【完結保証】僕の異世界攻略〜神の修行でブラッシュアップ〜

リョウ

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8歳の旅回り。

たこ焼き完成。

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 朝、まだ太陽が昇りきる前。潮の香りが街を包み、波音が心地よく響く中、僕はナビを肩に乗せて市場を歩いていた。ストークとエメイラ、ミザーリが共だ。

「さすが水竜人の街、魚介が豊富だね…お、これはツバメイワシ? こっちは…赤エビか」

 早朝から漁師たちが網から魚を外し、威勢のいい掛け声と共に魚を並べていた。どれも鮮度抜群で、目が澄んでいる。

 けれど、魚介をひととおり見て回った僕は、あることに気づいて立ち止まった。

「…あれ?タコがない。カニも、見かけなかったような」

 小声で呟き、ナビに問う。

「なあナビ、さっきからカニとタコ、全然見ないよな?」
「にゃ、にゃあ」
「そうだね、見てないよね」
「タコとカニってなんなの?」
「こんなの」

 僕は腰のスケッチ帳を取り出し、絵を描いた。小さなタコと、丸いカニ。

「見た事ないわね」
「そうかあ。美味しいのにな」

 通りすがりの漁師にそれを見せる。

「これ、見たことある?」
「ん? なんだこれ……ああ、こいつらか。今日も網にかかってたが、邪魔になるんで捨てちまったよ。誰も食わんしな」
「えええ…」

 僕の驚いた声に、近くの商人も振り返る。

「カニもタコも、捨てられてる……?」

 言葉を失いかけたその時、港に戻ったばかりの漁師たちの中に、一人が大きな籠を持っていた。中には、まだ生きたタコと数匹のカニが!

「すみません、それ、もらえませんか?」
「え?こんなもんでいいのかい?ほらよ」

 嬉々として受け取った僕は、それをナビと共に料理ギルドへと走った。

「タコとカニを料理として登録したいんです!」

 ギルドの調理登録係が目を丸くする。

「……タコ?カニ?食べるの?本当に?」
「食べます!ちょっと調理道具が必要ですが…鍛冶場から鉄板をもらえますか?」
「え、ええ…SSランクの王命預かるご身分ですから、断る理由はありませんが…近所の鍛冶屋から持ってきます」

 鉄板を手にした僕は、その場で錬金術を用いて、たこ焼き器に近い形に変形させた。エメイラも興味深そうに見る。

「リョウ、なにそれ?」
「たこ焼き器っていうんだ。タコを刻んで、小麦粉の生地で丸く包んで焼くんだよ」

 タコの下処理を済ませ、小麦粉と出汁、刻みネギを混ぜた生地に入れ、じゅうじゅうと鉄板に流し込む。周囲の人々が集まってきた。

「おお……良い匂いがする!」
「形が……丸くなっていく! まるで魔法だ!」
「うん、これはもう魔法だよ」

 僕は笑った。
 そして、第一号のたこ焼きが完成した。

「さあ、どうぞ! これが“たこ焼き”です!」

 水竜人の商人が恐る恐る口に入れると――

「…うまい! これは…海の香りと、香ばしい小麦…まったく新しい味だ!」

 場がどよめく中、僕はストークが書いてくれたギルド登録用紙を出した。

「これを新種の料理として登録してください。名は『たこ焼き』。あと…特別条件があります」
「条件?」
「この料理を用いた商売を許可制にし、使用料は徴収してもいい。ただし、水竜人には格安の使用料で提供してください。彼らの手でこの料理を広めてもらいたいんです」

 料理ギルドの長が頷く。

「…わかりました。特例として登録します。これがまた一つ、水の民の誇りになりますな。早速商業ギルド長も呼びます」

 一口食べるとナビがくるりと舞いながら鳴いた。

「にゃーん」
「…美味しいんだねね

 たこ焼きの試食がひと段落すると、市場の中心に自然と人だかりができていた。商人、料理人、水竜人、観光客まで、皆が興味津々でこちらを見ている。

「…この『たこ焼き』、材料はシンプルなのに奥深い味がするな。これは売れる」

 さっきたこ焼きを食べた水竜人の商人が、鼻息荒く僕に詰め寄る。

「リョウエスト殿、うちの店でこれ、すぐに商品化していいか?」
「ちょ、ちょっと待って。料理ギルドとの正式な登録が必要だし、使用料についても水竜人以外は通常の扱いになります」
「ぐぬぬ…まあ、わかった。じゃあ今すぐ水竜人の料理人仲間に声かける! これは逸材だ!」

 彼は飛ぶように市場を走り去っていった。

 その様子を見ていたギルドの料理長と連れて来られた商業ギルド長が目を細めた。

「やれやれ、これはまた王都あたりで流行りそうなものを……まさか異種族の旅の途中で、こんな料理が誕生するとは」
「偶然ですけど、出会えてよかった。食べ物って文化そのものです」

 と、そこに別の商人が口を挟んできた。

「タコはともかく……この“カニ”ってやつ、どうやって食うんだ? 甲羅が硬すぎてどうしようもねえだろ?」
「そこも、ちょっと工夫すればいけますよ」

 僕は市場の調理場を借り、茹でたカニを半分に割って、中の身を取り出して見せた。

「こうして、脚の関節ごとに折って中身を吸い出すんです。こっちの胴体の味噌も……はい、一口」

 ナビが舌を出していたので、少し分けてやる。ナビは飛び上がって喜んだ。エメイラも口を開けたのでカニの身を入れてあげる。

「えっ…!なにこれ、美味しい!」

 周囲がどよめいた。

「おおっ!本当に食えるのか、この硬いヤツ……!」
「信じられん。食材の宝庫なのに、ずっと見落としてたとは……」

 その時、観光に来ていたらしい水の民の子供たちが近づいてきて、僕に質問した。

「ねえねえ、リョウエスト様。なんでこんな食べ方、知ってるの?」
「えっとね、昔、夢の中で…海の中で暮らす人たちから教わったんだ。『波を分ける者』って、呼ばれてるからかな」
「わー…ほんとに伝説の人なんだね!」

 にこにこと見上げる顔に、僕は少し照れて笑った。

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