273 / 806
6歳の力走。
ストラ兄さんいよいよ学園へ。
講習会がようやく終わってのんびりとする間もなく、ストラ兄さんがお爺さんと一緒に学園に向かう前の日になった。ストラ兄さんとお爺さんに何食べたい?と聞いたらマスのごはんと言ったので僕は何も準備せず食堂に向かった。夕食はマスが作るスサン家伝統のスープとストラ兄さんが好きな牛肉のソテーとお爺さんが好きなリョウチキンのストラソースがけだった。
「おお、俺の好きなおかずだ」
「私の好きなストラソースがけもあるぞ」
「じゃあ、食べようか。今日も美味しいごはんにありつけたのは、神様とお客様のおかげです。感謝」
「「「感謝」」」
「ストラ兄さんとお爺さん、明日、何時に出るの?」
「乗り合い馬車の早い便で出るつもりだ」
「そうそう。早い時間の便が取れたんだよ」
「えー。馬車で行けば?」
「僕もそう言ったんだけど二人とも乗り合いで行くって言うんだよ」
「だって気楽だよ」
「そうそう。気楽だ」
「大丈夫よ、ストラストもラジュラエンも自分の身を守れるから」
「そうそう。エメイラにも太鼓判をおされているんだ」
「私も剣術はそこそこだからな」
「護衛はいないの?」
「うん。乗り合いは傭兵が何人か護衛の為に雇ってるんだぜ」
「わざわざ雇う必要はないのだよ」
「私も色々言ったけど頑固なのよ、二人とも」
「お母さんは心配しすぎだと思う」
「ストラももう成人だから自分の事は自分で決めていいんだ」
「…心配してくれるだけ、ありがたいよ」
「そうね。ジェンもそう思うわよね」
「途中の難所まで誰か連れてったらどうかしら?」
「あそこの難所を越えれるのでしたら王都はすぐですからね」
「姉さんたちもそう言うんだなあ」
「リョウが知らせたなら王軍が動いてるだろう。問題はないはずだ」
「にゃー、にゃ」
「ナビ、ダメ」
「なんて?」
「様子見に行こうかって」
「逆に驚かれる心配があるからダメだな」
「可愛いがな」
食事が終わりいつものように歓談の時間になる。
「ああ、美味かった。しばらくこの味を食べられないのは辛いぜ」
「学園の食事もすっかり変わったぞ。パンはリョウの製法のパンに変わったし、味もずいぶん良くなったものだ。特にパンはかなりこだわって作ってるようで、田舎から出てきた学生が泣きながら食べておるわ」
「パンが前のパンでないからまだマシか」
「ストラ君、優秀生徒じゃない。優秀生徒は特別メニューが食べられるわよ」
「そうなのか?」
「上級貴族用のメニューだからきっとリョウ君のレシピのものも出てくるわよ」
「なんだ、問題ないな。食べれるなら良いわ」
「あとはクラブね。クラブにはやっぱり参加しないの?」
「そうだな。他の奴らが入るなら入るけどウルリッヒは王城に戻って勉強だし、しないかな」
「もったいないわよ」
「うーん。それより王都支店で勉強がしたいな。商売について勉強してる方が性に合ってるよ」
「学生のうちは商売のことは考えなくていいぞ」
「お父さん、俺の目的は将来の人脈を作ることだからやっぱり商売と切り離せないよ」
「そうか。私ももったいないと思うぞ」
「そうかな?」
「学生のうちは学生しかできない事をするのが一番良い。父さんだって学生の頃は商売のことあまり考えたことはなかったぞ」
「そうかあ。ちょっと考えてみるよ」
「それより、お小遣い足りるの?」
「俺、なんやかんやで商業ギルドに金貨200枚以上は入ってるから大丈夫だよ」
「そんなに入ってるの?」
「報奨金が結構もらえたからなあ」
「なら、全部使ってきなさい」
「お母さん、無茶だよそれは」
「足りなくなったらまた送るから。人脈を広げたいんでしょ?付き合いにもお金がいるわ。けちけちしないでそう言う時はちゃんとお金をつかいなさいね」
「わかったよ」
「僕、ストラ兄さんにも、投資する」
「良いよ、それは」
