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8歳の旅回り。
鋼の自治領へ。
朝露の光が差し込む森の小道。鳥たちの声が名残惜しく響く中、僕たちは旅立ちの支度を整えていた。
「…いよいよ、森を出るんだな」
僕は肩に乗るナビに声をかけた。ナビは目を細めて小さく鳴く。
「にー。にゃ」
「ちょっとだけさみしいねって?そうだね」
ストークが大きな僕の服の襟を直しながら、そっとつぶやく。
「これから鉄と火の国ですか……エルフとはまるっきり正反対ですよね、あの方達は」
「ふふ、気合い入れないといけないようね」
エメイラが微笑む。その横で、青の技のアインスが鋭く頷いた。
「ドワーフ領では警戒を緩めず行動を。陽炎隊は先行、警戒配置を維持」
「了解!」
陽炎隊の若き隊員たちが一斉に応じる。その機敏な動きに、長老ティアナが目を細めた。
「人間の軍隊というのも…整っているものだな。森の静けさとは違う」
僕たちの出発を見守るように、エルフ伯と長老たちが館の前に並ぶ。ラシェルアルテは一足先にルステインへ向かったという。
エルフ伯が僕の前に立ち、そっと両手を掲げる。
「リョウエスト。森の声は、君の旅の安全を祈っている。我らは、再び会う日を信じて待つ」
「はい…必ず、また来ます」
エメイラが少し後ろから歩み出て、エルフ伯に一礼した。
「私はこの国のエルフじゃないけどあなた達の事を見守っているわ。何かあればルステインに連絡を」
「ありがとう。エメイラヒルデよ」
長老が近寄り、僕に一枚の古びた地図を手渡す。
「古のドワーフ道を描いた地図だ。かの鉄の都へ向かう途中、山裾の風穴を越えるなら、これが役に立つ」
「ありがとうございます」
僕は一人一人に感謝を述べ、深く頭を下げた。ナビがピイと翼をはばたかせると、森に一陣の風が吹いた。
そして僕たちは馬車に乗り込みまた走り出す。森を抜けるその先には、黒鉄の国、ドワーフの自治領が待っている。
森を出てすぐの山道。岩場を抜けた先で、突然、地鳴りがした。
「……な、なんだ?」
陽炎隊が構えをとる。
ドガアアアン!!
地面が爆ぜるような音とともに、丘の向こうから鉄の車輪を転がす大部隊が現れた。旗には火槌と歯車の紋章…ドワーフの迎え部隊だった。
先頭に立つのは、両肩に巨大な金槌を担ぐ太眉のドワーフ兵士。
「人間の使者リョウエスト殿一行か!よくぞ参られた!」
「うお…ずいぶん賑やかだな…」
ミザーリが思わず苦笑する。
「我ら、ドワーフ自治領より直々に迎えに来た! 領都よりも急ぎ、山の道を整備して待っておったわ!」
アインスがぼそりとつぶやく。
「…やっぱり、やりすぎでさぁ」
「光栄です。でも、ここまで準備を…」
僕が言いかけたとき、迎えの隊長がさらに叫んだ。
「貴殿の開発した『琥珀の雷鳴』。あのウイスキーが、我らの魂を撃ち抜いた! 我らドワーフの心を掴んだ英雄、迎えが遅れては誠意が立たぬ!!」
「う、ウイスキーでそこまで……?」
「やれやれ、酒に生きる者たちね」
エメイラがため息をつく。
陽炎隊の一人が小声で呟いた。
「……あの酒、そんなにすごかったのか?」
フュンフがぽつりと。
「うちの兄貴、あれで嫁取ったらしい」
陽炎隊「マジか……!」
その後、僕たちの側にはドワーフの装甲馬車が随行し、熱烈な歓声とともに自治領へ向かった。
道すがら、鉱山と鍛冶場が並ぶ街並み、巨大な歯車の塔、蒸気を吐く鉄製の風車が現れ、異世界のようだった。
そして、僕達はドワーフ伯の拠点に到着。
「ようやくきた…」
