフを送りたいだけなのに! 知らぬ間に世界を救う、無自覚最強の引きこもりファンタジー、開幕!

家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~

北条新九郎
ファンタジー
 三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。  父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。  ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。  彼の職業は………………ただの門番である。  そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。  ブックマーク・評価、宜しくお願いします。

無属性魔法しか使えない少年冒険者!!

藤城満定
ファンタジー
「祝福の儀式」で授かった属性魔法は無属性魔法だった。無属性と書いてハズレや役立たずと読まれている属性魔法を極めて馬鹿にしてきた奴らの常識を覆して見返す「ざまあ」系ストーリー。  不定期投稿作品です。

処理中です...