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ピアス
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「やばいやばいやばいやばい、アルステルス様が出勤してる!」
「マジかよ。また催促に来るのか?俺、胃が痛い」
「せめて誰か進捗具合を説明してやれよ」
「そんな勇者、魔道塔にいねーよ!まだ実験段階だぞ?」
「もういっそのこと、アルステルス様に実験手伝ってもらったほうが早いんじゃね?」
「いやいや、余計な研究してるのバレたらどうなることか…」
「余計じゃないよ!今後必要なデータだから。とはいえ、アルステルス様はリューネ様に夢中だからなぁ」
「リューネ様、めちゃくちゃ愛らしいもんね。そりゃ心配にもなるし、俺らも板挟みなんだよ!」
「魔石同士のリンクが難しいんだよなぁ。この魔石、デリケートで扱いが難しすぎる。てか誰か成功させて?」
「それな!」
ここは魔道具研究室。
日々魔道具の実験と制作が行われているが、今はアルから依頼された装飾品作りに研究員全員が奮闘中だ。
ほぼ毎日アルが顔を覗かせては”できたか?”の一言を残し、去っていく。
たったそれだけなのに、研究員たちは皆、命をすり減らす思いで作業を続けている。
本来なら、事前に魔石の入手を伝えてもらい、先に魔石だけ送ってくれればもっと早く着手できたはずだ。
しかし、スイが突然帰還したため、何の準備もないまま装飾作りに突入することになってしまった。
「おい」
気づくと噂の主が扉の向こうに立っていた。
…というか、いつからそこにいたのだろうか?
「アルステルス様、おはようございます…」
扉の近くにいた研究員が、ドギマギしながら挨拶をする。
今の会話、聞かれてただろうか――?
「その…なんだ。すまなかった。毎日急かすような真似をして」
研究員は一瞬で顔面蒼白になり、息を飲んだ。
――完全に聞かれていた。打ち首獄門の刑だろうか?
「毎日研究室に顔を出しているとリューネに言ったら怒られてしまって…」
アルはしょんぼりした表情を浮かべ、手に持っていた紙袋を差し出した。
「リューネから研究室の皆に差し入れだ。それと、ピアスができたら知らせてくれ。それまで来るのは控えておく」
それだけ伝えると、くるりと背を向けて去っていった。
研究員たちはぽかんとした表情のまま、その場から動けずにいた。
「え?アルステルス様、尻に敷かれてる?」
「あんなションボリ顔のアルステルス様、初めて見た…ギャップ萌え…」
「てか、紙袋の中身何入ってるんだよ?甘い匂いがするんだけど」
「山のようにクッキー入ってる。手作り???????」
「マジか、リューネ様料理できるの?!」
「あ、カードが奥に入ってる。読み上げるね」
ルブテールズを支えてくださる魔道具研究員の皆様へ
いつもありがとうございます。
ささやかですが、休憩時にお召し上がりください。
チョコチップクッキーは自信作です。
ピアスの出来上がりは待ち遠しいですが、
くれぐれも無理をなさらぬように。
――リューネ
「リューネ様の字、可愛い…」
「アルステルス様が惚れるの分かる。何この気遣い…」
「ちょっと待って!私このカード貰っていい?一生の宝物にする!」
「え?抜け駆け?俺だって欲しい!」
「じゃあさ、魔石同士のリンク成功させた人がリューネ様のカードを貰えるってのはどう?公平じゃね?」
「決まり!」
「負けねぇからな」
「俺だって!」
その日のうちにクッキーは全て研究員のお腹の中へ消え、全員が目の色を変えて実験に没頭した――。
そして、3日後――ピアスは完成し、ついに一人の研究員がリューネのカードを手にしたのだった。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「リューネ、ピアス出来上がったぞ」
「もうできたの?研究室の皆さん、無理してないかな…?」
「大丈夫じゃねぇの。皆、やり切った感出してたし。クッキー美味かったってさ」
「食べてもらえたんだ。嬉しいな、僕、お菓子くらいしか上手に作れないから」
「何言ってんだ?王城暮らしで何不自由なく育ったお前が料理できるだけで充分だと俺は思う」
アルは手に持っていたベルベットの布の包みを解くと、3つのピアスが光を受けてキラリと輝いた。
「シンプルで素敵なデザインだね。紫の魔石も綺麗。アル、僕につけてくれる?」
「お前の綺麗な肌に傷つけたくねぇけど…」
アルはリューネの耳たぶに指を添え、魔力を込めると、一瞬でピアスを装着した。
同時にアルの左耳にもピアスが装着される。
「痛むか?」
「ううん、大丈夫。どう、かな?」
「すげぇ似合ってる。可愛い。しばらく消毒は欠かさないようにな」
「うん。これでアルに心配かけずに出かけられるね。ありがとう、アル」
「前にも伝えたように万能じゃねぇから、油断だけはするなよ」
”大丈夫”と微笑みながらアルに抱きつき、口づけを交わす。
ピアスをつけただけなのに、リューネの美しさがさらに際立ったように見える。
そして翌日――
こっそりテスも同じピアスを手に入れ、左耳に装着した上機嫌な姿を、アルは目にするのだった。
「マジかよ。また催促に来るのか?俺、胃が痛い」
「せめて誰か進捗具合を説明してやれよ」
「そんな勇者、魔道塔にいねーよ!まだ実験段階だぞ?」
「もういっそのこと、アルステルス様に実験手伝ってもらったほうが早いんじゃね?」
「いやいや、余計な研究してるのバレたらどうなることか…」
「余計じゃないよ!今後必要なデータだから。とはいえ、アルステルス様はリューネ様に夢中だからなぁ」
「リューネ様、めちゃくちゃ愛らしいもんね。そりゃ心配にもなるし、俺らも板挟みなんだよ!」
「魔石同士のリンクが難しいんだよなぁ。この魔石、デリケートで扱いが難しすぎる。てか誰か成功させて?」
「それな!」
ここは魔道具研究室。
日々魔道具の実験と制作が行われているが、今はアルから依頼された装飾品作りに研究員全員が奮闘中だ。
ほぼ毎日アルが顔を覗かせては”できたか?”の一言を残し、去っていく。
たったそれだけなのに、研究員たちは皆、命をすり減らす思いで作業を続けている。
本来なら、事前に魔石の入手を伝えてもらい、先に魔石だけ送ってくれればもっと早く着手できたはずだ。
しかし、スイが突然帰還したため、何の準備もないまま装飾作りに突入することになってしまった。
「おい」
気づくと噂の主が扉の向こうに立っていた。
…というか、いつからそこにいたのだろうか?