「甘えなさい、リョウはお金持ちだから少しぐらいなら全然問題ないわよ」
「エメイラ…」
「そうそう。必要な額を言ってね」
「とりあえずは今は良い。学園が始まったら考えるよ」
翌日の早朝、家族が全員出揃ってストラ兄さんとお爺さんを送る。
「これ、何かあった時に使いなさい」
お父さんはストラ兄さんに小袋を渡す。
「そこそこな値段の宝石だ。換金率も良いぞ」
「ありがと」
「父さんにもこれ」
「なんだ?」
「本でも買ってくれ」
「おお、悪いな」
「二人には膝掛けとクッション。馬車で使ってね」
お母さんは手作りのものを渡す。
「ありがとう」
「助かる」
「僕からはこれだ」
ストラ兄さんとお爺さんに剣を渡す。
「テーバさんに打ってもらった。かなり良質な鉄を仕入れたから、良い剣になってると思う」
「ありがとう」
「これは嬉しいな」
「私とケリィからはこれ」
紙束を渡す。
「私とケリィのお友達の連絡先よ。何かあった時に力になってくれるわ」
「私の方は色々な分野の商会の子が多いんで商売の種にしてくださいね」
「ありがとう」
「…お弁当。私作った」
「ありがとう」
「ありがとう」
「私からは護符ね。それぞれ使い捨ての魔術が記してあるわ。有効に使ってね」
「ありがとう。助かる」
「風精の秘術か。嬉しいな」
「これ、僕の身内だっていう、書状と貴族街に、入る時必要な書類。緊急事態の時、使ってね」
「そうする。ありがとう」
「使うかわからんがいつでも『収納』に入れておこう」
「そろそろ行こう。お爺さん」
「そうだな」
「無理はするなよ」
「風邪をひかないようにね」
「王都でまた会おう」
「学園生活楽しんでね。お爺さんは元気でいてね」
「今度は王都でお話を聞かせてくださいね」
「…困ったらすぐ呼んで」
「良い旅をね」
「元気でね」
ストラ兄さんとお爺さんは街の広場に向けて歩いていった。僕らは見えなくなるまで見送った。
「おお、俺の好きなおかずだ」
「私の好きなストラソースがけもあるぞ」
「じゃあ、食べようか。今日も美味しいごはんにありつけたのは、神様とお客様のおかげです。感謝」
「「「感謝」」」
「ストラ兄さんとお爺さん、明日、何時に出るの?」
「乗り合い馬車の早い便で出るつもりだ」
「そうそう。早い時間の便が取れたんだよ」
「えー。馬車で行けば?」
「僕もそう言ったんだけど二人とも乗り合いで行くって言うんだよ」
「だって気楽だよ」
「そうそう。気楽だ」
「大丈夫よ、ストラストもラジュラエンも自分の身を守れるから」
「そうそう。エメイラにも太鼓判をおされているんだ」
「私も剣術はそこそこだからな」
「護衛はいないの?」
「うん。乗り合いは傭兵が何人か護衛の為に雇ってるんだぜ」
「わざわざ雇う必要はないのだよ」
「私も色々言ったけど頑固なのよ、二人とも」
「お母さんは心配しすぎだと思う」
「ストラももう成人だから自分の事は自分で決めていいんだ」
「…心配してくれるだけ、ありがたいよ」
「そうね。ジェンもそう思うわよね」
「途中の難所まで誰か連れてったらどうかしら?」
「あそこの難所を越えれるのでしたら王都はすぐですからね」
「姉さんたちもそう言うんだなあ」
「リョウが知らせたなら王軍が動いてるだろう。問題はないはずだ」
「にゃー、にゃ」
「ナビ、ダメ」
「なんて?」
「様子見に行こうかって」
「逆に驚かれる心配があるからダメだな」
「可愛いがな」
食事が終わりいつものように歓談の時間になる。
「ああ、美味かった。しばらくこの味を食べられないのは辛いぜ」
「学園の食事もすっかり変わったぞ。パンはリョウの製法のパンに変わったし、味もずいぶん良くなったものだ。特にパンはかなりこだわって作ってるようで、田舎から出てきた学生が泣きながら食べておるわ」
「パンが前のパンでないからまだマシか」
「ストラ君、優秀生徒じゃない。優秀生徒は特別メニューが食べられるわよ」
