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7歳の駈歩。
王城会議室にて。
コリント王国、王城内の謁見の間を抜けた先にある重厚な会議室。その扉が静かに開かれると、場の空気がぴんと張り詰めた。
「それでは、ただいまより、リョウエスト商会による新製品の御前発表会を始めます」
侍従の高らかな声と共に、僕は入場した。前よりなんか大事になってるなあ。並んで座る王様と王妃様、そして第一王子ウルリッヒ様、さらには宰相や重臣たちさらには官僚達の目が一斉に僕へと注がれた。
「リョウエスト商会、商会長リョウエスト・スサンなの。今日は王国の未来に役立つと信じる新たな発明と製品をご紹介するの」
「リョウエスト、よろしく頼む」
「はい、王様」
まず最初に披露したのは、缶詰だった。
「こちらは密閉された容器に食材を封じて長期保存を可能にするもの。加熱・殺菌された中身は半年、あるいは一年以上も保存できる」
「保存…半年も?」
農務大臣が思わず声を漏らした。王妃も、興味深そうに銀色の缶を手に取り、中身を確かめる。
「これは…お肉かしら?いい香りがするわ」
「はい。豚肉を使用した角煮なの。他にも野菜や魚の缶詰もあります」
周囲にどよめきが広がる。戦時や災害時、遠征中の兵士たちに、温かく栄養のある食事を提供できるいう価値をわかってくれたみたいね。
「リョウエスト、それはルステインだけで生産できるのか?」
「いいえ。王国各地に製造所を設ければ地方でも生産できる。農産物の余剰分を利用することで農村の経済支援にも繋がるかも。利用料と専用の魔法道具は買って欲しい」
「それは購入しよう」
そして、次に披露したのは、ウイスキー。
「これは…なんと申すのだ?」
「ウイスキーと言う。麦を糖化・発酵させ、蒸留し、樽で熟成させた酒です。こちらは、特製の大型蒸留器で作られる。ちなみに熟成はワインと同じように錬金術でやった。ここにあるのは8年物」
琥珀色に透き通る液体を一口含んだ財務大臣が、目を見開いた。ふふふ。美味しいでしょ?
「…これは、酒か?いやこれは…ただの酒ではない!」
王様がゆっくりと杯を取り口をつけた。そして一言。
「…見事だ」
会議室全体が静まり返っちゃった。
「この味と香り、その製法、なによりこれまで誰も知らなかった酒が王国に現れたという衝撃。これはすごい事ですよ!」
突然、外務大臣が叫ぶ。この人酒好きだもんね。
「このレシピを王国にさしあげます。蒸留器の図面もすべて無償でお渡しする。ウイスキーのレシピ使用料だけ下さい」
「なに…?」
官僚の1人が驚きの声をあげる。そりゃ驚くよね。
「…黙れ」
宰相が声を低くした。怖いな。僕は静かに答える。
「ウイスキーという新たな酒を王国のものとすることで各地の村や町にも新しい産業が生まれるの。王国全体の利益になると考えてる。その中でまた新しい商機を見つけられれば、それで十分…というか公開しないと地精に怒られる」
「あははは」
「ははは」
「それは仕方ないな」
会議室は笑いに包まれた。それが鎮まると王様が口を開く。
「有言実行だな。面白い」
王妃様が微笑みを浮かべて言った。
「ではその発明好きの商会長さん。次は、どんな驚きが待っているのかしら?」
王妃様、ナイスタイミング。
「はい。次にご紹介するのは、こちら。化粧品」
僕が並べた小瓶には、淡い色のバームや、優しい香りのクリームが詰められている。色々考えたの。大変だった。
「これは、リップクリーム。唇の乾燥を防ぎ、艶やかに保つの」
「まぁ…!」と声をあげたのは、側にいた王妃様付き女官長の侍女さん。
「そしてこちらが、ハンドクリーム。荒れた手肌を潤し、滑らかに保つ。香りは数種類。お楽しみに」
