【完結保証】僕の異世界攻略〜神の修行でブラッシュアップ〜

リョウ

文字の大きさ
428 / 688
9歳の記す者。

大舞踏会は楽しく。

しおりを挟む
 王城のダンスホールは、昼過ぎの光を浴びて輝いていた。そこには王国中の貴族たちが集い、華やかな装いが咲き乱れている。王族はもちろん、ヒト、エルフ、ドワーフ、水竜人、火の民、小人、獣人と、様々な種族が一堂に会し、熱気に満ちていた。

 スタッフ全員が趣向を凝らしたコスプレ衣装に身を包み、劇場型オープンキッチンが中央にどっしりと据えられている。巨大な煙突や回転する飾りが設置され、まるで舞台のようだ。

 王様が威厳ある声で会場を静める。

「皆の者、今年もこの大舞踏会を迎えられたことを誇りに思う。王国の伝統と未来を繋ぐこの宴を、心ゆくまで楽しんでいただきたい。」

 王妃様、第一王子ウルリッヒ様、第二王子ルマーニ様、先王陛下ご夫妻も列席し、豪華な服装で堂々と立っている。

 僕は舞台裏の厨房で、料理監修の立場として指示を出しながらも、緊張の面持ちで見守っていた。

「リョウエストさん、残りのラム酒が少なくなってます。次の補充を……」

 声をかけるのはフィグさんだ。厨房スタッフも各種族が協力し合い、火の民がコンロを調整し、エルフの手先が繊細に味見をしている。

「わかった、すぐに動かす。今日は全てを完璧にやり遂げる。」

 会場のあちこちで歓声が上がる。異種族が混じり合いながら、それぞれの料理や装いに目を輝かせているのが伝わってくる。

 ふと見ると、エフェルト公爵がオープンキッチンの豪華さに目を見張っていた。

「これは……まさに天国か?」

 彼は隣の貴族に小声でそう呟く。
 その様子に、僕は思わず苦笑いした。

「そう見えますよね。ここにいる皆が全力で作り上げた結果ですから。」

 王様は再び舞台中央に立ち、

「本日は八時間に及ぶ長丁場である。皆が力を合わせ、この宴を成功に導くことを願う。」

 その言葉に、会場は一層熱気を帯びた。

 お笑い寸劇の開始の声がかかり、厨房スタッフが舞台でユーモラスに料理あるあるを演じる。鍋をひっくり返したり、食材を誤って飛ばしたりと、客席からは笑い声が沸き上がる。

「これが王国料理の現場か…」

 と、ある貴族が感心している。

 僕は厨房の指揮を続けながら、新王国料理の評判を耳にした。

「新しいメニューが大人気で、皆、何度もお代わりしてますよ!」

 疲れも吹き飛ぶ嬉しい知らせに、胸が熱くなる。

 まだまだ長い一日。だが、この光景を見られることが何よりの報酬だ。



 大広間の熱気はさらに高まり、劇場型オープンキッチンの前には人だかりができている。各種族の貴族たちが、料理人たちの手さばきを目を輝かせて見つめる。火の民の炎が力強く踊り、エルフの繊細な包丁さばきが美しいリズムを刻む。