「そうなのか?」
「上級貴族用のメニューだからきっとリョウ君のレシピのものも出てくるわよ」
「なんだ、問題ないな。食べれるなら良いわ」
「あとはクラブね。クラブにはやっぱり参加しないの?」
「そうだな。他の奴らが入るなら入るけどウルリッヒは王城に戻って勉強だし、しないかな」
「もったいないわよ」
「うーん。それより王都支店で勉強がしたいな。商売について勉強してる方が性に合ってるよ」
「学生のうちは商売のことは考えなくていいぞ」
「お父さん、俺の目的は将来の人脈を作ることだからやっぱり商売と切り離せないよ」
「そうか。私ももったいないと思うぞ」
「そうかな?」
「学生のうちは学生しかできない事をするのが一番良い。父さんだって学生の頃は商売のことあまり考えたことはなかったぞ」
「そうかあ。ちょっと考えてみるよ」
「それより、お小遣い足りるの?」
「俺、なんやかんやで商業ギルドに金貨200枚以上は入ってるから大丈夫だよ」
「そんなに入ってるの?」
「報奨金が結構もらえたからなあ」
「なら、全部使ってきなさい」
「お母さん、無茶だよそれは」
「足りなくなったらまた送るから。人脈を広げたいんでしょ?付き合いにもお金がいるわ。けちけちしないでそう言う時はちゃんとお金をつかいなさいね」
「わかったよ」
「僕、ストラ兄さんにも、投資する」
「良いよ、それは」
「甘えなさい、リョウはお金持ちだから少しぐらいなら全然問題ないわよ」
「エメイラ…」
「そうそう。必要な額を言ってね」
「とりあえずは今は良い。学園が始まったら考えるよ」
翌日の早朝、家族が全員出揃ってストラ兄さんとお爺さんを送る。
「これ、何かあった時に使いなさい」
お父さんはストラ兄さんに小袋を渡す。
「そこそこな値段の宝石だ。換金率も良いぞ」
「ありがと」
「父さんにもこれ」
「なんだ?」
「本でも買ってくれ」
「おお、悪いな」
「二人には膝掛けとクッション。馬車で使ってね」
お母さんは手作りのものを渡す。
「ありがとう」
「助かる」
「僕からはこれだ」
ストラ兄さんとお爺さんに剣を渡す。
「テーバさんに打ってもらった。かなり良質な鉄を仕入れたから、良い剣になってると思う」
「ありがとう」
「これは嬉しいな」
「私とケリィからはこれ」
紙束を渡す。
「私とケリィのお友達の連絡先よ。何かあった時に力になってくれるわ」
「私の方は色々な分野の商会の子が多いんで商売の種にしてくださいね」
「ありがとう」
「…お弁当。私作った」
「ありがとう」
「ありがとう」
「私からは護符ね。それぞれ使い捨ての魔術が記してあるわ。有効に使ってね」
「ありがとう。助かる」
「風精の秘術か。嬉しいな」
「これ、僕の身内だっていう、書状と貴族街に、入る時必要な書類。緊急事態の時、使ってね」
「そうする。ありがとう」
「使うかわからんがいつでも『収納』に入れておこう」
「そろそろ行こう。お爺さん」
「そうだな」
「無理はするなよ」
「風邪をひかないようにね」
「王都でまた会おう」
「学園生活楽しんでね。お爺さんは元気でいてね」
「今度は王都でお話を聞かせてくださいね」
「…困ったらすぐ呼んで」
「良い旅をね」
「元気でね」
ストラ兄さんとお爺さんは街の広場に向けて歩いていった。僕らは見えなくなるまで見送った。
あなたにおすすめの小説
異世界転生したので、文明レベルを21世紀まで引き上げてみた ~前世の膨大な知識を元手に、貧乏貴族から世界を変える“近代化の父”になります~
夏見ナイ
ファンタジー
過労死したプラントエンジニアの俺が転生したのは、剣と魔法の世界のド貧乏な貴族の三男、リオ。石鹸すらない不衛生な環境、飢える家族と領民……。こんな絶望的な状況、やってられるか! 前世の知識を総動員し、俺は快適な生活とスローライフを目指して領地改革を開始する!