ドワーフ達が鉄と火を操り、設計や加工に勤しむその様子を見て、ドワーヴンベースを思い出し笑顔になった。
ドワーフ伯の工房にて。焔に照らされた影がひときわ大きく立ち上がった。
「やっと来たな、リョウエスト!」
巨大な鉄槌を手にした若いドワーフが立っていた。肩幅が広く、赤銅の髭を綺麗に編んだ青年…ドワーフ伯グラド。
「遅い!何日待たせる気だ!迎えを三隊も出したのに森に籠もりおって!」
「ごめんごめん。エルフの森で大事な話がいくつかあって」
「大事な話だと? 酒の話か!? それとも新しい蒸留器の設計か!?」
「…いや、妊娠促進剤とエルフ社会の将来について」
「なんだそれ!!」
ミザーリが後ろで吹き出し、ゼクスが顔をしかめた。
「ドワーフってのは…いつも騒がしいな」
「うるさい! 騒ぐことが生きることだ!」
グラドが叫ぶ。
「父ヂョウギから『人間のリョウエストは心が熱い』と聞いていたが…お前は、本当にドワーフの魂が分かるやつだ!」
「ありがとう。でも、君は僕の部下の父親の息子じゃないか。ちょっとくらい敬意があっても」
「敬意はあるさ! だが、遅れた部下は叱る! ドワーフの常識だ!」
僕は苦笑して肩をすくめた。
それからしばらく、ドワーヴンベースでは歓迎の儀が行われ、ドワーフたちが火の踊りを踊り、ウイスキーを注ぎ合った。
「エルフの森では風が君を守ったという。ならばこの鋼の国では、鉄が君を守ろう」
グラドが杯を掲げる。
「これより先、君は我らの『鍛冶の友』だ。エルフが風なら、我らは槌と火だ。共に世界を鍛えようじゃないか!」
僕は静かに答えた。
「ありがとう。ドワーフの誇りと熱意を、僕も胸に刻むよ」
こうして僕は、新たな地で、新たな仲間と共に、また一歩歩き始めたのだった。
「…いよいよ、森を出るんだな」
僕は肩に乗るナビに声をかけた。ナビは目を細めて小さく鳴く。
「にー。にゃ」
「ちょっとだけさみしいねって?そうだね」
ストークが大きな僕の服の襟を直しながら、そっとつぶやく。
「これから鉄と火の国ですか……エルフとはまるっきり正反対ですよね、あの方達は」
「ふふ、気合い入れないといけないようね」
エメイラが微笑む。その横で、青の技のアインスが鋭く頷いた。
「ドワーフ領では警戒を緩めず行動を。陽炎隊は先行、警戒配置を維持」
「了解!」
陽炎隊の若き隊員たちが一斉に応じる。その機敏な動きに、長老ティアナが目を細めた。
「人間の軍隊というのも…整っているものだな。森の静けさとは違う」
僕たちの出発を見守るように、エルフ伯と長老たちが館の前に並ぶ。ラシェルアルテは一足先にルステインへ向かったという。
エルフ伯が僕の前に立ち、そっと両手を掲げる。
「リョウエスト。森の声は、君の旅の安全を祈っている。我らは、再び会う日を信じて待つ」
「はい…必ず、また来ます」
エメイラが少し後ろから歩み出て、エルフ伯に一礼した。
「私はこの国のエルフじゃないけどあなた達の事を見守っているわ。何かあればルステインに連絡を」
「ありがとう。エメイラヒルデよ」
長老が近寄り、僕に一枚の古びた地図を手渡す。
「古のドワーフ道を描いた地図だ。かの鉄の都へ向かう途中、山裾の風穴を越えるなら、これが役に立つ」
「ありがとうございます」
僕は一人一人に感謝を述べ、深く頭を下げた。ナビがピイと翼をはばたかせると、森に一陣の風が吹いた。
そして僕たちは馬車に乗り込みまた走り出す。森を抜けるその先には、黒鉄の国、ドワーフの自治領が待っている。
森を出てすぐの山道。岩場を抜けた先で、突然、地鳴りがした。
「……な、なんだ?」
陽炎隊が構えをとる。
ドガアアアン!!
