ハズレ職〈召喚士〉がS級万能職に化けました〜無能と蔑まれた俺、伝説の召喚獣達に懐かれ力が覚醒したので世界最強です~

ヒツキノドカ

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詰め所②

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 アルムの街に来ているのは知っていたが、なぜカナタが衛兵の詰め所にいるのかわからない。

「撤回されよ、ネイル」

 再度告げてくるカナタの言葉に、ネイルはぐぎぎと歯軋りをして従った。

「……兵士長、さっきのはなしです」
「わかりました」

 露骨に若い騎士たちがほっとした顔をした。
 それを忌々しく思いながら、ネイルはカナタを見た。

「……それで、Sランクの『神速』殿がここに何の用で?」
「拙者の友人が、お主に言いたいことがあるようでござる」
「友人?」

 カナタが懐から魔鉱石を加工した魔道具――通信石を取り出した。


『ネイル・アクロン支部長。カナタから話は聞かせてもらったよ』


 その青年の声にネイルは脂汗を流す。

「……ぎ、ギルドマスター……!?」

 通信石の向こうから聞こえてくるのは、冒険者ギルドを統括するギルドマスターの声に間違いなかった。

『コンフィルの実を用いた違法薬物の密造・密売。さらに冒険者を利用して闇市に出入りしたり、権力者に賄賂を送ったり……随分とやりたい放題してくれたみたいだね?』
「ち、違います! これは違うのです!」
『ああ、言い訳は聞かないよ。もう調べはついてるからね』
「……ッ」
『ネイル、僕は君に期待していたんだよ。冒険者としては大成しなかったけど、支部長としては敏腕だった。冒険者ギルドの発展に役立ってくれると思っていた』

 なぜ、自分のことを過去形で話すのか。
 わからない。聞きたくない。

『それに、きみは以前から<召喚士>のロイ君を虐めていたそうだね』
「ロイ……? なぜあの者の名前が出てくるのです!」
『最近、よく名前を聞くんだよ。凄い数の召喚獣を従えているとか、大量にミスリルをギルドに納品したとか、サファイアワイバーンを狩ってCランクに上がったとか……彼はいいね。そんな<召喚士>は見たことがない』

 ギルドマスターは愉快そうに言う。

 ネイルは脳の血管が切れそうだった。
 なぜ自分は貶されているのに、<召喚士>のロイのようなゴミが褒められる?
 意味がわからない。

『そんな素晴らしい彼の才能に、君は気付かなかった。君は支部長にはふさわしくない』

 声色をがらりと冷たいものに変え、ギルドマスターは告げる。

『以上の理由で、ネイル・アクロン、君をギルドから追放する。今までご苦労様。ギルドに置いている荷物をまとめてさっさと出て行くように』
「――な、あ」

 ネイルは目を見開いた。
 追放? クビ? 自分が? そんな馬鹿な!

「ま、待ってください! ギルドは私のすべてなんです! 考え直してください! お願いします! 何でもしますからぁ!」

 通信石にすがりついてネイルは懇願する。
 傍から見たらあまりにも無様だった。
 さっきまで偉そうにしていたネイルは、この数分ですべてを失ったのだ。

 どんなに縋りついても、通信が切れているので通信石は沈黙したままだ。

「カナタ殿! あなたはギルドマスターと親しいのでしょう!? 何とかしてください!」

 ネイルは目を血走らせ、息を荒くしながらカナタに詰め寄る。
 それが最悪の選択だと気付かないまま。

「ネイル。拙者もお主に言いたいことがござった」
「な、なんです? 金ですか? 金ならいくらでも――」

 言い切る前に。
 カナタはネイルの頭を手で掴んで地面へと叩きつけた。


 グシャッッ! という音が響き、ネイルの前歯が数本へし折られる。


「がぶっ!? ああ、歯が! 私の歯がぁああああ!」

 ネイルはあまりの激痛にもがき苦しむ。

 しかし上から押さえつけるカナタの腕力があまりに強すぎて抜け出せず、まるで標本にされた虫のように手足をばたつかせることしかできない。

「お主、ロイ殿に暴力を振るっていたそうでござるな。しかも<召喚士>であることを嘲笑い、ギルド内にそういう雰囲気を広めていたと聞いたでござる」
 カナタは怒っていた。

 自分の友人にして、同業者として尊敬しているロイの受けていた扱いを街での情報収集の中で知り、そのことに激怒していた。

「いい機会でござる。優しいロイ殿に代わり、拙者がお主を斬ってしまおうか」
「ひぃ! ひぃいいいいいいいいいいいいいい!」

 あまりの殺気に、ネイルはその場で気絶した。
 しょわああ……、とネイルの股間から生暖かい液体が漏れてくる。

「なんと情けない……支部長をクビにして正解でござる」

 あまりの恐怖に漏らしたネイルを見て、カナタは呆れたようにそう言うのだった。
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