農業革命で食料問題を解決し、衛生革命で疫病を撲滅。石鹸、ガラス、醤油もどきで次々と生活レベルを向上させると、寂れた領地はみるみる豊かになっていった。
逃げてきた伯爵令嬢や森のエルフ、ワケありの元騎士など、頼れる仲間も集まり、順風満帆かと思いきや……その成功が、強欲な隣領や王都の貴族たちの目に留まってしまう。
これは、ただ快適に暮らしたかっただけの男が、やがて“近代化の父”と呼ばれるようになるまでの物語。
最強魔法は生活魔法!? ~異世界ではモンスター退治も生活のうち~
gagaga
ファンタジー
神の気まぐれにより異世界へと転移した主人公田辺竜太(大学生)が生活魔法を駆使して冒険したり町の人と触れ合ったりする物語です。
なお、神が気まぐれすぎて一番最初に降り立つ地は、無人島です。
一人称視点、独り言多め、能天気となっております。
なお、作者が気ままに書くので誤字脱字は多いかもしれませんが、大目に見て頂けるとありがたいです。
ただ、敢えてそうしている部分もあり、ややこしくてすいません。(^^;A
ご指摘あればどんどん仰ってください。
※2017/8/29 連載再開しました!
出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜
シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。
起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。
その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。
絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。
役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。
神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします
夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。
アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。
いわゆる"神々の愛し子"というもの。
神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。
そういうことだ。
そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。
簡単でしょう?
えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか??
−−−−−−
新連載始まりました。
私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。
会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。
余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。
会話がわからない!となるよりは・・
試みですね。
誤字・脱字・文章修正 随時行います。
短編タグが長編に変更になることがございます。
*タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。
ひだまりのFランク冒険者
みなと劉
ファンタジー
ここは異世界。
そこの冒険者ギルドでは毎日仕事がてんこ盛り。
そんな中
冒険者ギルドには万年Fランクの冒険者が一人いる。
その名は、リルド。
彼は、特に何もない感じに毎日
「薬草採取」「石集め」Fランク向け「討伐」場合によっては「ポーション生成」をする。
この話はこの万年Fランク冒険者リルドの物語である。
家ごと異世界転移〜異世界来ちゃったけど快適に暮らします〜
奥野細道
ファンタジー
都内の2LDKマンションで暮らす30代独身の会社員、田中健太はある夜突然家ごと広大な森と異世界の空が広がるファンタジー世界へと転移してしまう。
パニックに陥りながらも、彼は自身の平凡なマンションが異世界においてとんでもないチート能力を発揮することを発見する。冷蔵庫は地球上のあらゆる食材を無限に生成し、最高の鮮度を保つ「無限の食料庫」となり、リビングのテレビは異世界の情報をリアルタイムで受信・翻訳する「異世界情報端末」として機能。さらに、お風呂の湯はどんな傷も癒す「万能治癒の湯」となり、ベランダは瞬時に植物を成長させる「魔力活性化菜園」に。
健太はこれらの能力を駆使して、食料や情報を確保し、異世界の人たちを助けながら安全な拠点を築いていく。
【完結】うさぎ転生 〜女子高生の私、交通事故で死んだと思ったら、気づけば現代ダンジョンの最弱モンスターに!?最強目指して生き延びる〜
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
女子高生の篠崎カレンは、交通事故に遭って命を落とした……はずが、目覚めるとそこはモンスターあふれる現代ダンジョン。しかも身体はウサギになっていた!
HPはわずか5、攻撃力もゼロに等しい「最弱モンスター」扱いの白うさぎ。それでもスライムやコボルトにおびえながら、なんとか生き延びる日々。唯一の救いは、ダンジョン特有の“スキル”を磨けば強くなれるということ。
跳躍蹴りでスライムを倒し、小動物の悲鳴でコボルトを怯ませ、少しずつ経験値を積んでいくうちに、カレンは手応えを感じ始める。
「このままじゃ終わらない。私、もっと強くなっていつか……」
最弱からの“首刈りウサギ”進化を目指して、ウサギの身体で奮闘するカレン。彼女はこの危険だらけのダンジョンで、生き延びるだけでなく“人間へ戻る術(すべ)”を探し当てられるのか? それとも新たなモンスターとしての道を歩むのか?最弱うさぎの成り上がりサバイバルが、いま幕を開ける!
[完]異世界銭湯
三園 七詩
ファンタジー
下町で昔ながらの薪で沸かす銭湯を経営する一家が住んでいた。
しかし近くにスーパー銭湯が出来てから客足が激減…このままでは店を畳むしかない、そう思っていた。
暗い気持ちで目覚め、いつもの習慣のように準備をしようと外に出ると…そこは見慣れた下町ではなく見たことも無い場所に銭湯は建っていた…