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ロックバード
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「……暑っつ……」
寝苦しくていつもより早い時間に目が覚めた。
何か暑いな。
『ピィ、ピィ……』
「お前か……」
スピカが俺のベッドに潜り込んで眠っている。
こいつ、体温高いんだよな。
まだ気温が高すぎるというほどじゃないが、もうすぐ春も終わって夏がやってくるだろう。
そうなると、スピカがベッドに入り込んでくるのは死活問題だぞ。
とりあえずせっかく近くにいるんだからモフっておこう。
『……ピィ』
ちょっと嫌そうな反応をされた。
起こしたら気の毒だし、これくらいにしておくか。
『キュアアアアッ』
「ん?」
家を出ると、獲物を咥えたアルティがこっちにやってきた。
どうやら早朝から狩りに出ていたらしい。
アルティたちは基本的にゴーレムハンドの塔で過ごしている。
で、こうしてたまに獲物をおすそ分けしてくれるのだ。
ちなみにスピカは気まぐれで俺たちの家で過ごしたり、塔で過ごしたりする。
「もらっていいのか?」
『キュアッ』
「いつもありがとな」
アルティは塔へと戻っていった。
今日の獲物は……ロックバードか。
空を飛べない代わりに地上をかなりの速さで走る、大きめの鳥だ。
アルティと入れ替わるようにミリルがやってくる。
「おはようございます、クレイ様!」
「おはよう、ミリル」
「その魔物はアルティちゃんたちが?」
「ああ。悪いけど、解体を頼んでいいか? ついでに魔石も取っておいてくれると助かる」
「わかりました! 解体に少し時間がかかるので、朝食にお出しすることはできませんが……」
「大丈夫だ。……ていうか、いつも色々押し付けてしまってごめん」
どう考えてもミリルは働き過ぎだよなあ。
でも、手先の器用なミリルの仕事を、普通のゴーレムに代わらせるのは難しいし……ううむ。
「とんでもございません! 私はクレイ様のお役に立てるのが嬉しいんです」
「そう言ってもらえるのは嬉しいんだけどな」
「ですが、その……もし私の働きを認めてくださるなら……」
頬を赤くしてちらちらと俺の手を見てくるミリル。
あー……あれか。
ぽん、とミリルの頭に手を乗せる。
「いつも助かる。ありがとう、ミリル」
「~~~~! げ、元気が出ました! これでまだまだ動けます!」
「そ、そうか」
ミリルはぐっと拳を握りしめてそんなことを言う。
いや、ミリルがいいならいいんだが。本当にこれに何の意味が……?
さすがにミリルに運ばせるわけにもいかないので、ゴーレムを呼び出して解体用のスペースにロックバードの死体を移動させる。
その後は解体の補助を行って、俺は時間を過ごすのだった。
昼食にはロックバードの肉を使った料理が並べられた。
「美味しい!」
「ああ、本当に美味い」
「ありがとうございます、ティア様、クレイ様」
俺とティアの感想にミリルがにっこり笑う。
いや、本当に美味いな……特にこの揚げたものが最高だ。下味がしっかりついていて、衣をつけてカラッと揚げている。いくらでも食べられそうだ。
食後にはお茶を淹れてのんびり談笑する。
「そうだ。クレイ様、これがロックバードの魔石です」
「ああ、ありがとう」
悪くない質だ。上位トレントと同じくらいだろう。
これならある程度複雑な命令式も組み込めるだろうが……そうなるとゴーレムの素材がなあ。
ただの土では、複雑な動きは実行できない。
マナストーンやらマナメタルといった魔力を帯びた鉱物でないと。
それらは金属扱いなので【アースチェンジ】では作れないし、当然手持ちもなし。
まあ、上位トレントの魔石同様しばらく死蔵かな。
「そしてティア様にはこちらをご用意いたしました」
「これって……枕?」
「はい。ロックバードの羽を使って作りました。アルティちゃんたちの羽で作ったものとは少し感触が違いますが、こちらもよく眠れると思いますよ」
「わあー! ふかふかね! 素敵じゃない!」
ぎゅむぎゅむとロックバードの羽毛で作った枕を抱きしめるティア。とても嬉しそうだ。
「いつまでも私と同じ枕というのは、窮屈でしょうし……夏も近いですからね」
今までティアはサンダーバードの羽枕を使うためにミリルと同じベッドで寝ていた。
が、夏が来ればそれはさすがに暑いだろう。
「もし体に合わなければ、私の枕と交換しましょう。羽を混ぜてもいいですし、色々と調整できますので遠慮なく言ってくださいね」
「わかったわ! ふふ、アタシのふかふか枕……♪」
うっとりと枕に頬ずりするティア。
すごい喜びようである。
「……ロックバードの羽を使ってぬいぐるみとか作ったら、もっと喜んでもらえるでしょぅか……? いえ、でも布も限られていますし……うーん」