地面が爆ぜるような音とともに、丘の向こうから鉄の車輪を転がす大部隊が現れた。旗には火槌と歯車の紋章…ドワーフの迎え部隊だった。
先頭に立つのは、両肩に巨大な金槌を担ぐ太眉のドワーフ兵士。
「人間の使者リョウエスト殿一行か!よくぞ参られた!」
「うお…ずいぶん賑やかだな…」
ミザーリが思わず苦笑する。
「我ら、ドワーフ自治領より直々に迎えに来た! 領都よりも急ぎ、山の道を整備して待っておったわ!」
アインスがぼそりとつぶやく。
「…やっぱり、やりすぎでさぁ」
「光栄です。でも、ここまで準備を…」
僕が言いかけたとき、迎えの隊長がさらに叫んだ。
「貴殿の開発した『琥珀の雷鳴』。あのウイスキーが、我らの魂を撃ち抜いた! 我らドワーフの心を掴んだ英雄、迎えが遅れては誠意が立たぬ!!」
「う、ウイスキーでそこまで……?」
「やれやれ、酒に生きる者たちね」
エメイラがため息をつく。
陽炎隊の一人が小声で呟いた。
「……あの酒、そんなにすごかったのか?」
フュンフがぽつりと。
「うちの兄貴、あれで嫁取ったらしい」
陽炎隊「マジか……!」
その後、僕たちの側にはドワーフの装甲馬車が随行し、熱烈な歓声とともに自治領へ向かった。
道すがら、鉱山と鍛冶場が並ぶ街並み、巨大な歯車の塔、蒸気を吐く鉄製の風車が現れ、異世界のようだった。
そして、僕達はドワーフ伯の拠点に到着。
「ようやくきた…」
ドワーフ達が鉄と火を操り、設計や加工に勤しむその様子を見て、ドワーヴンベースを思い出し笑顔になった。
ドワーフ伯の工房にて。焔に照らされた影がひときわ大きく立ち上がった。
「やっと来たな、リョウエスト!」
巨大な鉄槌を手にした若いドワーフが立っていた。肩幅が広く、赤銅の髭を綺麗に編んだ青年…ドワーフ伯グラド。
「遅い!何日待たせる気だ!迎えを三隊も出したのに森に籠もりおって!」
「ごめんごめん。エルフの森で大事な話がいくつかあって」
「大事な話だと? 酒の話か!? それとも新しい蒸留器の設計か!?」
「…いや、妊娠促進剤とエルフ社会の将来について」
「なんだそれ!!」
ミザーリが後ろで吹き出し、ゼクスが顔をしかめた。
「ドワーフってのは…いつも騒がしいな」
「うるさい! 騒ぐことが生きることだ!」
グラドが叫ぶ。
「父ヂョウギから『人間のリョウエストは心が熱い』と聞いていたが…お前は、本当にドワーフの魂が分かるやつだ!」
「ありがとう。でも、君は僕の部下の父親の息子じゃないか。ちょっとくらい敬意があっても」
「敬意はあるさ! だが、遅れた部下は叱る! ドワーフの常識だ!」
僕は苦笑して肩をすくめた。
それからしばらく、ドワーヴンベースでは歓迎の儀が行われ、ドワーフたちが火の踊りを踊り、ウイスキーを注ぎ合った。
「エルフの森では風が君を守ったという。ならばこの鋼の国では、鉄が君を守ろう」
グラドが杯を掲げる。
「これより先、君は我らの『鍛冶の友』だ。エルフが風なら、我らは槌と火だ。共に世界を鍛えようじゃないか!」
僕は静かに答えた。
「ありがとう。ドワーフの誇りと熱意を、僕も胸に刻むよ」
こうして僕は、新たな地で、新たな仲間と共に、また一歩歩き始めたのだった。
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