王妃様がそっと指先に取って塗る。
「あー。王妃様?良いの?」
「良いんです。試したかったのですもの。すばらしいわ…まるで、手が若返ったよう」
「そしてこちらが、口紅。ほんのりと色づき、自然な艶が出るの。紅花、紫根など天然の素材で作ったから安全」
王妃と数名の女性官僚が夢中になって試してる。ウルリッヒ様が小声で「これは売れるな」と呟いて近くの軍務大臣が吹き出していた。
「では最後のを紹介します。こちらは甜菜糖です」
僕が差し出したのは、純白の砂糖のような粉末。
「これは、甜菜と呼ばれる植物の根から抽出・精製した甘味料。寒冷地でも育つため、南のサテラージャ国に頼らずとも甘味を国内で生産できるの。知られずにかなりの所で食べられているみたい」
その瞬間、財務大臣と農務大臣の視線が鋭くなった。怖い。
「甘味の自給…それは…交易の依存を減らせるということか?」
「はい。そして甜菜の搾りかすは家畜の飼料にもなるの」
砂糖は王国でも取れるけど絶対量が少ないの。サテラージャ国や他の国から輸入してるんだよね。
「これらの製造は、どのように…」
「はい。リップクリームやハンドクリームはドワーヴンベースで小人が作ってる。蒸留器や缶詰の製造には地精の技術がある。で、風精の森から香料や薬草の供給も受けていて、火の民と水竜人と獣人が、遠隔地からの材料運搬を担ってくれている」
その言葉に、ウルリッヒ様が頷いた。
「異種族の協力を得て、ここまでの流通網を構築したということか。7歳で、ここまでのことを成すとは…」
「…年齢は問題ではないということだな」
と、宰相が小さく呟いた。
「リョウエスト。お前の手によって、この王国にまた新たな光が差し込もうとしておる」
王様はそう言い、そして微笑んでこう続けた。
「これほどの知恵と才覚を、王家に惜しみなく提供する姿勢、王族である我らも、学ぶべき点が多い。今後とも力を貸してくれるか?」
「はい、王様」
「それでは、ただいまより、リョウエスト商会による新製品の御前発表会を始めます」
侍従の高らかな声と共に、僕は入場した。前よりなんか大事になってるなあ。並んで座る王様と王妃様、そして第一王子ウルリッヒ様、さらには宰相や重臣たちさらには官僚達の目が一斉に僕へと注がれた。
「リョウエスト商会、商会長リョウエスト・スサンなの。今日は王国の未来に役立つと信じる新たな発明と製品をご紹介するの」
「リョウエスト、よろしく頼む」
「はい、王様」
まず最初に披露したのは、缶詰だった。
「こちらは密閉された容器に食材を封じて長期保存を可能にするもの。加熱・殺菌された中身は半年、あるいは一年以上も保存できる」
「保存…半年も?」
農務大臣が思わず声を漏らした。王妃も、興味深そうに銀色の缶を手に取り、中身を確かめる。
「これは…お肉かしら?いい香りがするわ」
「はい。豚肉を使用した角煮なの。他にも野菜や魚の缶詰もあります」
周囲にどよめきが広がる。戦時や災害時、遠征中の兵士たちに、温かく栄養のある食事を提供できるいう価値をわかってくれたみたいね。
「リョウエスト、それはルステインだけで生産できるのか?」
「いいえ。王国各地に製造所を設ければ地方でも生産できる。農産物の余剰分を利用することで農村の経済支援にも繋がるかも。利用料と専用の魔法道具は買って欲しい」
「それは購入しよう」
そして、次に披露したのは、ウイスキー。
「これは…なんと申すのだ?」
「ウイスキーと言う。麦を糖化・発酵させ、蒸留し、樽で熟成させた酒です。こちらは、特製の大型蒸留器で作られる。ちなみに熟成はワインと同じように錬金術でやった。ここにあるのは8年物」
琥珀色に透き通る液体を一口含んだ財務大臣が、目を見開いた。ふふふ。美味しいでしょ?
