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8歳の旅回り。
急転の逃避行。
その日は華やかな社交シーズンの一幕として、王都の貴族宅での昼下がりの茶会に出席していた。
ストークは静かに控え、ミザーリは侍女の格好をして控えている。青の技の六人も、影から護衛のように存在していた。
会話は和やかだった。
しかしどこか、僕への関心と警戒が混じり合っているような…そんな気配を感じた。
その夜、別の上級貴族の夜会へ向かおうとしていたとき…。
突然、王都内部で社会混乱を狙った襲撃計画が暴かれたという知らせが入る。
「王都は危険だ」
アインスの声が低く響く。
「名の一団がリョウエスト様を『移動させる』計画があったでやす」
物々しい緊迫感が走り、護衛たちの顔が引き締まる。
「王都には留まれないのか?」
ミザーリが冷静に問い、ツヴァイが答える。
「怪しい貴族連中の招待は、黒幕の仕業。今は王都やルステインに戻るのは危険だ」
ナビが翼をばたつかせ、不安げに鳴いた。僕はぐっと胸を押さえた。
「じゃあ、どこへ行くの?」
ストークが静かに告げる。
「以前、あちこちの貴族様から招待がありました。その中で火の民自治領から招待があったはずです…そちらへ移動いたします」
火の民領地は、王都からは距離があるが、異種族の自治領であり、外部からの政治的圧力が最も少ない場所だった。周囲の貴族が信用できない今、そこに避難するのが最善だった。王都から一番近い異種族の自治領である。
僕は一瞬だけ迷ったが、小さく頷いた。
「…わかった。マックスさんにも迷惑かけられないし、行くしかない」
僕はマックスさんに手紙を残し、ストーク、ミザーリたちはすぐ準備を始めた。御者のアレクと馬車のボルクも、荷物と支度を整えている。青の技たちはネットワークを使い、安全確認と先回り情報を集めてくれた。
馬車は夜半に動き出し、月明かりの下、王都を離れていった。僕は静かに窓際から景色を見送っていた。
深夜、馬車が山道を進んでいた。外は深い森に囲まれ、警戒の空気が張り詰めていた。
突然、茂みから数人の影が現れ、馬車を襲おうと襲来してきた。剣を持った刺客、魔法師の魔力、暗殺者の矢が飛ぶ。
アレクが制御を失いそうになるが、ミザーリが槍で斬り伏せ、ストークが混乱を抑える。
巨大化したナビは窓外を垂直に飛び、警戒の視界を確保。青の技たちは闇に溶け込むように動き、襲撃者の背後へ忍び寄る。
止められない気配を感じていたそのとき、細剣を構えた女性の影が夜霧の中から現れた。
「エメイラ!」
僕は息を呑む。
風精の魔術の達人、幼い頃から僕を守ってくれた守護者エメイラヒルデだった。紫髪を風に揺らし、瞳は静かな決意に満ちていた。
「危ないところだったでやすな」
アインスが驚き混じりに言う。
エメイラは微笑み、指先から火と氷の術を放った。
その瞬間、刺客たちは一瞬で凍りつき、魔術は烈火となって空中で閃いた。
襲撃者の武器は空中で崩れ、森の闇に溶けるように姿を消していった。
「遅れてごめん」
エメイラは僕の隣に立ち、「任せて」と静かに言った。彼女の穏やかで頼れる口調に、僕の心はひどく安堵した。
襲撃は一瞬にして終わった。アインスと仲間たちが現場を封鎖し、証拠を確保した。
「どうして…急に?」
僕が訊ねると、エメイラは肩をすくめた。
「何か気になって飛んできた。あなたが教えてくれた『あれ』で。あなたが危ないと直感的に思ったの。それで魔術を使いここまで追ってきたわ。助けられて良かった」
その後、走り通して3日目の夜明け間近、馬車は火の民自治領の門の前に到着した。
火の民の兵士たちは異形な装飾と炎の盾を持っていて、静かに警護隊を編成していた。僕たちは熱い歓迎を受けた。
自治領の領主公邸で、僕たちは温かな炎の光に包まれながら静かに迎え入れられた。
火の民伯は王都にいるという事で領主代理の歓迎を受けた。領主代理は赤銅色の肌を持つ女性で、僕を丁寧に案内してくれた。
「リョウエスト殿、ここが我らが領地です。王都から離れることは不安でしょうが、ここなら安全です。異族の間で風聞も遮られます」
その言葉に、僕は深く頭を下げた。
「ありがとうございます…… みんな、僕を守ってくれて」
火の民の歓迎式の後、僕はストークを通じて王都の王様へ『速文』を送った。
『ご報告申し上げます。無事に火の民領地に無事に到着しました。今しばらくここに滞在し、回復と調整に充てます。大舞踏会に間に合うかわかりませんができるだけ早く戻ります』
ほどなくして返信があった。
『リョウエスト、無事の報に安心した。しばらく火の民領地に滞在せよ。王命。王都へ急ぐことなかれ。安全第一だ』
それは、王様からの深い信頼とまごころを感じる一文だった。
ストークやミザーリも、僕の横で少し肩の力を抜いていた。その後ルステインにいる家族にも手紙を送る。
エメイラは微笑みながら言った。
「しばらくはここで、あなた自身を取り戻したらいい。友と魔術と火の温もりの中で」
アインスは、青の技六人とともに火の民兵と協力し、王命と連携しながら情報網と警戒体制を整えていた。
領地の夜は炎の儀式と火吹きの舞で彩られ、異種族たちの笑顔と音色の波が心地よかった。外の危険を一時離れ、僕は深く息を吐いた。
「守られているって、こういうことなんだな」
火の民の炎は、夜空に優しく揺れていた。