「アルステルス様、おはようございます…」
扉の近くにいた研究員が、ドギマギしながら挨拶をする。
今の会話、聞かれてただろうか――?
「その…なんだ。すまなかった。毎日急かすような真似をして」
研究員は一瞬で顔面蒼白になり、息を飲んだ。
――完全に聞かれていた。打ち首獄門の刑だろうか?
「毎日研究室に顔を出しているとリューネに言ったら怒られてしまって…」
アルはしょんぼりした表情を浮かべ、手に持っていた紙袋を差し出した。
「リューネから研究室の皆に差し入れだ。それと、ピアスができたら知らせてくれ。それまで来るのは控えておく」
それだけ伝えると、くるりと背を向けて去っていった。
研究員たちはぽかんとした表情のまま、その場から動けずにいた。
「え?アルステルス様、尻に敷かれてる?」
「あんなションボリ顔のアルステルス様、初めて見た…ギャップ萌え…」
「てか、紙袋の中身何入ってるんだよ?甘い匂いがするんだけど」
「山のようにクッキー入ってる。手作り???????」
「マジか、リューネ様料理できるの?!」
「あ、カードが奥に入ってる。読み上げるね」
ルブテールズを支えてくださる魔道具研究員の皆様へ
いつもありがとうございます。
ささやかですが、休憩時にお召し上がりください。
チョコチップクッキーは自信作です。
ピアスの出来上がりは待ち遠しいですが、
くれぐれも無理をなさらぬように。
――リューネ
「リューネ様の字、可愛い…」
「アルステルス様が惚れるの分かる。何この気遣い…」
「ちょっと待って!私このカード貰っていい?一生の宝物にする!」
「え?抜け駆け?俺だって欲しい!」
「じゃあさ、魔石同士のリンク成功させた人がリューネ様のカードを貰えるってのはどう?公平じゃね?」
「決まり!」
「負けねぇからな」
「俺だって!」
その日のうちにクッキーは全て研究員のお腹の中へ消え、全員が目の色を変えて実験に没頭した――。
そして、3日後――ピアスは完成し、ついに一人の研究員がリューネのカードを手にしたのだった。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「リューネ、ピアス出来上がったぞ」
「もうできたの?研究室の皆さん、無理してないかな…?」
「大丈夫じゃねぇの。皆、やり切った感出してたし。クッキー美味かったってさ」
「食べてもらえたんだ。嬉しいな、僕、お菓子くらいしか上手に作れないから」
「何言ってんだ?王城暮らしで何不自由なく育ったお前が料理できるだけで充分だと俺は思う」
アルは手に持っていたベルベットの布の包みを解くと、3つのピアスが光を受けてキラリと輝いた。
「シンプルで素敵なデザインだね。紫の魔石も綺麗。アル、僕につけてくれる?」
「お前の綺麗な肌に傷つけたくねぇけど…」
アルはリューネの耳たぶに指を添え、魔力を込めると、一瞬でピアスを装着した。
同時にアルの左耳にもピアスが装着される。
「痛むか?」
「ううん、大丈夫。どう、かな?」
「すげぇ似合ってる。可愛い。しばらく消毒は欠かさないようにな」
「うん。これでアルに心配かけずに出かけられるね。ありがとう、アル」
「前にも伝えたように万能じゃねぇから、油断だけはするなよ」
”大丈夫”と微笑みながらアルに抱きつき、口づけを交わす。
ピアスをつけただけなのに、リューネの美しさがさらに際立ったように見える。
そして翌日――
こっそりテスも同じピアスを手に入れ、左耳に装着した上機嫌な姿を、アルは目にするのだった。
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