そんなティアの様子を見て何やら葛藤しているらしいミリルだった。
今日も平和だなー。
寝苦しくていつもより早い時間に目が覚めた。
何か暑いな。
『ピィ、ピィ……』
「お前か……」
スピカが俺のベッドに潜り込んで眠っている。
こいつ、体温高いんだよな。
まだ気温が高すぎるというほどじゃないが、もうすぐ春も終わって夏がやってくるだろう。
そうなると、スピカがベッドに入り込んでくるのは死活問題だぞ。
とりあえずせっかく近くにいるんだからモフっておこう。
『……ピィ』
ちょっと嫌そうな反応をされた。
起こしたら気の毒だし、これくらいにしておくか。
『キュアアアアッ』
「ん?」
家を出ると、獲物を咥えたアルティがこっちにやってきた。
どうやら早朝から狩りに出ていたらしい。
アルティたちは基本的にゴーレムハンドの塔で過ごしている。
で、こうしてたまに獲物をおすそ分けしてくれるのだ。
ちなみにスピカは気まぐれで俺たちの家で過ごしたり、塔で過ごしたりする。
「もらっていいのか?」
『キュアッ』
「いつもありがとな」
アルティは塔へと戻っていった。
今日の獲物は……ロックバードか。
空を飛べない代わりに地上をかなりの速さで走る、大きめの鳥だ。
アルティと入れ替わるようにミリルがやってくる。
「おはようございます、クレイ様!」
「おはよう、ミリル」
「その魔物はアルティちゃんたちが?」
「ああ。悪いけど、解体を頼んでいいか? ついでに魔石も取っておいてくれると助かる」
「わかりました! 解体に少し時間がかかるので、朝食にお出しすることはできませんが……」
「大丈夫だ。……ていうか、いつも色々押し付けてしまってごめん」
どう考えてもミリルは働き過ぎだよなあ。
でも、手先の器用なミリルの仕事を、普通のゴーレムに代わらせるのは難しいし……ううむ。
「とんでもございません! 私はクレイ様のお役に立てるのが嬉しいんです」
「そう言ってもらえるのは嬉しいんだけどな」
「ですが、その……もし私の働きを認めてくださるなら……」
頬を赤くしてちらちらと俺の手を見てくるミリル。
あー……あれか。
ぽん、とミリルの頭に手を乗せる。
「いつも助かる。ありがとう、ミリル」
「~~~~! げ、元気が出ました! これでまだまだ動けます!」
「そ、そうか」
ミリルはぐっと拳を握りしめてそんなことを言う。
いや、ミリルがいいならいいんだが。本当にこれに何の意味が……?
さすがにミリルに運ばせるわけにもいかないので、ゴーレムを呼び出して解体用のスペースにロックバードの死体を移動させる。
その後は解体の補助を行って、俺は時間を過ごすのだった。
昼食にはロックバードの肉を使った料理が並べられた。
「美味しい!」
「ああ、本当に美味い」
「ありがとうございます、ティア様、クレイ様」
俺とティアの感想にミリルがにっこり笑う。
いや、本当に美味いな……特にこの揚げたものが最高だ。下味がしっかりついていて、衣をつけてカラッと揚げている。いくらでも食べられそうだ。
食後にはお茶を淹れてのんびり談笑する。
「そうだ。クレイ様、これがロックバードの魔石です」
「ああ、ありがとう」
悪くない質だ。上位トレントと同じくらいだろう。
これならある程度複雑な命令式も組み込めるだろうが……そうなるとゴーレムの素材がなあ。
ただの土では、複雑な動きは実行できない。
マナストーンやらマナメタルといった魔力を帯びた鉱物でないと。
それらは金属扱いなので【アースチェンジ】では作れないし、当然手持ちもなし。
まあ、上位トレントの魔石同様しばらく死蔵かな。
「そしてティア様にはこちらをご用意いたしました」
「これって……枕?」
「はい。ロックバードの羽を使って作りました。アルティちゃんたちの羽で作ったものとは少し感触が違いますが、こちらもよく眠れると思いますよ」
「わあー! ふかふかね! 素敵じゃない!」
ぎゅむぎゅむとロックバードの羽毛で作った枕を抱きしめるティア。とても嬉しそうだ。
「いつまでも私と同じ枕というのは、窮屈でしょうし……夏も近いですからね」
今までティアはサンダーバードの羽枕を使うためにミリルと同じベッドで寝ていた。
が、夏が来ればそれはさすがに暑いだろう。
「もし体に合わなければ、私の枕と交換しましょう。羽を混ぜてもいいですし、色々と調整できますので遠慮なく言ってくださいね」
「わかったわ! ふふ、アタシのふかふか枕……♪」
うっとりと枕に頬ずりするティア。
すごい喜びようである。
「……ロックバードの羽を使ってぬいぐるみとか作ったら、もっと喜んでもらえるでしょぅか……? いえ、でも布も限られていますし……うーん」
そんなティアの様子を見て何やら葛藤しているらしいミリルだった。
今日も平和だなー。
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