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二章
新種
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「ロイ、今回も召喚スポット探しを優先でいい?」
シルが確認するように尋ねてくる。
「ああ、頼む。みんなにはいつも付き合わせて悪いな」
「別にいいわよ、そのくらい」
「はい。主であるロイ様の思う通りに行動してください」
温かい言葉をもらいつつも、いつものごとく召喚スポット巡りを優先することに。
召喚スポットに消滅の時間制限がなければ目的を優先することもできるんだが、こればっかりは仕方ない。
「んー……けっこうあるね、召喚スポット」
「一番大きいスポットはどこにある?」
「森の中心部の手前くらいかな。かなり大きいよ。階級的には、私やイオナより下で、『大地ノ大土竜』よりも上かな」
「本当か」
「うん!」
となるとスキル持ちである可能性が高い。ぜひとも確保したいところだ。
そのスポットがいつ消えるかわからないので、とりあえず最短距離でそっちに向かう。
……と、その途中で。
「ぎゃああああああ!」
悲鳴が聞こえてくる。
近いな。
「ロイ、どうするー?」
「……仕方ない、全員で行くか」
「ロイ様、私だけで様子を見てきましょうか? 召喚スポットに向かうのは早いほうが……」
「いや、別行動はなしだ。合流するのが難しくなる」
セフィラの言葉に俺は首を横に振る。魔物の多い場所で別行動はさすがにリスキーすぎる。
四人で声の聞こえたほうに向かう。
「おらあああああああああ!」
『――』
「くそったれぇ……! 儂は武器の素材を採りに来ただけだってのに、なんでこんなわけわからん化け物の相手をせねばならんのだ!」
声を荒げながら、一人の老人が一体の魔物と戦っている。
老人のほうはひげを伸ばした体格のいい外見で、大きなハンマーを武器にしている。
魔物のほうはというと……一言で表せば『枯れ木の巨人』という感じだった。身長は三メートルほどもあり、枯れ枝のような手足を振り回して男性を襲っている。
あの魔物は……
「ギルドで聞いた新種の魔物って、あいつのことじゃない?」
「ああ。ギルド職員が言ってた情報に一致する」
イオナの言葉に頷く。
とりあえず助けよう。
「セフィラ、新種の足を止めてくれ。俺が攻撃、イオナはあの人を抱えて引き離す役だ。いいな?」
「わかりました」
「了解よ!」
セフィラの樹属性魔術によって新種の動きを止める。
『――』
「はいはい運んじゃうわよー」
「うおっ!? な、なんじゃお前ら!?」
驚く男性をイオナが運ぶのと同時に俺は新種の前に突っ込んでいく。剣を構えて新種と打ち合う。
「強いな……」
樹木の表皮は固く、腕が長いせいで遠心力を乗せた一撃が重すぎる。
これが新種か。
どうりでギルドが警戒を促してくるわけだ。
……だが、ギルドマスターと戦ったときに比べれば怖くもなんともない。
「はああああああああ!」
『――!?』
『空渡ノ長靴』による短距離転移で新種の頭上付近までワープし、横薙ぎの斬撃を放つ。硬い樹皮を断ち切るほどに思い切りだ。
そこが弱点だったようで、新種は声にならない悲鳴を上げながら崩れ落ちた。
戦闘終了だ。
「さっすがロイ! もうすっかり『空渡ノ長靴』を使いこなしてるね!」
「連続使用できないから、なかなか使うタイミングが難しいけどな……」
『空渡ノ長靴』は便利ではあるが、そのぶん慎重に使う必要があるだろう。
「す、すまんのう。助かったぞ、お主ら」
「いえ。怪我はありませんか?」
「おう! ぴんぴんしとるわ」
助けた老人は大きな傷もない。これなら大丈夫そうだ。
「儂はダリルじゃ。あんたらは?」
「俺はロイで、こっちは仲間のシル、イオナ、セフィラだ。……ダリルさん、仲間はいないんですか?」
「おらん。冒険者ギルドで護衛を雇うのも面倒じゃった。儂は一刻も早く武器の素材を集めたかったからのう。ここの樹木はいい……武器職人の血が騒ぐ」
うっとりしたように告げる老人改めダリルさん。
「ダリルさんは武器職人なんですか?」
「おうよ。普段は王都で店を開いとるが、たまにこうして自分から素材を集めに来るんじゃよ」
「か、変わってますね」
「ほっとけ。ああそうじゃ、なにか礼をせねばならんのう。しかし今は手元になにもないことじゃし……」
うんうんと悩み始めるダリルさん。
「いや、別にお礼が欲しくて助けたわけじゃ……」
「ふん、それでは気が済まんわい! よしではこうしよう。お主ら、ここでの用が済んだら王都の儂の店に来るといい。一人一つずつ好きなものをやろう。ふふん、『ダリル武具店』といえば王都でも評判の武器屋じゃぞ? 喜んでくれて構わんぞい」
「は、はあ」
評判がどうとか言われても、王都で滞在した時間が短いのでピンとこない。
本当に有名なんだろうか?
