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二章
セフィラとの会話2
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「……どういう意味だ?」
「ロイ様はとても優しい人です。困っている人がいれば、無条件で助けてしまうような。そんなロイ様がアラン様の頼みを断ったことがずっと引っかかっていました」
「……」
「ロイ様は本心では、アラン様に協力したかったのではありませんか?」
無言でいる俺にセフィラは言葉を続ける。
「霧の樹海の調査依頼のこともそうです。ロイ様は受付の女性に偵察への参加を求められたとき、なにかを考え込むような仕草をしていました。あれも本当は迷っていたんじゃないですか? 自分が参加すれば、多くの人の役に立てるんじゃないかと」
「……俺、口に出してないよな?」
なんでこんなに全部バレてるんだ? 恥ずかしくなってきた。
「ロイ様の考えていることくらいわかります。だって――ロイ様はすごくわかりやすい人ですから」
「そこは『絆で結ばれた仲間だから』とかじゃないんだな」
そんなに考えていることが顔に出やすいんだろうか、俺は。
セフィラはくすりと笑った。
「冗談です。……本当は、私がロイ様のことが大好きで、いつも見ているからですよ」
「……よくそんなことをサラッと言えるな」
「本心ですから」
穏やかな笑みを浮かべるセフィラと目が合い、俺は思わず視線を逸らした。
殺し文句もいいところだ。どうしてこうもセフィラは俺の心臓を虐めにかかるのか。
なんだかもう全部バレているようなので大人しく口を割ることにする。
「セフィラの言う通り、俺は迷ってたよ。けどもう決めた。俺は危険なことには関わらない」
「私たちを危険にさらしたくないから、ですか?」
「……ああ、そうだ」
確信を込めたセフィラの言葉に、俺は静かに頷いた。
「前に少し話したと思うけど、俺は親を盗賊に殺され、育ての親も死別してる。セフィラやシル、イオナがいて、今の生活が俺はとても楽しい。だから、失いたくない。大切な人がいなくなるのはもうたくさんだ」
声が震える。
たとえば俺が自分の気持ちに従って行動したとする。ギルドマスターの協力要請を受け入れ、霧の樹海の調査にだって力を貸す。
その結果、シルやイオナ、セフィラが傷ついたら?
それだけでは済まず、命を落とすようなことになったら?
脳裏に浮かび上がるのは盗賊に惨殺された両親の姿だ。あんなふうに仲間たちが血の海に沈む光景なんて、想像するだけで吐き気がする。
「臆病でも人でなしでもいい。俺はみんなが無事でいてくれたらそれでいい」
呻くように言うと、ぎゅっ、と頭を優しく抱きかかえられた。
セフィラが俺を抱きしめているのだ。
柔らかい感触や、どくん、どくん、という静かな鼓動が俺の神経を落ち着かせていく。
「……ありがとうございます、ロイ様。私たちのことを大切にしてくれて」
「悪い、情けないところを見せて……」
「情けなくなんてありません。ロイ様の優しさはとても素敵なところです。やっぱり私はロイ様がご主人様でよかったと思います」
囁くように告げるセフィラに、俺は情けないことに涙腺が緩みかけた。
「ロイ様の考えはわかりました。ですが、私は――いえ、シル様もイオナ様も、ロイ様の力になりたいと思っています。そのことも忘れないでください」
「ああ。ありがとう」
セフィラの気持ちに感謝しながら、俺は優しくセフィラの手をほどいた。
「それでは寝るとしましょう。せっかくですし、一緒のベッドでどうですか?」
「……あのな、セフィラ。気持ちは嬉しいんだが」
「ふふ、冗談です。私はロイ様とたくさんお話できましたから、一緒に寝るのはシル様たちに譲ることにします」
にこりと笑ってそう言うと、セフィラは空の寝台に向かった。
……なんというか、セフィラには一生かなわないような気がしてきた。
「ロイ様はとても優しい人です。困っている人がいれば、無条件で助けてしまうような。そんなロイ様がアラン様の頼みを断ったことがずっと引っかかっていました」
「……」
「ロイ様は本心では、アラン様に協力したかったのではありませんか?」
無言でいる俺にセフィラは言葉を続ける。
「霧の樹海の調査依頼のこともそうです。ロイ様は受付の女性に偵察への参加を求められたとき、なにかを考え込むような仕草をしていました。あれも本当は迷っていたんじゃないですか? 自分が参加すれば、多くの人の役に立てるんじゃないかと」
「……俺、口に出してないよな?」
なんでこんなに全部バレてるんだ? 恥ずかしくなってきた。
「ロイ様の考えていることくらいわかります。だって――ロイ様はすごくわかりやすい人ですから」
「そこは『絆で結ばれた仲間だから』とかじゃないんだな」
そんなに考えていることが顔に出やすいんだろうか、俺は。
セフィラはくすりと笑った。
「冗談です。……本当は、私がロイ様のことが大好きで、いつも見ているからですよ」
「……よくそんなことをサラッと言えるな」
「本心ですから」
穏やかな笑みを浮かべるセフィラと目が合い、俺は思わず視線を逸らした。
殺し文句もいいところだ。どうしてこうもセフィラは俺の心臓を虐めにかかるのか。
なんだかもう全部バレているようなので大人しく口を割ることにする。
「セフィラの言う通り、俺は迷ってたよ。けどもう決めた。俺は危険なことには関わらない」
「私たちを危険にさらしたくないから、ですか?」
「……ああ、そうだ」
確信を込めたセフィラの言葉に、俺は静かに頷いた。
「前に少し話したと思うけど、俺は親を盗賊に殺され、育ての親も死別してる。セフィラやシル、イオナがいて、今の生活が俺はとても楽しい。だから、失いたくない。大切な人がいなくなるのはもうたくさんだ」
声が震える。
たとえば俺が自分の気持ちに従って行動したとする。ギルドマスターの協力要請を受け入れ、霧の樹海の調査にだって力を貸す。
その結果、シルやイオナ、セフィラが傷ついたら?
それだけでは済まず、命を落とすようなことになったら?
脳裏に浮かび上がるのは盗賊に惨殺された両親の姿だ。あんなふうに仲間たちが血の海に沈む光景なんて、想像するだけで吐き気がする。
「臆病でも人でなしでもいい。俺はみんなが無事でいてくれたらそれでいい」
呻くように言うと、ぎゅっ、と頭を優しく抱きかかえられた。
セフィラが俺を抱きしめているのだ。
柔らかい感触や、どくん、どくん、という静かな鼓動が俺の神経を落ち着かせていく。
「……ありがとうございます、ロイ様。私たちのことを大切にしてくれて」
「悪い、情けないところを見せて……」
「情けなくなんてありません。ロイ様の優しさはとても素敵なところです。やっぱり私はロイ様がご主人様でよかったと思います」
囁くように告げるセフィラに、俺は情けないことに涙腺が緩みかけた。
「ロイ様の考えはわかりました。ですが、私は――いえ、シル様もイオナ様も、ロイ様の力になりたいと思っています。そのことも忘れないでください」
「ああ。ありがとう」
セフィラの気持ちに感謝しながら、俺は優しくセフィラの手をほどいた。
「それでは寝るとしましょう。せっかくですし、一緒のベッドでどうですか?」
「……あのな、セフィラ。気持ちは嬉しいんだが」
「ふふ、冗談です。私はロイ様とたくさんお話できましたから、一緒に寝るのはシル様たちに譲ることにします」
にこりと笑ってそう言うと、セフィラは空の寝台に向かった。
……なんというか、セフィラには一生かなわないような気がしてきた。
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