 僕は厨房の指揮台から、各チームに声をかけていく。

「ドワーフチーム、肉の焼き加減は大丈夫か? 火の民、コンロの火力をもう少し抑えてくれ。焦げると台無しだ!」

 フィグさんがそっと近寄ってくる。

「リョウエストさん、今日の料理は最高だと王様が言ってらしたと側近の方に聞きました」

 僕はにっこりと微笑む。

「それは何よりだ。みんなの努力が報われて嬉しいよ。」

そんな時、エフェルト公爵が再び厨房に近づいてきた。

「リョウエスト君、まさか厨房でここまでのパフォーマンスを見られるとは!これはまさに天国の味と舞台だ。」

 僕は敬礼しながら、

「公爵様、ありがとうございます。厨房も劇場の一部として、魅せることに全力を尽くしております。」

 そのとき、厨房スタッフによる寸劇が始まる。調理器具が暴走し、スタッフ同士がオーバーな動きを見せ、客席は爆笑の渦に包まれる。

「料理あるあるが面白すぎる! わかるわかる!」

 と、ある伯爵夫人が笑顔で声を上げる。

 会場の片隅では、第一王子ウルリッヒと第二王子ルマーニが、興味津々で料理を見学している。

「この火の使い方、見事だ!」

 とウルリッヒが感嘆する。

「兄上、ぼくもあのエルフの料理人さんとお話ししたいな」

 とルマーニがはしゃぐ。

 エメイラが優雅に近づいていって、

「さすが王子様方。王国の未来を担うお二人にふさわしい好奇心でございますわ。」

 僕はエメイラと目を合わせ、静かにうなずいた。

「皆が一つになって、この舞踏会を創りあげているんだな。」

 会場は笑顔と歓声に包まれ、8時間という長丁場の中盤が過ぎていく。



 舞踏会も終盤に差しかかり、疲れが見え始めたスタッフや貴族たち。しかし、その熱気はまだ冷める気配がない。

 王様が玉座から堂々と立ち上がり、威厳ある声で開口する。

「皆の者、今宵の盛会に感謝する! 本年もまた、王国の多種族が手を取り合い、素晴らしき宴を作り上げたことに深い喜びを感じる。演出担当、リョウエストよ、お主の尽力も称えよう。」

 僕は深く一礼し、返答は控えた。王様の言葉は重く、胸に響いた。

 その時、僕に伝令が来て、厨房の様子を確認する。

「ブュッフェの残量がわずかになっている。補充チーム、急いでくれ!」

 フィグさんが駆け寄ってきて、

「リョウエスト様、異種族料理人たちも疲れているはずです。休憩も取りつつ、指示をお願いします。」

 僕は頷きながら、

「わかっている。皆の疲れを考えつつ、効率よく動いてくれ。」

 厨房ではドワーフが力強く肉を切り、エルフが繊細に盛り付け、火の民が豪快に炎を操る。水竜人は冷たい氷菓を美しく提供し、小人たちは細やかな飾り付けをこなす。獣人は豪快な肉料理を振る舞い、その多様な技術と文化が一つの舞台で交差している。

 第一王子ウルリッヒが僕に近づき、

「リョウエスト、今回の新王国料理、まさに王国の未来を感じる。素晴らしい!」

 僕は笑顔で答えた。

「ありがとう、王子様。皆の努力の賜物です。」

 大分落ち着いてきたのでエメイラと踊りに参加する。厨房も年々任せてよくなってきたな、と感無量になる。



 時は経ち、ついに閉会の時。王様が再び声を張り上げ、

「これにて王国大舞踏会を閉じる! 来年もさらなる発展を誓おう!」

 拍手喝采の中、各種族の貴族たちが名残惜しそうに互いの健闘を讃え合う。

 エメイラがそっと隣で囁く。

「リョウ、本当に素晴らしかったわ。」

 僕は静かに頷きながら、

「みんなのおかげだ。次はもっと面白くしよう。」

こうして、大舞踏会は歴史に刻まれる一夜となった。



しおりを挟む
感想 9

あなたにおすすめの小説

婚約破棄されて森に捨てられた悪役令嬢を救ったら〜〜名もなき平民の世直し戦記〜〜

naturalsoft
ファンタジー
アヴァロン王国は現国王が病に倒れて、第一王子が摂政に就いてから変わってしまった。度重なる重税と徴収に国民は我慢の限界にきていた。国を守るはずの騎士達が民衆から略奪するような徴収に、とある街の若者が立ち上がった。さらに森で捨てられた悪役令嬢を拾ったことで物語は進展する。 ※一部有料のイラスト素材を利用しています。【無断転載禁止】です。 素材利用 ・森の奥の隠里様 ・みにくる様

辺境貴族ののんびり三男は魔道具作って自由に暮らします

雪月夜狐
ファンタジー
書籍化決定しました! (書籍化にあわせて、タイトルが変更になりました。旧題は『辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~』です) 壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。 辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。 しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。

極限効率の掃除屋 ――レベル15、物理だけで理を解体する――

銀雪 華音
ファンタジー
「レベル15か? ゴミだな」 世界は男を笑い、男は世界を「解体」した。 魔力も才能も持たず、万年レベル15で停滞する掃除屋、トワ。 彼が十年の歳月を費やして辿り着いたのは、魔法という神秘を物理現象へと引きずり下ろす、狂気的なまでの**『極限効率』**だった。 一万回の反復が生み出す、予備動作ゼロの打撃。 構造の隙間を分子レベルで突く、不可視の解体。 彼にとって、レベル100超えの魔物も、神の加護を受けた聖騎士も、ただの「非効率な肉の塊」に過ぎない。 「レベルは恩恵じゃない……。人類を飼い慣らすための『制限(リミッター)』だ」 暴かれる世界の嘘。動き出すシステムの簒奪者。 管理者が定めた数値(レベル)という鎖を、たった一振りのナイフで叩き切る。 これは、最弱の掃除屋が「論理」という名の剣で、世界の理(バグ)を修正する物語。気になる方は読んでみてください。 ※アルファポリスで先行で公開されます。