外見の雰囲気だけ見ると、熟練の武器職人の風格はばっちりではあるが。
「儂は素材も集め終えたことじゃし、先に戻っとる。忘れるでないぞ、王都の『ダリル武具店』じゃからな」
そう言い残すと、ダリルさんは去っていった。
「武器か~。ちょっと楽しみだね!」
「あんたはいらないでしょ、絶対」
「私だってたまには自分で戦ってみたい! 弓とか鞭とか!」
「あんたがいなかったらロイが素手で戦うことになるでしょうが……」
シルとイオナがそんなやり取りをしている。
どうでもいいが、シルの望む武器が中距離系ばかりなのは近距離戦闘に飽きつつあるからではないと思いたい。
まあ、王都に戻ったら立ち寄ってみようか。
「とりあえず、召喚スポット探しに戻るぞ」
アクシデントはあったが、まずはそっちだ。
「一番大きい召喚スポットからでいいよね?」
「ああ、よろしく頼む」
シルの案内に従い霧の樹海を進んでいく。途中で何度も魔物には遭遇したが、森の中という地形を生かしてセフィラがあっさり片付けてしまう。
しばらく進んだところにそれはあった。
「これだよ!」
「……確かに、かなりのサイズだな」
目の前の召喚スポットはシルやイオナのものには劣るものの、今まで見た中ではその次くらいには大きかった。これは期待できる。
「セフィラ、悪いけど少し待っててくれ。一人にしてしまうが……」
「ご心配ありがとうございます。ですが、大丈夫ですよ。無事のお帰りをお待ちしています」
「行ってくるね!」
「あたしたちがいるんだから、ロイのことは絶対守ってみせるわ」
シルとイオナが頼もしい言葉を口にする。
それじゃあ、行くか。
「『我は汝との契約を望む』」
シルが確認するように尋ねてくる。
「ああ、頼む。みんなにはいつも付き合わせて悪いな」
「別にいいわよ、そのくらい」
「はい。主であるロイ様の思う通りに行動してください」
温かい言葉をもらいつつも、いつものごとく召喚スポット巡りを優先することに。
召喚スポットに消滅の時間制限がなければ目的を優先することもできるんだが、こればっかりは仕方ない。
「んー……けっこうあるね、召喚スポット」
「一番大きいスポットはどこにある?」
「森の中心部の手前くらいかな。かなり大きいよ。階級的には、私やイオナより下で、『大地ノ大土竜』よりも上かな」
「本当か」
「うん!」
となるとスキル持ちである可能性が高い。ぜひとも確保したいところだ。
そのスポットがいつ消えるかわからないので、とりあえず最短距離でそっちに向かう。
……と、その途中で。
「ぎゃああああああ!」
悲鳴が聞こえてくる。
近いな。
「ロイ、どうするー?」
「……仕方ない、全員で行くか」
「ロイ様、私だけで様子を見てきましょうか? 召喚スポットに向かうのは早いほうが……」
「いや、別行動はなしだ。合流するのが難しくなる」
セフィラの言葉に俺は首を横に振る。魔物の多い場所で別行動はさすがにリスキーすぎる。
四人で声の聞こえたほうに向かう。
「おらあああああああああ!」
『――』
「くそったれぇ……! 儂は武器の素材を採りに来ただけだってのに、なんでこんなわけわからん化け物の相手をせねばならんのだ!」
声を荒げながら、一人の老人が一体の魔物と戦っている。
老人のほうはひげを伸ばした体格のいい外見で、大きなハンマーを武器にしている。
魔物のほうはというと……一言で表せば『枯れ木の巨人』という感じだった。身長は三メートルほどもあり、枯れ枝のような手足を振り回して男性を襲っている。
あの魔物は……
「ギルドで聞いた新種の魔物って、あいつのことじゃない?」
「ああ。ギルド職員が言ってた情報に一致する」
イオナの言葉に頷く。
とりあえず助けよう。
「セフィラ、新種の足を止めてくれ。俺が攻撃、イオナはあの人を抱えて引き離す役だ。いいな?」
「わかりました」
「了解よ!」
セフィラの樹属性魔術によって新種の動きを止める。
『――』
「はいはい運んじゃうわよー」
「うおっ!? な、なんじゃお前ら!?」
