【完結保証】僕の異世界攻略〜神の修行でブラッシュアップ〜

リョウ

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ルステイン狂想曲。

閑話・ドワーフの槌音。

「おい、お前聞いたか」
「何をだ?」
「ブルッグさんの件だ」
「聞いた聞いた。なんかおかしくなったらしいな」
「違うぞ、俺が聞いたのはブルッグさんにとうとう天啓が降りてきたっていう話だ」
「天啓が?本当か?眉唾な話じゃないのか?」
「いや、とんでもない。俺は素面のブルッグさんを見たぜ」
「あの『穴の空いた屋根』のブルッグさんが?いくらでも酒を吸い込むブルッグさんがか?」
「素面でみなにこう言ったんだ。『おい、お前は今の仕事に満足してるか?』ってな」
「あの仕事に文句一つ言わないブルッグさんがそんな事を言い出すなんて。だってあの人仕事選び放題な人だろ?」
「そしてブルッグさんは『ワシは歴史的な仕事があるとグンヴォル神様から聞いた。わしらの地精ドワーフ魂が震えるような仕事がだ』って言ったんだ」
「なんだって?地精ドワーフ魂だと!?」
「ああ。それを素面で言ったんだ。それから秘蔵のワインを出してきて言った。『誰かこのワインの製法を作り出したものに心当たりがあるか?』ってな」
「あのワインて確かクソ高いワインだろ?超一流の葡萄農家が作った葡萄に国家錬金術師に出張ってもらって作ってもらったと聞いているぞ」
「それからブルッグさんは言ったんだ。今でも忘れられない一言だ。『その者の名前、住む所、職業を最も詳しく教えてくれたものにこいつを一杯やろう』ってな」
「おいおい。それは俺たち地精ドワーフの死を賭けた頼みじゃないか。素面で最もいい酒を一杯呑ませるなんて…ブルッグさんは本気なんだな」
「それを叶えたのはヂョウギ地精ドワーフ伯だった。『おとこの頼みに嘘はつかん。それはリョウエスト・スサン名誉子爵という者だ。ブルッグよ、聞いた事があろう。『スサンの天使』を。『王国の料理番』を。彼はルステインで自らの工房アトリエを構え王国のに新しい風を吹かせておる。どうだ?これで答えになるか?』と」
「それで、それで?」
「ブルッグさんがヂョウギ伯に涙を溢しながら酒を注ぐとブルッグさんは言ったよ。『終の別れじゃ。ヂョウギ伯。ワシはもう帰らん。おとことして最後まで仕事をやり遂げたいのだ。グンヴォル様がおっしゃっていた仕事をな』ってね」
「ふ、震えるぜ。俺の地精ドワーフ心が震える」
「そうだ。俺も心底震えたよ。そしたらヂョウギ伯が言った。『天啓はお前だけに降りたわけではないぞ。なあブルッグよ。ワシは家督を譲ってきた。共に逝こうじゃないか』ってな」
「まさかヂョウギ伯にも天啓が?」
「そう、そのまさかだ。そしたら群衆をかき分けて『アタシもだよ』と声がした。それは『破れ傘』のボリビエ師匠だった」
「なに?お前の師匠の名工ボリビエ師か?」
「ああ。女だてらに名工五選にも選ばれた女傑である師匠が、あの嘘を決してつかない師匠が言ったんだ。『グンヴォル神様はあんた達だけでは役不足だ、アタシにも行けとおっしゃられた。アタシも共に逝くよ』ってな」
「そうか。じゃあお前も…逝くんだな」
「ああ。命賭けて仕事をやる機会に恵まれた。こんなチャンスは2度とない。そういうわけでお別れだ。友よ」
「わかった。じゃあちょっと待ってくれ。俺も準備するから」
「なんだと?」
「俺の魂が震えた。震えちまったら槌音響かせて仕事するしかないだろ!」
「簡単な道ではないかもしれんぞ」
「望む所だね」
「お前の気持ちはわかった。同じ槌音を響かせようぞ、友よ」
「ああ」

 かくして地精ドワーフ達の命を賭けた行進は始まった。たった3人だった旅人は翌日には100人を超え、さらにその翌日には200人になった。そして最終的にに300人超えとなった集団は恐ろしい行軍速度で街道を進む。地精ドワーフというのは元々頑丈で耐久力の高い種族なのだ。それが300名以上、一心不乱に進む姿は周りの旅人に恐怖をもたらし、行く先々にある村や町や街の人々にも異様な姿として映ったのだった。彼らは町や街の真ん中で野宿し、酒を買い漁った。そして翌日、また行軍していくのだ。
 そして7日目、彼らは王都に到達した。王都につくと代表者であるヂョウギ元伯爵とブルッグ、ボリビエが貴族街に入りルステイン伯爵のタウンハウスに行き、ルステインに300名の受け入れを頼むと嘆願した。答えは快く迎える、ということだったので彼らは喜んだ。急いでみなに伝えようとし、貴族街を出ると地精ドワーフ達は王軍に囲まれていた。

「我らはただの旅人だ。通してくれ」
「決して武器を抜かん。すぐ王都を出ていく」
「アタシ達はルステインに行くの。今受け入れを認めてもらったわ」
「どちらにせよ、こんなところに集まってもらっては困る。一時収監させてもらう!」

 王軍が武器を抜く。それに反応してドワーフも武器を構える。一触即発の事態となった。そこに現れたのは王弟エフェルト公爵で、両者の武器を収めさせると地精ドワーフ達の話を聞く。話は直ちに王に伝えられ、王から旅の許可証が代表者のヂョウギに渡るのだった。
 許可証を持った地精ドワーフ達は意気揚々と王都を出発し、2泊4日でルステインに到着した。ルステインの門番は普段貴族門に使っている門を開門し、地精ドワーフ達を招き入れる。地精ドワーフ達はその歓迎がありがたかった。
 


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