それは、失われそうになった『名』を、温かく包み込む未来の炎だったのだった。
ストークは静かに控え、ミザーリは侍女の格好をして控えている。青の技の六人も、影から護衛のように存在していた。
会話は和やかだった。
しかしどこか、僕への関心と警戒が混じり合っているような…そんな気配を感じた。
その夜、別の上級貴族の夜会へ向かおうとしていたとき…。
突然、王都内部で社会混乱を狙った襲撃計画が暴かれたという知らせが入る。
「王都は危険だ」
アインスの声が低く響く。
「名の一団がリョウエスト様を『移動させる』計画があったでやす」
物々しい緊迫感が走り、護衛たちの顔が引き締まる。
「王都には留まれないのか?」
ミザーリが冷静に問い、ツヴァイが答える。
「怪しい貴族連中の招待は、黒幕の仕業。今は王都やルステインに戻るのは危険だ」
ナビが翼をばたつかせ、不安げに鳴いた。僕はぐっと胸を押さえた。
「じゃあ、どこへ行くの?」
ストークが静かに告げる。
「以前、あちこちの貴族様から招待がありました。その中で火の民自治領から招待があったはずです…そちらへ移動いたします」
火の民領地は、王都からは距離があるが、異種族の自治領であり、外部からの政治的圧力が最も少ない場所だった。周囲の貴族が信用できない今、そこに避難するのが最善だった。王都から一番近い異種族の自治領である。
僕は一瞬だけ迷ったが、小さく頷いた。
「…わかった。マックスさんにも迷惑かけられないし、行くしかない」
僕はマックスさんに手紙を残し、ストーク、ミザーリたちはすぐ準備を始めた。御者のアレクと馬車のボルクも、荷物と支度を整えている。青の技たちはネットワークを使い、安全確認と先回り情報を集めてくれた。
馬車は夜半に動き出し、月明かりの下、王都を離れていった。僕は静かに窓際から景色を見送っていた。
深夜、馬車が山道を進んでいた。外は深い森に囲まれ、警戒の空気が張り詰めていた。
突然、茂みから数人の影が現れ、馬車を襲おうと襲来してきた。剣を持った刺客、魔法師の魔力、暗殺者の矢が飛ぶ。
アレクが制御を失いそうになるが、ミザーリが槍で斬り伏せ、ストークが混乱を抑える。
巨大化したナビは窓外を垂直に飛び、警戒の視界を確保。青の技たちは闇に溶け込むように動き、襲撃者の背後へ忍び寄る。
止められない気配を感じていたそのとき、細剣を構えた女性の影が夜霧の中から現れた。
「エメイラ!」
僕は息を呑む。
風精の魔術の達人、幼い頃から僕を守ってくれた守護者エメイラヒルデだった。紫髪を風に揺らし、瞳は静かな決意に満ちていた。
「危ないところだったでやすな」
アインスが驚き混じりに言う。
エメイラは微笑み、指先から火と氷の術を放った。
その瞬間、刺客たちは一瞬で凍りつき、魔術は烈火となって空中で閃いた。
襲撃者の武器は空中で崩れ、森の闇に溶けるように姿を消していった。
「遅れてごめん」
エメイラは僕の隣に立ち、「任せて」と静かに言った。彼女の穏やかで頼れる口調に、僕の心はひどく安堵した。
襲撃は一瞬にして終わった。アインスと仲間たちが現場を封鎖し、証拠を確保した。
「どうして…急に?」
僕が訊ねると、エメイラは肩をすくめた。
「何か気になって飛んできた。あなたが教えてくれた『あれ』で。あなたが危ないと直感的に思ったの。それで魔術を使いここまで追ってきたわ。助けられて良かった」
その後、走り通して3日目の夜明け間近、馬車は火の民自治領の門の前に到着した。
火の民の兵士たちは異形な装飾と炎の盾を持っていて、静かに警護隊を編成していた。僕たちは熱い歓迎を受けた。
自治領の領主公邸で、僕たちは温かな炎の光に包まれながら静かに迎え入れられた。
火の民伯は王都にいるという事で領主代理の歓迎を受けた。領主代理は赤銅色の肌を持つ女性で、僕を丁寧に案内してくれた。
「リョウエスト殿、ここが我らが領地です。王都から離れることは不安でしょうが、ここなら安全です。異族の間で風聞も遮られます」
その言葉に、僕は深く頭を下げた。
「ありがとうございます…… みんな、僕を守ってくれて」
火の民の歓迎式の後、僕はストークを通じて王都の王様へ『速文』を送った。
『ご報告申し上げます。無事に火の民領地に無事に到着しました。今しばらくここに滞在し、回復と調整に充てます。大舞踏会に間に合うかわかりませんができるだけ早く戻ります』
ほどなくして返信があった。
『リョウエスト、無事の報に安心した。しばらく火の民領地に滞在せよ。王命。王都へ急ぐことなかれ。安全第一だ』
それは、王様からの深い信頼とまごころを感じる一文だった。
ストークやミザーリも、僕の横で少し肩の力を抜いていた。その後ルステインにいる家族にも手紙を送る。
エメイラは微笑みながら言った。
「しばらくはここで、あなた自身を取り戻したらいい。友と魔術と火の温もりの中で」
アインスは、青の技六人とともに火の民兵と協力し、王命と連携しながら情報網と警戒体制を整えていた。
領地の夜は炎の儀式と火吹きの舞で彩られ、異種族たちの笑顔と音色の波が心地よかった。外の危険を一時離れ、僕は深く息を吐いた。
「守られているって、こういうことなんだな」
火の民の炎は、夜空に優しく揺れていた。
それは、失われそうになった『名』を、温かく包み込む未来の炎だったのだった。
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