【完結保証】僕の異世界攻略〜神の修行でブラッシュアップ〜

リョウ

文字の大きさ
402 / 806
8歳の旅回り。

二神と相談します。

「リョウ様、よろしいですか?」

 朝霧に包まれる森で、フュンフが静かに現れた。他の青の技の面々…アインス、ツヴァイ、ドライ、フィア、ゼクスも後に続く。どこか険しい面持ちだ。

「何かあった?」
「昨日の巡察中、怪しい洞穴を見つけたんです。周囲の気配からして、エルフ狩りのアジトの可能性が高いです」
「…場所は?」
「北東の断層帯沿い、古木の裏側です」

 僕はすぐさま陽炎隊のエルグナに指示を出した。

「出撃の準備を。青の技と合同で殲滅戦を行う。ナビ、大きくなってもらえるか?」
「にゃー!」

 縮小の輪を外すとナビが大型化し、まるで森の主のような存在感を放つ。エメイラは細剣を手に、ミザーリは槍を軽く鳴らした。
 森の奥深く、敵の匂いが漂ってきた。

「静かに、まだ突入はしない」

 洞穴の入口には粗末な見張りが二人。エメイラが風の刃で首元を切り裂き、一瞬で沈黙が戻る。

「突入!」

 中は広く、囲いの中に囚われたエルフたちが数十人。鎖に繋がれ、無表情な目でこちらを見ていた。

「エメイラ、ミザーリ、囚人の解放を!」
「了解!」
「任せてくれ」

 陽炎隊と青の技は奥へ突き進む。反撃するエルフ狩りの男たちが次々に倒れていく。

 その時…

「増援か?!」

 外から弓を構えたエルフたちが十数人現れた。

「いや、違う…これは、増援じゃなくて…見学だ」

 エルグナが呟く。
 彼らは目の前の光景を見て言葉を失っていた。

「これが、異種族との共闘……?」

しばらくして囚人の解放が完了し、僕はエルフたちに静かに話しかけた。

「共に戦うことは悪くない。貴方たちの同胞を救いたかったから、僕たちはここに来た」

 ひとりの弓使いの青年が言った。

「…俺たちが逃げてる間に、あんたらが救ってくれたのか」
「これをきっかけにしてほしい。異種族だからこそできることもある。貴方たちと力を合わせたい」

 彼らはうなずいた。
 僕たちは囚人たちを連れて、エルフ伯の館に戻るのだった。

「ここが…アネーシャ神の祠か」

 エルフ伯の手配で、僕とエメイラ、ナビ、ミザーリ、それに青の技からフュンフとフィアが神域へ向かうことになった。僕がお願いしたからだ。

「リョウエスト…この祠で願いを唱えると、神の元に通じるって言い伝えがあるわ」

 エメイラが、祠の中心に立つ。
 僕は祠の床に膝をつき、そっと手を合わせた。

「風の神アネーシャ。貴女に会いたい」

すると、ふわりと空間が歪んだ。

「あ~い、ひさしぶりぃ~、リョウ」
「アネーシャ!」
「ようこそ風の回廊へ。てかさ、最近いろいろやってるじゃん~?めっちゃ見てたよー?研究とか、発明とか~」
「リョウエスト。お久しぶりですね」
「あれ、マデリエネさん」
「水竜人の所で呼んでくれると思ってたんですが呼ばれなかったので会いたくて来てしまいました。飛行、すごいですね!」
「僕は、空を越えて皆を繋ぎたい。あと…今日は、エルフ種の悩みを相談したくて」
「エルフの出生率のことね」

 マデリエネが頷く。

 僕は収納から、小さな銀の瓶を取り出した。

「アネーシャさん、マデリエネさん…僕が以前作った妊娠促進剤知ってるよね。あれ使っていいのか、神の意志を聞きたくて」
「ねぇねぇ、マデリエネ、これ、あたし的にはいいと思うけど?」
「私も、否定はしません。種としての未来に必要な支えとなるのなら」

