【完結保証】僕の異世界攻略〜神の修行でブラッシュアップ〜

リョウ

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8歳の旅回り。

リョウエスト・バァン・スサン。

 ドワーフの広間に響いた名の授与。その余韻が残る中、リョウエストは深く礼をした。

「…光栄です。名も、二つ名も、過分すぎる気がしますが…それだけの責任を果たせるよう、努めます」

 その姿に、ドワーフ親方たちは黙って頷き、いくつかの者は目を潤ませた。

「導き手とは…素晴らしいですね!」

 ストークがきらきらした目で言うと、青の技のツヴァイがぽつりと呟く。

「やっぱ、あの人はただの技術者じゃないんすね…」
「わたし、ちょっと泣きそう……」フィアが袖で目をぬぐいながら笑う。

 その夜、ドワーフたちはふたたび宴を開いた。今度はリョウエストの『名』を祝して。

 グラドは酒杯を掲げ、高らかに叫ぶ。

「リョウエスト・バァン・スサンに、栄光あれ!技術の導き手に、敬意を!」
「バァン様に、乾杯ー!!」

 全員が一斉に声を合わせる。

 酒と笑いがあふれ、太鼓と金槌の音が入り交じる。ミザーリが苦笑して言った。

「…これで『ただの出発の儀』のはずだったのよね」
「ドワーフは『やりすぎ』が正義ですからね」

 とストークが肩をすくめた。

「でも、悪くはないです。あの方が評価されるのは、嬉しいです」

 その夜、遅くまで語らいと祝福が続いた。

 翌朝。

 静かな朝靄の中、リョウエストはドワーフの鍛冶場を一人歩いていた。胸には、昨日授けられた銀の名札が光る。

 そこへ、そっと近づいてきたのはグラドだった。

「バァン。…気に入ったか?」

 リョウエストは振り返り、微笑んだ。

「…うん。名前って不思議だね。ただの音なのに、背負うだけで、自分が変わった気がする」
「道、という意味の『バァン』。貴様にはふさわしい」
「道…」

 彼は小さく呟いた。

「確かに、いろんな『道』を歩いてきた。技術の道、人との道、種族の道…まだ続いてる途中だけどね」

 グラドは深く頷いた。

「だからこそ、導き手。技術だけでなく、考えを、想いを繋いできた。それができるのは、少ない」

 リョウエストは少し照れたように笑った。

「実際には、助けられてばかりだけど。ナビも、エメイラも、ストークも、ミザーリも青の技も…みんなが支えてくれて」

 グラドは豪快に笑った。

「道とは一人で歩むものではない!だが、先頭を歩く者がいなければ、誰も進めぬ!」

 グラドはさらに続ける。

「バァン。お主の道は、まだ続いておる。だがそれは…もはや、貴様一人のものではない」

 その言葉に、リョウエストは静かに頷いた。

「うん…わかってる。もう迷わない」

 朝日が鍛冶場の鉄板に反射して、輝く。

 そして、その光の中で、リョウエストは一歩前に踏み出した。

 仲間たちと共に歩む、『バァン』という名の道を。

 夜も更け、ドワーフの炉が赤く燻る頃。
 リョウエストは静かに集会室へ向かい、いつもの仲間。ナビ、ストーク、エメイラ、ミザーリ、青の技、陽炎隊、アレクとボルクを呼び寄せた。

「今夜は話がある。みんな、よく来てくれた」
「む? また新しい作戦でしょうか?商業登録ですか?」

 とストークが腕を組んだ。

「それとも新型旋盤の発表でやすか?」

 とアインスがわくわく顔。
 リョウエストは小さく笑ったあと、真剣な目で皆を見回す。

「このまま王都に凱旋しようと思う」

 一同が静まり返る。最初に声を上げたのはフィアだった。

「…凱旋、って…正式な報告と礼の儀をやるってこと?」
「うん。エルフとドワーフ、火の民、獣人、水竜人、小人。六つの種族と協力し、成果を上げた。戦いもあり、救出もあり、技術と信頼の架け橋も築いた。誇っていいことだ」

ナビがぱっと羽を広げて跳ねる。

「にゃー。にゃー」
「パレードするかって?大きくなるって?それも良いかもしれないね」
「陽炎隊の衣装、新調するべきかもしれませんね」
 
 エルグナが笑みを浮かべる。
 ドライがふっと口角を上げる。

「正直、胸張って帰れるって、気持ちいいっすね。今までずっと裏方だったから」
「私も…王都に戻って、あの人たちの顔を見たい」

 エメイラが小さく頷いた。

「ロイック様にも顔を見せなければいけませんね。そろそろ寂しがっていらっしゃるでしょう」

 ストークが苦笑まじりに言った。

「ただいまと言うだけじゃない。次の段階に入るんだ」

 リョウエストの言葉に、仲間たちの表情が引き締まる。

「俺たちがやってきたことが、少しずつ形になってる。エルフもドワーフも、火の民も、獣人も、水竜人も小人も一歩を踏み出した。次は人間社会そのものを変える番だ」

 アインスが勢いよく拳を突き上げる。

「やってやりましょう!王都の目ん玉飛び出るくらい、派手に凱旋して!」

 ゼクスが苦笑しながらも肩をすくめた。

「どうせド派手になる運命だ、腹くくるさ」

 リョウエストは笑って言った。

「なら、明日。ドワーフ伯に礼を述べたら、王都への帰還の準備に入ろう…この旅の、次の章を開くために」

「おう!」
全員の声が重なった。熱と絆をまとって。

夜が更けても、集会室の灯は消えなかった。

翌朝、炉の煙が立ち昇る中、リョウエストたちはドワーフ伯グラドの元へ向かった。

「いよいよ旅立ちか。さびしくなるな!」

 グラドは笑いながらも目元をぬぐう。

「感謝は言葉じゃ足りねぇが…二つ名もミドルネームも、オレたちの誇りだ」
「ありがとう、グラド。次に会うときは、もっとすごい技術を持ってくるよ」

 そう言って、リョウエストは馬車に乗り込み、仲間たちと王都へ向かって進み出した。

 旅の風は新しい章の始まりを告げていた。
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