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8歳の旅回り。
アシスト付き馬車。
僕は次に、布に包まれた2本の瓶を持ち出した。
「続いては、蒸留酒のアクアヴィットとブランデー。どちらも新開発の『香りを閉じ込める蒸留法』で製造しています」
「おお、酒だな!」
王様がやや身を乗り出す。
「試飲をしても?」
「はい、王様。まずアクアヴィット、こちらは香草を使った透明な酒。冷やしてお楽しみください」
王様がグラスに口をつける。
「…うむ、これは…口に入れた瞬間、香草が立ち上る…これは王国に今までない」
「香り高いお酒です。美味しい」
外務大臣が本当に美味そうに呑む。相変わらず酒好きだなあ。
「次はブランデー。こちらは果実を使った琥珀色の酒。熟成の工程を経て、香りを豊かにした。熟成は錬金術で今回もやった」
王妃様も香りだけ嗅いで目を細めた。
「芳醇…この香りは、まるで陽の当たる果樹園」
ウルリッヒ殿下が軽く笑って言う。
「これは『新しい贈答品』になるぞ、父上」
「うむ。どちらも素晴らしい。…リョウエスト、これらの酒の製法は?」
「ウイスキーと同じようにレシピは王国に献上。ただし、商業的な大量生産には設備が必要ですので、詳しい工程はリョウエスト商会の技術者と相談のうえで。僕はレシピ使用料をもらえれば良いです。」
「よくぞ言った。独占ではなく、分け合うことに価値がある」
そして、最後の目玉──アシスト付き馬車が中庭の一角で帆を上げていた。
「最後に、こちら。アシスト付き馬車。中に魔力蓄力装置と言う魔法道具を備え、坂道や荷重が重い時に自動で補助動力が働くの。馬の負担を軽減し、速度と安全性が向上します」
御者役の護衛が軽く鞭を入れると、馬車が滑らかに動き出した。
「坂を登ってるのに、馬の息が上がってない…?」
内務大臣が目を丸くする。
「それがアシストの効果。王都の坂道や長距離輸送、そして貴族の遠乗りにも向いている」
「子供や老人の移動にも安全ですね」
王妃様が優しく言った。
「ちなみに、中の座席には揺れを抑える仕掛けもあるの。ぜひ後ほど体験を」
「リョウエスト殿…これは、ただの商才ではない。君は未来を『設計』しているのだな」
宰相が静かに、しかし確かに言った。
僕は深く頭を下げた。
「皆様の力あってのこと。僕は、その手助けがしたいだけ」
……空は青く澄み渡り、王国の未来に一筋の光が射していた。
中庭での展示がひととおり終わると、王様が手を軽く上げた。全員の視線が自然と集まる。
「…ふむ、リョウエスト。見事だった」
「はい、王様。恐縮です」
「いや、礼など要らぬ。これは褒め言葉ではなく、王としての判断だ。王国に、お前の才覚は必要だ」
重みのある言葉に、宰相が静かに頷いた。
「第二回にして、これほどの完成度…我々の常識は、リョウエスト殿によって年ごとに塗り替えられている」
「とくに、アシスト付き馬車…あれは王都と地方をつなぐ物流のあり方すら変えるやもしれぬな」
軍務大臣が唸るように言った。
「それだけじゃありませんわ。化粧水もシャンプーも、女性たちの間で爆発的に広がります。王妃様のお肌のようになりたいって」
王妃付きの女官長が目を輝かせて言う。
「やがて貴族だけではなく、裕福な商人層にも広まるでしょう」
財務大臣が言葉を継いだ。
「王国主導での製造体制を整えるか、あるいはスサン商会と王国が共同で『新しい産業』として育てていくのも一案かと」
「その件、近日中に閣議で検討しよう。リョウエスト、君の側にも相応の責任者を立てて相談を進めよ」
「はい、すでに王都支店の兄、ロイックエンが取りまとめてる。今後の交渉や工程はお兄さんと共に動きます」
王様が軽く目を細めた。
「ロイックエンか…兄弟で手を携えて未来を築く。理想的だな」
そのとき、ウルリッヒ殿下が前に出てきた。
「陛下。私からも、一言よろしいですか」
「構わぬ。言ってみよ、ウルリッヒ」
「……リョウエスト。私は君の発明そのものも素晴らしいと思うが、それ以上に、『分け与える姿勢』に感銘を受けた。利益を独占するのではなく、王国の民に広く与える。この精神こそ、我が国に最も必要なものだと、私は思う」
殿下の声に、場の空気が一瞬引き締まった。
「ありがとう、ございます。僕は、王国が皆の手でよくなっていくために、自分にできることをしているだけ。…欲張るより、分かち合うほうが、幸せは広がると思うから」
「見事ね」
王妃様がぽつりと呟き、周囲に柔らかな空気が戻る。
「そうだ、陛下。王立学園で『技術を学ぶ子供たち』に、この発表会の様子を記録させてはいかがでしょう? 彼の功績を教本にしてもいい」
内務大臣が提案する。
「面白い。王国に、発明という言葉が根付く第一歩になるだろう」
王様が僕をまっすぐ見て言った。
「リョウエスト。君の行動は、すでに『功績』と呼べるものだ。だが、それは始まりにすぎぬ。君がこれからも発明を続け、王国の未来を照らすことを、我らは期待している」
僕は、深く一礼した。
「はい。僕はまだ8歳。これからも、学び、考え、作り続けるの。王国と、皆さんの未来のために」
