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7歳の駈歩。
ストラ兄さんデートする。
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王都へウルリッヒ王子、アストリア、ビッターが公務で戻っていった翌日。ストラ兄さんとマリーダ、メリンの三人は朝からルステインの街中へと繰り出していった。王子が帰ってもなおルステインに残った二人の令嬢の目的はただ一つ。ストラ兄さんとの、穏やかで特別な時間だった。
街角の露店では名物の焼き菓子を買い、人気のあるガラス細工の工房を見学し、さらには街の南にある絹織物の新工房も訪れた。ジルケル織物の織機を見たマリーダが目を輝かせ、「本当にこんな場所がここにあるなんて信じられないわ」と呟いたのを、ストラ兄さんはどこか誇らしげに笑っていた。
「……メリン、この工房の織り方、私たちの領地にも参考になるかもしれないわ」
「うん。でも、それより先に、私たちも、あの家のご両親に会わなくちゃね」
二人が微笑み合うと、ストラ兄さんが次に誘う。次はルステインでも老舗の喫茶店だった。
「こんなにゆっくり時を過ごしたのは久しぶりだわ」
「そうね。学園では何かと騒がしいものね。ストラ、ありがとう」
「何が?」
「あなたが誘ってくれなかったら私達またルステインに来れなかったの」
「そうなの?」
「ええ。ストラが一緒なら良いってお父様が」
「私のところの父もそうだわ」
「まさか王子様達とお忍びで来られるとは思わなかったけど」
「それはそれで楽しかったわ」
「それは良かった」
「ねえ、また来ていいかしら?」
「もちろん良いよ」
「私も」
「うん。もちろん」
午後には、いよいよ僕のお父さんとお母さんと夕食を共にする食事会が開かれた。場所は、僕たちの工房のダイニングで、落ち着いた雰囲気の中で準備された料理が並ぶ。僕とフィグさんとメディルが一生懸命作った料理だ。お父さんはいつもより少しだけ背筋を伸ばし、お母さんは優雅にマリーダとメリンに話しかけていた。さすが貴族の娘だね。お父さんがストラ兄さんの学校での様子を聞く。
「ストラストとは、学園ではどうですか? あの子は昔から少し人の世話を焼きたがるところがありまして」
「ええ、お父様。そこがまた、私たち…いえ、皆にとっても頼れるところですわ」
「それに成績がとても良いので色んな方の勉強を見てます。もちろん私達も」
「でも本当に人の為を思って行動するのです。私達も本当にストラには色々と教えてもらっておりますわ」
少し顔を赤らめながら答えるマリーダさんの言葉に、メリンさんもこっそりと笑いを含んだ視線を送る。お母さんがそれに気づいてにこやかに微笑んだのを見て、僕は内心、これはもしかしたら結婚て事になるのかもしれないのではと、ちょっとだけ思った。でも家の格が違いすぎるし、大丈夫なのかなあ?
食事会の終盤、さりげなくお父さんが問いかけた。
「お二人のご領地では、温泉にはご興味は?」
「ええ、もちろんですわ。ミシェがご領地で温泉を管理されていると、以前お手紙で伺っております」
「私達はここを出たらそちらに向かって行きます。ミシェと会いたいし」
「そうなんですね。それは良かった。ミシェレルと連絡を取ったのです。マリーダさんとメリンさんが戻ってきたと。ミシェレルがご興味があるようでしたら、そちらでしばし静養されてはいかがでしょうと言っています。そちらで会われるのはいかがでしょうか?」
マリーダとメリンは顔を見合わせて、ほぼ同時に頷いた。
そしてその翌日。二人の領地から迎えの馬車が到着した。立派な家紋入りの二台の馬車に、よく鍛えられた護衛騎士がついている。準備を終えたマリーダとメリンは、僕たちの商会の玄関で別れを惜しんでいた。
「本当に、良いお時間をありがとうございました」
「あなたのお父様とお母様も、素晴らしい方でしたわ。リョウエスト……また会いましょうね」
そう言ってストラ兄さんの顔を見て、「ね?」と小さく問いかけるように笑ったマリーダの表情は、いつになく柔らかかった。ストラ兄さんも「うん」と照れくさそうに頷く。
「じゃあ、温泉に行ったら姉さんによろしくね。二人に会いたいってずっと言ってたからね」
「ええ、もちろん。ミシェには色々助けられました。久しぶりにお会いできるのが楽しみです」
そして三人は、名残惜しそうに手を振りながら馬車に乗り込んだ。僕は彼女たちの馬車が街の大通りを抜け、街の中央に入るまでずっと見送った。
ミシェ姉さんの領地には、風呂治療場として知られる『安らぎの宿』1号館がある。前僕と工房のメンバーで慰安旅行に行った場所だ。そこはストラ兄さんが以前から『一度行ってみたい』と話していた場所でもあった。