 マデリエネは、僕の目を見つめて言った。

「ただし、これは希望であって、強制ではない。貴方が渡すにせよ、受け入れるかは彼ら次第。忘れないでください」
「…わかってる。僕はその選択肢を渡したいだけなんだ」
「いい答えね」

 マデリエネが微笑んだ。

「リョウ~、君、やっぱすごいねぇ。面白いよほんと。今度もっと話そう?じゃ、そろそろ地上に戻って~?」
「え、もう?」
「ここはそう長く保たないからね」

 二柱が手を振る。
 風が巻き、祠が僕たちの世界へと戻っていく感覚が訪れた。

「ありがとう、アネーシャ。ありがとう、マデリエネ」

「いってらっしゃい」
「また会いましょう、リョウ」

 光が弾け、世界が戻る。僕たちは森の中の祠に立っていた。

「……帰ってきたな」

 ミザーリが周囲を確認し、僕は静かに手のひらの瓶を見つめた。

「これを……どう渡すかだね」

 エルフ伯の館に戻ると、既にラシェルアルテとエルフ伯が応接間で待っていた。僕は静かに席に着き、銀の瓶をテーブルの上に置く。

「これは……?」

 ラシェルアルテが目を細める。

「妊娠促進剤。僕が研究していたもの。副作用はない。ただ、エルフ種の弱点である『子どもができにくい』問題を改善する可能性がある」

 エルフ伯が瞳を伏せ、瓶をじっと見つめた。

「アネーシャの祠で…神託を受けたのか?」
「はい。風の神アネーシャ、水の神マデリエネ、両神ともに否定はしなかった。ただ強制はできないとも」
「…当然だ」

 エルフ伯は立ち上がり、窓の向こうに広がる森を見つめた。

「我らエルフにとって、命は長く、誕生は神聖なもの。古き森と調和し、時の流れに身を委ねる生き方。それを変えるというのは、容易ではない」

 ラシェルアルテも頷く。

「しかし、リョウエスト様がこの薬を隠さず、選択肢として我らに託したのは…誠実な姿勢と言えましょう」    
「だからこそ、エルフの中でこの問題を議論してもらいたいと思っている。僕は何も押し付けない。ただ、希望の一つとして……」

 そのとき、館の扉がノックされ、若いエルフ兵が入ってきた。

「エルフ伯様! 先ほどの捕虜となっていた者たちの村で、収穫祭のような催しを開きたいとの報告がありました。他種族への感謝を示す式にしたいと」
「ほう……面白い」

 伯が微笑む。

「君がこの森にもたらした変化が、早くも根を張り始めたようだな」

僕は頷いた。

「小さな種が、やがて森を変えていく…僕は、そう信じてます」
「それでこそ『波を分ける者』」

 ラシェルアルテが、静かに言った。

「風を送り、水を導き、森に光を差す。まさに王の使者として相応しい」
「…リョウエスト君。君は『未来を記す者』だ。君が記す未来を我々は見たくなった。エルフの皆を集めて話し合いをしてみよう」
感想 9

あなたにおすすめの小説

異世界転生したので、文明レベルを21世紀まで引き上げてみた ~前世の膨大な知識を元手に、貧乏貴族から世界を変える“近代化の父”になります~

夏見ナイ
ファンタジー
過労死したプラントエンジニアの俺が転生したのは、剣と魔法の世界のド貧乏な貴族の三男、リオ。石鹸すらない不衛生な環境、飢える家族と領民……。こんな絶望的な状況、やってられるか! 前世の知識を総動員し、俺は快適な生活とスローライフを目指して領地改革を開始する! 農業革命で食料問題を解決し、衛生革命で疫病を撲滅。石鹸、ガラス、醤油もどきで次々と生活レベルを向上させると、寂れた領地はみるみる豊かになっていった。 逃げてきた伯爵令嬢や森のエルフ、ワケありの元騎士など、頼れる仲間も集まり、順風満帆かと思いきや……その成功が、強欲な隣領や王都の貴族たちの目に留まってしまう。 これは、ただ快適に暮らしたかっただけの男が、やがて“近代化の父”と呼ばれるようになるまでの物語。