驚く男性をイオナが運ぶのと同時に俺は新種の前に突っ込んでいく。剣を構えて新種と打ち合う。
「強いな……」
樹木の表皮は固く、腕が長いせいで遠心力を乗せた一撃が重すぎる。
これが新種か。
どうりでギルドが警戒を促してくるわけだ。
……だが、ギルドマスターと戦ったときに比べれば怖くもなんともない。
「はああああああああ!」
『――!?』
『空渡ノ長靴』による短距離転移で新種の頭上付近までワープし、横薙ぎの斬撃を放つ。硬い樹皮を断ち切るほどに思い切りだ。
そこが弱点だったようで、新種は声にならない悲鳴を上げながら崩れ落ちた。
戦闘終了だ。
「さっすがロイ! もうすっかり『空渡ノ長靴』を使いこなしてるね!」
「連続使用できないから、なかなか使うタイミングが難しいけどな……」
『空渡ノ長靴』は便利ではあるが、そのぶん慎重に使う必要があるだろう。
「す、すまんのう。助かったぞ、お主ら」
「いえ。怪我はありませんか?」
「おう! ぴんぴんしとるわ」
助けた老人は大きな傷もない。これなら大丈夫そうだ。
「儂はダリルじゃ。あんたらは?」
「俺はロイで、こっちは仲間のシル、イオナ、セフィラだ。……ダリルさん、仲間はいないんですか?」
「おらん。冒険者ギルドで護衛を雇うのも面倒じゃった。儂は一刻も早く武器の素材を集めたかったからのう。ここの樹木はいい……武器職人の血が騒ぐ」
うっとりしたように告げる老人改めダリルさん。
「ダリルさんは武器職人なんですか?」
「おうよ。普段は王都で店を開いとるが、たまにこうして自分から素材を集めに来るんじゃよ」
「か、変わってますね」
「ほっとけ。ああそうじゃ、なにか礼をせねばならんのう。しかし今は手元になにもないことじゃし……」
うんうんと悩み始めるダリルさん。
「いや、別にお礼が欲しくて助けたわけじゃ……」
「ふん、それでは気が済まんわい! よしではこうしよう。お主ら、ここでの用が済んだら王都の儂の店に来るといい。一人一つずつ好きなものをやろう。ふふん、『ダリル武具店』といえば王都でも評判の武器屋じゃぞ? 喜んでくれて構わんぞい」
「は、はあ」
評判がどうとか言われても、王都で滞在した時間が短いのでピンとこない。
本当に有名なんだろうか?
外見の雰囲気だけ見ると、熟練の武器職人の風格はばっちりではあるが。
「儂は素材も集め終えたことじゃし、先に戻っとる。忘れるでないぞ、王都の『ダリル武具店』じゃからな」
そう言い残すと、ダリルさんは去っていった。
「武器か~。ちょっと楽しみだね!」
「あんたはいらないでしょ、絶対」
「私だってたまには自分で戦ってみたい! 弓とか鞭とか!」
「あんたがいなかったらロイが素手で戦うことになるでしょうが……」
シルとイオナがそんなやり取りをしている。
どうでもいいが、シルの望む武器が中距離系ばかりなのは近距離戦闘に飽きつつあるからではないと思いたい。
まあ、王都に戻ったら立ち寄ってみようか。
「とりあえず、召喚スポット探しに戻るぞ」
アクシデントはあったが、まずはそっちだ。
「一番大きい召喚スポットからでいいよね?」
「ああ、よろしく頼む」
シルの案内に従い霧の樹海を進んでいく。途中で何度も魔物には遭遇したが、森の中という地形を生かしてセフィラがあっさり片付けてしまう。
しばらく進んだところにそれはあった。
「これだよ!」
「……確かに、かなりのサイズだな」
目の前の召喚スポットはシルやイオナのものには劣るものの、今まで見た中ではその次くらいには大きかった。これは期待できる。
「セフィラ、悪いけど少し待っててくれ。一人にしてしまうが……」
「ご心配ありがとうございます。ですが、大丈夫ですよ。無事のお帰りをお待ちしています」
「行ってくるね!」
「あたしたちがいるんだから、ロイのことは絶対守ってみせるわ」
シルとイオナが頼もしい言葉を口にする。
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