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9歳の記す者。
今年は演出をやりますよ。
「さて、今年こそは本気でやりますよ。去年の無念を晴らさねばなりませんからね」
王城の奥、会議室に僕が入ると、すでに出席者のほとんどが揃っていた。
「お待ちしておりました、リョウエスト様。今年もどうぞ、よろしくお願いいたします」
「堅苦しくせずにいきましょう、サイスさん。今年は華やかに、面白く、そして…美味しく、です」
「そうだー! 今年こそド派手にやろうじゃないか!」
言葉と同時に机をバンと叩いたのは、王国工廠部のダンスさん。髪もヒゲもボサボサ、タンクトップで作業着のままだけど、彼の設営力は王国一。
「オープンキッチン、真ん中でやるだろ。劇場型。ぐるっと囲めて見えるようにして、安全柵は金属製にしとく」
「爆発だけは勘弁してよ、ダンスさん…」
横で笑いながら言ったのは、王国特別料理人のフィグさん。
「今年も料理ギルドから補佐を出しましょう。調理場の裏方も私が見ておきますね。スムーズに回るように」
「頼もしいな、フィグさん。じゃあ衣装は…」
「もちろん、私が手を入れておりますわ。ふふふ、去年の素材がようやく生きるのです」
優雅に声を響かせたのはマダム・ルステイン。ルステインから呼んだ衣装責任者で、顔に微笑をたたえつつ、すでにデザイン画を取り出していた。
「今年は『異種族調理隊』のイメージに合わせて、動きやすくも華やかな衣装にしておりますのよ。もちろん、給仕や楽団、騎士団の皆様の分もすでに縫製に入っておりますわ」
「異種族調理隊って…新しいですね。でもそれでいきましょう。僕はそこに異種族料理人を集めて、全く新しい『王国料理』を創作するつもりです」
「そりゃまた……すごい話やなぁ」
ふと、背後から聞こえたその声に僕は驚いた。振り向くと、立っていたのは王国料理ギルド本部長・イタヌさん。有名な料理ギルドの鬼才だ。
「イタヌさん! 来てたんですか」
「試作品あるって聞いてな。登録しとかなアカン思て」
彼の手には登録帳がしっかり抱えられている。
「ビュッフェ形式言うてたな?なら品数も幅出るやろ。レシピ帳、増やす覚悟はええか?」
「はい、覚悟はできてます」
「ふふ、じゃあ演出の確認をもう一度」
会議の後半、舞踏会の演出順が机に並べられた。
・劇場型オープンキッチン
・料理人と給仕のコスプレ
・王立交響楽団の演奏
・お笑い寸劇(エメイラ提案)
・異種族による新料理コーナー
・ビュッフェ形式で自由に試食
「うーん、やる事が多すぎて目が回りそうだな……」
「でも、楽しそうね」
静かに微笑んだのはエメイラ。彼女の一言に、場がふっと和んだ。
「さあ、準備開始ですよ。王都一、いや、王国一の舞踏会にしましょう!」
「「「はい」」」
みなが三々五々別れ準備が始まった。僕は厨房に行く。
「よし、まずは試作料理の準備からだ。皆、持ち場について!」
僕の合図で、広間に設けられた仮設厨房が動き出す。ここは舞踏会の会場と同じ構造で作られたリハーサル会場。中央にあるのは、ダンスさんが数日で仕上げた、劇場型オープンキッチンの試作セットだ。
「見てみろ!この台、回るんだ。調理中でも裏側から具材が取れる。火も煙も出ない。安全面バッチリだ」
「すごいな、これ……。ほんとに回るんだ」
僕が感嘆すると、後ろから声が飛ぶ。
「リョウエストさん、そろそろ試作の一品目に取り掛かってよろしいでしょうか?」
フィグさんが銀の鍋を構えて待っていた。
「お願いします。まずは『雷鳥とクルミの香草蒸し』、エルフの料理人に任せてます」
「エルフ?」
「はい。香草の使い方が独特なんです。見ていてください」
鍋から立ち上る香りに、早くも見学中の楽団員たちがざわめき始める。そこへ、マダムルステインが衣装を抱えて戻ってきた。
「調理班の衣装、ほぼ完成しております。あとは採寸だけ。ええ、エメイラ様のドレスも特注でございますわよ?」
「え?私…舞踏会に出るの?」
エメイラが目を瞬かせると、僕は頷いた。
「出るよ。僕のパートナーとして。異種族代表でもあるし」
「…わかった。ふふ、光栄ね」
その時、入口の扉が開いて、ストークが入ってきた。
「リョウ様、王立交響楽団の代表がまもなくお見えになります。あわせて寸劇の件で役者の一人が面会を希望しております」
「寸劇の方はエメイラの提案だから、彼女に任せようか。内容はもう決まってる?」
「ええ、『料理あるある』というコメディを考えてます。各種族の料理人たちが料理のあるあるな実体験をオーバーに演じる話。王太子様も笑うはずよ」
「…面白そう。いいね、演目表に入れておこう」
その時、またガラガラと重い扉が開いた。
「ほらよ、できたで!」
登場したのはイタヌさん。手には分厚いレシピ帳と登録印。
「『雷鳥とクルミの香草蒸し』、味見させてもろたけど、これはいけるわ。正式に登録してええな?」
「はい、ありがとうございます!」
「こっちも急がなアカンし、料理できたらどんどん出してな。書きまくるで!」
僕は厨房に戻り、次の一皿の準備に入る。
「よし、次は『地底トリュフの冷製スープ』。調理はドワーフのリードさん、よろしく!」
「任せてくれ。これは俺らの得意料理や」