悪役令息(冤罪)が婿に来た

花車莉咲
恋愛
前世の記憶を持つイヴァ・クレマー 結婚等そっちのけで仕事に明け暮れていると久しぶりに参加した王家主催のパーティーで王女が婚約破棄!? 王女が婚約破棄した相手は公爵令息? 王女と親しくしていた神の祝福を受けた平民に嫌がらせをした? あれ?もしかして恋愛ゲームの悪役令嬢じゃなくて悪役令息って事!?しかも公爵家の元嫡男って…。 その時改めて婚約破棄されたヒューゴ・ガンダー令息を見た。 彼の顔を見た瞬間強い既視感を感じて前世の記憶を掘り起こし彼の事を思い出す。 そうオタク友達が話していた恋愛小説のキャラクターだった事を。 彼が嫌がらせしたなんて事実はないという事を。 その数日後王家から正式な手紙がくる。 ヒューゴ・ガンダー令息と婚約するようにと「こうなったらヒューゴ様は私が幸せする!!」 イヴァは彼を幸せにする為に奮闘する。 「君は…どうしてそこまでしてくれるんだ?」「貴方に幸せになってほしいからですわ!」 心に傷を負い悪役令息にされた男とそんな彼を幸せにしたい元オタク令嬢によるラブコメディ! ※ざまぁ要素はあると思います。 ※何もかもファンタジーな世界観なのでふわっとしております。

35年ローンと共に異世界転生! スキル『マイホーム』で快適5LDK引きこもり生活 ~数学教師、合気道と三節根で異世界を論破する~

月神世一
ファンタジー
紹介文 「結婚しよう。白い壁の素敵なお家が欲しいな♡」 そう言われて35年ローンで新築一戸建て(5LDK)を買った直後、俺、加藤真守(25歳)は婚約者に捨てられた。 失意の中、猫を助けてトラックに轢かれ、気づけばジャージ姿の女神ルチアナに異世界へと放り出されていた。 ​「あげるのは『言語理解』と『マイホーム』でーす」 ​手に入れたのは、ローン残高ごと召喚できる最強の現代住宅。 電気・ガス・水道完備。お風呂は全自動、リビングは床暖房。 さらには貯めたポイントで、地球の「赤マル」から「最新家電」までお取り寄せ!? ​森で拾った純情な狩人の美少女に胃袋を掴まれ、 罠にかかったポンコツ天使(自称聖騎士)が居候し、 競馬好きの魔族公爵がビールを飲みにやってくる。 ​これは、借金まみれの数学教師が、三節根と計算能力を武器に、快適なマイホームを守り抜く物語。 ……頼むから、家の壁で爪を研ぐのはやめてくれ!

ペットになった

ノーウェザー
ファンタジー
ペットになってしまった『クロ』。 言葉も常識も通用しない世界。 それでも、特に不便は感じない。 あの場所に戻るくらいなら、別にどんな場所でも良かったから。 「クロ」 笑いながらオレの名前を呼ぶこの人がいる限り、オレは・・・ーーーー・・・。 ※視点コロコロ ※更新ノロノロ

転生したみたいなので異世界生活を楽しみます

さっちさん
ファンタジー
又々、題名変更しました。 内容がどんどんかけ離れていくので… 沢山のコメントありがとうございます。対応出来なくてすいません。 誤字脱字申し訳ございません。気がついたら直していきます。 感傷的表現は無しでお願いしたいと思います😢 ↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓ ありきたりな転生ものの予定です。 主人公は30代後半で病死した、天涯孤独の女性が幼女になって冒険する。 一応、転生特典でスキルは貰ったけど、大丈夫か。私。 まっ、なんとかなるっしょ。

平凡なサラリーマンが異世界に行ったら魔術師になりました~科学者に投資したら異世界への扉が開発されたので、スローライフを満喫しようと思います~

金色のクレヨン@釣りするWeb作家
ファンタジー
夏井カナタはどこにでもいるような平凡なサラリーマン。 そんな彼が資金援助した研究者が異世界に通じる装置=扉の開発に成功して、援助の見返りとして異世界に行けることになった。 カナタは準備のために会社を辞めて、異世界の言語を学んだりして準備を進める。 やがて、扉を通過して異世界に着いたカナタは魔術学校に興味をもって入学する。 魔術の適性があったカナタはエルフに弟子入りして、魔術師として成長を遂げる。 これは文化も風習も違う異世界で戦ったり、旅をしたりする男の物語。 エルフやドワーフが出てきたり、国同士の争いやモンスターとの戦いがあったりします。 第二章からシリアスな展開、やや残酷な描写が増えていきます。 旅と冒険、バトル、成長などの要素がメインです。 ノベルピア、カクヨム、小説家になろうにも掲載

処理中です...