最強魔法は生活魔法!? ~異世界ではモンスター退治も生活のうち~

gagaga
ファンタジー
神の気まぐれにより異世界へと転移した主人公田辺竜太(大学生)が生活魔法を駆使して冒険したり町の人と触れ合ったりする物語です。 なお、神が気まぐれすぎて一番最初に降り立つ地は、無人島です。 一人称視点、独り言多め、能天気となっております。 なお、作者が気ままに書くので誤字脱字は多いかもしれませんが、大目に見て頂けるとありがたいです。 ただ、敢えてそうしている部分もあり、ややこしくてすいません。(^^;A ご指摘あればどんどん仰ってください。 ※2017/8/29 連載再開しました!

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

ひだまりのFランク冒険者

みなと劉
ファンタジー
ここは異世界。 そこの冒険者ギルドでは毎日仕事がてんこ盛り。 そんな中 冒険者ギルドには万年Fランクの冒険者が一人いる。 その名は、リルド。 彼は、特に何もない感じに毎日 「薬草採取」「石集め」Fランク向け「討伐」場合によっては「ポーション生成」をする。 この話はこの万年Fランク冒険者リルドの物語である。

家ごと異世界転移〜異世界来ちゃったけど快適に暮らします〜

奥野細道
ファンタジー
都内の2LDKマンションで暮らす30代独身の会社員、田中健太はある夜突然家ごと広大な森と異世界の空が広がるファンタジー世界へと転移してしまう。 パニックに陥りながらも、彼は自身の平凡なマンションが異世界においてとんでもないチート能力を発揮することを発見する。冷蔵庫は地球上のあらゆる食材を無限に生成し、最高の鮮度を保つ「無限の食料庫」となり、リビングのテレビは異世界の情報をリアルタイムで受信・翻訳する「異世界情報端末」として機能。さらに、お風呂の湯はどんな傷も癒す「万能治癒の湯」となり、ベランダは瞬時に植物を成長させる「魔力活性化菜園」に。 健太はこれらの能力を駆使して、食料や情報を確保し、異世界の人たちを助けながら安全な拠点を築いていく。

【完結】うさぎ転生 〜女子高生の私、交通事故で死んだと思ったら、気づけば現代ダンジョンの最弱モンスターに!?最強目指して生き延びる〜

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
 女子高生の篠崎カレンは、交通事故に遭って命を落とした……はずが、目覚めるとそこはモンスターあふれる現代ダンジョン。しかも身体はウサギになっていた!  HPはわずか5、攻撃力もゼロに等しい「最弱モンスター」扱いの白うさぎ。それでもスライムやコボルトにおびえながら、なんとか生き延びる日々。唯一の救いは、ダンジョン特有の“スキル”を磨けば強くなれるということ。  跳躍蹴りでスライムを倒し、小動物の悲鳴でコボルトを怯ませ、少しずつ経験値を積んでいくうちに、カレンは手応えを感じ始める。 「このままじゃ終わらない。私、もっと強くなっていつか……」  最弱からの“首刈りウサギ”進化を目指して、ウサギの身体で奮闘するカレン。彼女はこの危険だらけのダンジョンで、生き延びるだけでなく“人間へ戻る術(すべ)”を探し当てられるのか? それとも新たなモンスターとしての道を歩むのか?最弱うさぎの成り上がりサバイバルが、いま幕を開ける!

子ドラゴンとゆく、異世界スキル獲得記! ~転生幼女、最強スキルでバッドエンドを破壊する~

九條葉月
ファンタジー
第6回HJ小説大賞におきまして、こちらの作品が受賞・書籍化決定しました! ありがとうございます! 七歳の少女リーナは突如として前世の記憶を思い出した。 しかし、戸惑う暇もなく『銀髪が不気味』という理由で別邸に軟禁されてしまう。 食事の量も減らされたリーナは生き延びるために別邸を探索し――地下室で、ドラゴンの卵を発見したのだった。 孵化したドラゴンと共に地下ダンジョンに潜るリーナ。すべては、軟禁下でも生き延びるために……。 これは、前を向き続けた少女が聖女となり、邪竜を倒し、いずれは魔王となって平和に暮らす物語……。