準備は着々と進み、各部署がそれぞれの役割を果たしていた。大舞踏会は、単なる社交の場ではない。僕たちが未来を見せる舞台だ。
王城の奥、会議室に僕が入ると、すでに出席者のほとんどが揃っていた。
「お待ちしておりました、リョウエスト様。今年もどうぞ、よろしくお願いいたします」
「堅苦しくせずにいきましょう、サイスさん。今年は華やかに、面白く、そして…美味しく、です」
「そうだー! 今年こそド派手にやろうじゃないか!」
言葉と同時に机をバンと叩いたのは、王国工廠部のダンスさん。髪もヒゲもボサボサ、タンクトップで作業着のままだけど、彼の設営力は王国一。
「オープンキッチン、真ん中でやるだろ。劇場型。ぐるっと囲めて見えるようにして、安全柵は金属製にしとく」
「爆発だけは勘弁してよ、ダンスさん…」
横で笑いながら言ったのは、王国特別料理人のフィグさん。
「今年も料理ギルドから補佐を出しましょう。調理場の裏方も私が見ておきますね。スムーズに回るように」
「頼もしいな、フィグさん。じゃあ衣装は…」
「もちろん、私が手を入れておりますわ。ふふふ、去年の素材がようやく生きるのです」
優雅に声を響かせたのはマダム・ルステイン。ルステインから呼んだ衣装責任者で、顔に微笑をたたえつつ、すでにデザイン画を取り出していた。
「今年は『異種族調理隊』のイメージに合わせて、動きやすくも華やかな衣装にしておりますのよ。もちろん、給仕や楽団、騎士団の皆様の分もすでに縫製に入っておりますわ」
「異種族調理隊って…新しいですね。でもそれでいきましょう。僕はそこに異種族料理人を集めて、全く新しい『王国料理』を創作するつもりです」
「そりゃまた……すごい話やなぁ」
ふと、背後から聞こえたその声に僕は驚いた。振り向くと、立っていたのは王国料理ギルド本部長・イタヌさん。有名な料理ギルドの鬼才だ。
「イタヌさん! 来てたんですか」
「試作品あるって聞いてな。登録しとかなアカン思て」
彼の手には登録帳がしっかり抱えられている。
「ビュッフェ形式言うてたな?なら品数も幅出るやろ。レシピ帳、増やす覚悟はええか?」
「はい、覚悟はできてます」
「ふふ、じゃあ演出の確認をもう一度」
会議の後半、舞踏会の演出順が机に並べられた。
・劇場型オープンキッチン
・料理人と給仕のコスプレ
・王立交響楽団の演奏
・お笑い寸劇(エメイラ提案)
・異種族による新料理コーナー
・ビュッフェ形式で自由に試食
「うーん、やる事が多すぎて目が回りそうだな……」
「でも、楽しそうね」
静かに微笑んだのはエメイラ。彼女の一言に、場がふっと和んだ。
「さあ、準備開始ですよ。王都一、いや、王国一の舞踏会にしましょう!」
「「「はい」」」
みなが三々五々別れ準備が始まった。僕は厨房に行く。
「よし、まずは試作料理の準備からだ。皆、持ち場について!」
僕の合図で、広間に設けられた仮設厨房が動き出す。ここは舞踏会の会場と同じ構造で作られたリハーサル会場。中央にあるのは、ダンスさんが数日で仕上げた、劇場型オープンキッチンの試作セットだ。
「見てみろ!この台、回るんだ。調理中でも裏側から具材が取れる。火も煙も出ない。安全面バッチリだ」
「すごいな、これ……。ほんとに回るんだ」
僕が感嘆すると、後ろから声が飛ぶ。
「リョウエストさん、そろそろ試作の一品目に取り掛かってよろしいでしょうか?」
フィグさんが銀の鍋を構えて待っていた。
「お願いします。まずは『雷鳥とクルミの香草蒸し』、エルフの料理人に任せてます」
「エルフ?」
「はい。香草の使い方が独特なんです。見ていてください」
鍋から立ち上る香りに、早くも見学中の楽団員たちがざわめき始める。そこへ、マダムルステインが衣装を抱えて戻ってきた。
「調理班の衣装、ほぼ完成しております。あとは採寸だけ。ええ、エメイラ様のドレスも特注でございますわよ?」
「え?私…舞踏会に出るの?」
エメイラが目を瞬かせると、僕は頷いた。
「出るよ。僕のパートナーとして。異種族代表でもあるし」
「…わかった。ふふ、光栄ね」
その時、入口の扉が開いて、ストークが入ってきた。
「リョウ様、王立交響楽団の代表がまもなくお見えになります。あわせて寸劇の件で役者の一人が面会を希望しております」
「寸劇の方はエメイラの提案だから、彼女に任せようか。内容はもう決まってる?」
「ええ、『料理あるある』というコメディを考えてます。各種族の料理人たちが料理のあるあるな実体験をオーバーに演じる話。王太子様も笑うはずよ」
「…面白そう。いいね、演目表に入れておこう」
その時、またガラガラと重い扉が開いた。
「ほらよ、できたで!」
登場したのはイタヌさん。手には分厚いレシピ帳と登録印。
「『雷鳥とクルミの香草蒸し』、味見させてもろたけど、これはいけるわ。正式に登録してええな?」
「はい、ありがとうございます!」
「こっちも急がなアカンし、料理できたらどんどん出してな。書きまくるで!」
僕は厨房に戻り、次の一皿の準備に入る。
「よし、次は『地底トリュフの冷製スープ』。調理はドワーフのリードさん、よろしく!」
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