場に柔らかな拍手が広がる。
「続いては、蒸留酒のアクアヴィットとブランデー。どちらも新開発の『香りを閉じ込める蒸留法』で製造しています」
「おお、酒だな!」
王様がやや身を乗り出す。
「試飲をしても?」
「はい、王様。まずアクアヴィット、こちらは香草を使った透明な酒。冷やしてお楽しみください」
王様がグラスに口をつける。
「…うむ、これは…口に入れた瞬間、香草が立ち上る…これは王国に今までない」
「香り高いお酒です。美味しい」
外務大臣が本当に美味そうに呑む。相変わらず酒好きだなあ。
「次はブランデー。こちらは果実を使った琥珀色の酒。熟成の工程を経て、香りを豊かにした。熟成は錬金術で今回もやった」
王妃様も香りだけ嗅いで目を細めた。
「芳醇…この香りは、まるで陽の当たる果樹園」
ウルリッヒ殿下が軽く笑って言う。
「これは『新しい贈答品』になるぞ、父上」
「うむ。どちらも素晴らしい。…リョウエスト、これらの酒の製法は?」
「ウイスキーと同じようにレシピは王国に献上。ただし、商業的な大量生産には設備が必要ですので、詳しい工程はリョウエスト商会の技術者と相談のうえで。僕はレシピ使用料をもらえれば良いです。」
「よくぞ言った。独占ではなく、分け合うことに価値がある」
そして、最後の目玉──アシスト付き馬車が中庭の一角で帆を上げていた。
「最後に、こちら。アシスト付き馬車。中に魔力蓄力装置と言う魔法道具を備え、坂道や荷重が重い時に自動で補助動力が働くの。馬の負担を軽減し、速度と安全性が向上します」
御者役の護衛が軽く鞭を入れると、馬車が滑らかに動き出した。
「坂を登ってるのに、馬の息が上がってない…?」
内務大臣が目を丸くする。
「それがアシストの効果。王都の坂道や長距離輸送、そして貴族の遠乗りにも向いている」
「子供や老人の移動にも安全ですね」
王妃様が優しく言った。
「ちなみに、中の座席には揺れを抑える仕掛けもあるの。ぜひ後ほど体験を」
「リョウエスト殿…これは、ただの商才ではない。君は未来を『設計』しているのだな」
宰相が静かに、しかし確かに言った。
僕は深く頭を下げた。
「皆様の力あってのこと。僕は、その手助けがしたいだけ」
……空は青く澄み渡り、王国の未来に一筋の光が射していた。
中庭での展示がひととおり終わると、王様が手を軽く上げた。全員の視線が自然と集まる。
「…ふむ、リョウエスト。見事だった」
「はい、王様。恐縮です」
「いや、礼など要らぬ。これは褒め言葉ではなく、王としての判断だ。王国に、お前の才覚は必要だ」
重みのある言葉に、宰相が静かに頷いた。
「第二回にして、これほどの完成度…我々の常識は、リョウエスト殿によって年ごとに塗り替えられている」
「とくに、アシスト付き馬車…あれは王都と地方をつなぐ物流のあり方すら変えるやもしれぬな」
軍務大臣が唸るように言った。
「それだけじゃありませんわ。化粧水もシャンプーも、女性たちの間で爆発的に広がります。王妃様のお肌のようになりたいって」
王妃付きの女官長が目を輝かせて言う。
「やがて貴族だけではなく、裕福な商人層にも広まるでしょう」
財務大臣が言葉を継いだ。
「王国主導での製造体制を整えるか、あるいはスサン商会と王国が共同で『新しい産業』として育てていくのも一案かと」
「その件、近日中に閣議で検討しよう。リョウエスト、君の側にも相応の責任者を立てて相談を進めよ」
「はい、すでに王都支店の兄、ロイックエンが取りまとめてる。今後の交渉や工程はお兄さんと共に動きます」
王様が軽く目を細めた。
「ロイックエンか…兄弟で手を携えて未来を築く。理想的だな」
そのとき、ウルリッヒ殿下が前に出てきた。
「陛下。私からも、一言よろしいですか」
「構わぬ。言ってみよ、ウルリッヒ」
「……リョウエスト。私は君の発明そのものも素晴らしいと思うが、それ以上に、『分け与える姿勢』に感銘を受けた。利益を独占するのではなく、王国の民に広く与える。この精神こそ、我が国に最も必要なものだと、私は思う」
殿下の声に、場の空気が一瞬引き締まった。
「ありがとう、ございます。僕は、王国が皆の手でよくなっていくために、自分にできることをしているだけ。…欲張るより、分かち合うほうが、幸せは広がると思うから」
「見事ね」
王妃様がぽつりと呟き、周囲に柔らかな空気が戻る。
「そうだ、陛下。王立学園で『技術を学ぶ子供たち』に、この発表会の様子を記録させてはいかがでしょう? 彼の功績を教本にしてもいい」
内務大臣が提案する。
「面白い。王国に、発明という言葉が根付く第一歩になるだろう」
王様が僕をまっすぐ見て言った。
「リョウエスト。君の行動は、すでに『功績』と呼べるものだ。だが、それは始まりにすぎぬ。君がこれからも発明を続け、王国の未来を照らすことを、我らは期待している」
僕は、深く一礼した。
「はい。僕はまだ8歳。これからも、学び、考え、作り続けるの。王国と、皆さんの未来のために」
場に柔らかな拍手が広がる。
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