マリーダさんとメリンさん、そしてストラ兄さんの三人は、その湯治場に数日間滞在する予定だった。学園では「学友」として、時にぶつかり、時に支え合ってきた関係。だが今、ここルステインで少しずつその距離が変わろうとしていた。
ミシェ姉さんはきっと、三人のそんな空気をすぐに察するだろう。そして、なにか上手に背中を押してくれるに違いない。僕の姉さんは、そういう人だから。
街角の露店では名物の焼き菓子を買い、人気のあるガラス細工の工房を見学し、さらには街の南にある絹織物の新工房も訪れた。ジルケル織物の織機を見たマリーダが目を輝かせ、「本当にこんな場所がここにあるなんて信じられないわ」と呟いたのを、ストラ兄さんはどこか誇らしげに笑っていた。
「……メリン、この工房の織り方、私たちの領地にも参考になるかもしれないわ」
「うん。でも、それより先に、私たちも、あの家のご両親に会わなくちゃね」
二人が微笑み合うと、ストラ兄さんが次に誘う。次はルステインでも老舗の喫茶店だった。
「こんなにゆっくり時を過ごしたのは久しぶりだわ」
「そうね。学園では何かと騒がしいものね。ストラ、ありがとう」
「何が?」
「あなたが誘ってくれなかったら私達またルステインに来れなかったの」
「そうなの?」
「ええ。ストラが一緒なら良いってお父様が」
「私のところの父もそうだわ」
「まさか王子様達とお忍びで来られるとは思わなかったけど」
「それはそれで楽しかったわ」
「それは良かった」
「ねえ、また来ていいかしら?」
「もちろん良いよ」
「私も」
「うん。もちろん」
午後には、いよいよ僕のお父さんとお母さんと夕食を共にする食事会が開かれた。場所は、僕たちの工房のダイニングで、落ち着いた雰囲気の中で準備された料理が並ぶ。僕とフィグさんとメディルが一生懸命作った料理だ。お父さんはいつもより少しだけ背筋を伸ばし、お母さんは優雅にマリーダとメリンに話しかけていた。さすが貴族の娘だね。お父さんがストラ兄さんの学校での様子を聞く。
「ストラストとは、学園ではどうですか? あの子は昔から少し人の世話を焼きたがるところがありまして」
「ええ、お父様。そこがまた、私たち…いえ、皆にとっても頼れるところですわ」
「それに成績がとても良いので色んな方の勉強を見てます。もちろん私達も」
「でも本当に人の為を思って行動するのです。私達も本当にストラには色々と教えてもらっておりますわ」
少し顔を赤らめながら答えるマリーダさんの言葉に、メリンさんもこっそりと笑いを含んだ視線を送る。お母さんがそれに気づいてにこやかに微笑んだのを見て、僕は内心、これはもしかしたら結婚て事になるのかもしれないのではと、ちょっとだけ思った。でも家の格が違いすぎるし、大丈夫なのかなあ?
食事会の終盤、さりげなくお父さんが問いかけた。
「お二人のご領地では、温泉にはご興味は?」
「ええ、もちろんですわ。ミシェがご領地で温泉を管理されていると、以前お手紙で伺っております」
「私達はここを出たらそちらに向かって行きます。ミシェと会いたいし」
「そうなんですね。それは良かった。ミシェレルと連絡を取ったのです。マリーダさんとメリンさんが戻ってきたと。ミシェレルがご興味があるようでしたら、そちらでしばし静養されてはいかがでしょうと言っています。そちらで会われるのはいかがでしょうか?」
マリーダとメリンは顔を見合わせて、ほぼ同時に頷いた。
そしてその翌日。二人の領地から迎えの馬車が到着した。立派な家紋入りの二台の馬車に、よく鍛えられた護衛騎士がついている。準備を終えたマリーダとメリンは、僕たちの商会の玄関で別れを惜しんでいた。
「本当に、良いお時間をありがとうございました」
「あなたのお父様とお母様も、素晴らしい方でしたわ。リョウエスト……また会いましょうね」
そう言ってストラ兄さんの顔を見て、「ね?」と小さく問いかけるように笑ったマリーダの表情は、いつになく柔らかかった。ストラ兄さんも「うん」と照れくさそうに頷く。
「じゃあ、温泉に行ったら姉さんによろしくね。二人に会いたいってずっと言ってたからね」
「ええ、もちろん。ミシェには色々助けられました。久しぶりにお会いできるのが楽しみです」
そして三人は、名残惜しそうに手を振りながら馬車に乗り込んだ。僕は彼女たちの馬車が街の大通りを抜け、街の中央に入るまでずっと見送った。
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マリーダさんとメリンさん、そしてストラ兄さんの三人は、その湯治場に数日間滞在する予定だった。学園では「学友」として、時にぶつかり、時に支え合ってきた関係。だが今、ここルステインで少しずつその距離が変わろうとしていた。
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