「…これは、酒か?いやこれは…ただの酒ではない!」
王様がゆっくりと杯を取り口をつけた。そして一言。
「…見事だ」
会議室全体が静まり返っちゃった。
「この味と香り、その製法、なによりこれまで誰も知らなかった酒が王国に現れたという衝撃。これはすごい事ですよ!」
突然、外務大臣が叫ぶ。この人酒好きだもんね。
「このレシピを王国にさしあげます。蒸留器の図面もすべて無償でお渡しする。ウイスキーのレシピ使用料だけ下さい」
「なに…?」
官僚の1人が驚きの声をあげる。そりゃ驚くよね。
「…黙れ」
宰相が声を低くした。怖いな。僕は静かに答える。
「ウイスキーという新たな酒を王国のものとすることで各地の村や町にも新しい産業が生まれるの。王国全体の利益になると考えてる。その中でまた新しい商機を見つけられれば、それで十分…というか公開しないと地精に怒られる」
「あははは」
「ははは」
「それは仕方ないな」
会議室は笑いに包まれた。それが鎮まると王様が口を開く。
「有言実行だな。面白い」
王妃様が微笑みを浮かべて言った。
「ではその発明好きの商会長さん。次は、どんな驚きが待っているのかしら?」
王妃様、ナイスタイミング。
「はい。次にご紹介するのは、こちら。化粧品」
僕が並べた小瓶には、淡い色のバームや、優しい香りのクリームが詰められている。色々考えたの。大変だった。
「これは、リップクリーム。唇の乾燥を防ぎ、艶やかに保つの」
「まぁ…!」と声をあげたのは、側にいた王妃様付き女官長の侍女さん。
「そしてこちらが、ハンドクリーム。荒れた手肌を潤し、滑らかに保つ。香りは数種類。お楽しみに」
王妃様がそっと指先に取って塗る。
「あー。王妃様?良いの?」
「良いんです。試したかったのですもの。すばらしいわ…まるで、手が若返ったよう」
「そしてこちらが、口紅。ほんのりと色づき、自然な艶が出るの。紅花、紫根など天然の素材で作ったから安全」
王妃と数名の女性官僚が夢中になって試してる。ウルリッヒ様が小声で「これは売れるな」と呟いて近くの軍務大臣が吹き出していた。
「では最後のを紹介します。こちらは甜菜糖です」
僕が差し出したのは、純白の砂糖のような粉末。
「これは、甜菜と呼ばれる植物の根から抽出・精製した甘味料。寒冷地でも育つため、南のサテラージャ国に頼らずとも甘味を国内で生産できるの。知られずにかなりの所で食べられているみたい」
その瞬間、財務大臣と農務大臣の視線が鋭くなった。怖い。
「甘味の自給…それは…交易の依存を減らせるということか?」
「はい。そして甜菜の搾りかすは家畜の飼料にもなるの」
砂糖は王国でも取れるけど絶対量が少ないの。サテラージャ国や他の国から輸入してるんだよね。
「これらの製造は、どのように…」
「はい。リップクリームやハンドクリームはドワーヴンベースで小人が作ってる。蒸留器や缶詰の製造には地精の技術がある。で、風精の森から香料や薬草の供給も受けていて、火の民と水竜人と獣人が、遠隔地からの材料運搬を担ってくれている」
その言葉に、ウルリッヒ様が頷いた。
「異種族の協力を得て、ここまでの流通網を構築したということか。7歳で、ここまでのことを成すとは…」
「…年齢は問題ではないということだな」
と、宰相が小さく呟いた。
「リョウエスト。お前の手によって、この王国にまた新たな光が差し込もうとしておる」
王様はそう言い、そして微笑んでこう続けた。
「これほどの知恵と才覚を、王家に惜しみなく提供する姿勢、王族である我らも、学ぶべき点が多い。今後とも力を貸してくれるか?」
「はい、王様」
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