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第4章 弟子の魔法使いは試験よりも魔神と一騎討ち(でも試験荒らして学園トップ共を蹴落とす)
第42話 アイドルチームの襲撃(弟子は逃走を選択するが)。
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朝の六時ごろに学園からメッセージがバッジに届く。
開くとそこには朝の七時より最終日まで生徒同士の戦闘エリアの拡大。さらに獲得ポイントが二倍になる知らせが来た。
「さて、準備するか」
いつものように支度を済ませる。
「顔洗い、歯磨き、お着替え、朝食……」
朝食も用意して腹に入れると、一旦テントの中に入る。……で、顔に手を当てた。
「なんかヤバいのが集まってるんだけど……」
四日目のデジャブか? 寧ろ悪化している。
気配からして女性なのは分かるが、複数で全員が中々の厄介なレベルだと一発で分かってしまった。
「居なかったはずだが、アレが学園が用意した上級生たちか?」
だとしてもこれは早過ぎる以前の問題ではないか。待機して時間になったら攻撃してくるぞ絶対。
「報告案件だよな?」
だが、何故だろうか……報告しても無駄に終わる予感がする。連絡用でもあるバッジをジトと見てそう思った。
「マドカに期待しよ」
とマドカ先生さまに心の中で拝んでおいた。通じるか不明だけど。
「しかし、随分と空気が重い」
テント越しでもよく感じれる。重圧というかプレッシャーというか。
「焦ってる?」
何故か。分かる筈なく、時間まで謎のプレッシャーを浴び続けた。
「ここまで大胆な手を使いますか」
外の教員用の室内で、マドカは監視モニターを見つめながら呟く。
他にも何名か見張っているが、呟きに非常に小さく聞こえている者はいない。……代わりにさっきからジッとこちらを見据えている視線がチラつく。
「……」
戦闘クラスの長谷川先生がタブレットを見ながら、こちらを監視する目で盗み見ていた。
理由は何故か。彼女が見ているダンジョン内の彼のモニターが答えだった。
(既に内部まで入り込んでるようですが、問題は何処からという事)
この世界には刃の敵が多い。まず絞らないとマドカも対応に迷いが生まれる。
(彼の周りを包囲しているのは、彼の妹さんが支配する学園の女子たち。春野綾の所属するチームメンバーなら、妹さんが裏で糸を引いている可能性もありますが……)
リストには三年の土御門の名が含まれている。それが引っ掛かる。
(盗聴の時の会話通りなら三年の土御門が彼の倒すべき刺客。ですが、もし妹さんがその事を知って一枚噛んでいるとしたら、加入して来る可能性も十分あり得る)
そして会話の最後で神崎源十郎は『私は何もしない』と白坂隆二に伝えている。
もし神崎緋奈が助っ人として隆二に提案しても、彼が源十郎に伝えるかは……使い捨てとなる戦力が欲しいなら、何が何でも刃を白坂桜香から引き離したいのなら……。
(まずは邪魔な女子たちの対処を優先にした方がいいみたいですが……)
問題は連絡の手段。外の所為で一般の通信機器はダンジョン内部へ電波を送れない。
なので魔道具のバッジに内蔵している通信機能と、雷系の精霊を使ってメッセージを送る方法があるが……。
(彼に直接伝えようとしたら盗聴されると考えた方がいいでしょうね。ならその役割を誰に押し付けるかが鍵でしょうか)
でも誰に伝える? 真っ先に思い浮かんだ白坂桜香は論外。足を引っ張るだけに終わる。彼の試練にもならない。
では誰に伝える? 次に思い浮かんだ四条尊はそもそも関係者か部外者かあやふやだ。刃も巻き込みたくなさそうにしていたので、こちらも省いた方が堅実だ。
じゃあ誰に伝える? 最後に思い浮かんだ人物は───。
(考えてみたら一番盗聴されている可能性が低い人だ。彼の関係者か怪しいラインですが、この件に関しては無関係ではない。いや、いられない)
バレないかは結局のところ運頼みとなったが、メッセージ自体は無事に送る事に成功した。
時間になった途端、俺のテントが爆破された。ルール無用か?
「っ!」
爆風を少々受けたが、『天地』の属性魔力で爆炎を全て外へ流した。
包囲している女子たちの動揺を感じつつ、相手にしている暇はないので包囲網からの脱出を選んだ。
「『風力操作』」
初級魔法の『微風刃』と『天地』の属性魔力を合わせる。
風の力で空を飛んで移動するが、上に飛んで行く俺を見逃す連中でもなかった。
「「『豪火弾』!」」
「「『豪風弾』!」」
上級位魔法の花火みたいに打ち上がって来やがった。遠慮なしか。
「俺は的当てか何かか!」
周囲の風を操りたいが、『豪風弾』の風が邪魔してくる。一発ならまだなんとかなるが、連続で撃ってくる。
「っ」
スピードが出せない。豪火弾をどうにか出した風の障壁で弾くが、とにかく数が多い。全員が相当な魔力持ちである証拠だ。
「『炎熱噴射』」
風の操作を一旦切る。続けて『火炎弾』と『天地』の属性魔力を合わせる。
「逃げさせてもらう」
「っ……! 逃すな!」
異変に気付いた女子の一人が叫ぶが、遅いな。
両手両足からジェットの炎を噴き出した俺の最高速度は、『風力操作』の五倍は超える。
その分衝撃もデカいが、身体強化でどうにか補れる。
「遅いよ」
攻撃魔法を弾幕のように張ろうとしたが、その間に急加速して強行突破する。
包囲網を一気に抜けて最下層の第五層を目指そうとした。
「『光の世界への導き』」
眩い光が俺に追い付いて来た。
次の瞬間、俺の顔面めがけて光の蹴りが飛んで来る。スローのように見えるが、こっちは止まっており、あちらがとんでもなく速さで動いていた。
『第四層で星々の使い魔のメンバーが龍崎刃を襲撃している。場所は──地点付近。止めたいのなら第四層へ続く第三層南側の門まで』
そのメッセージが届いた瞬間、春野綾の脳内が疑問符で埋め尽くされた。
いったい誰からのメッセージか? 宛先はなく答えは最初からなかった。そもそも学園の支給品なので調べようがない。
どうして彼女たちがこのダンジョンにいる? 分かる筈もないが、脳裏で神崎緋奈の顔が過ぎって背筋が凍り付いた。
龍崎刃を襲っている理由? 考えるまでもない。絶対に自分の所為だと彼女は直感した。
そして残された最後文の意味は? 彼女は試されている気がした。
「はっ、はっ、はっ!」
肉体も強化して全力で第三層から第四層へ続く門の一つを目指す。
組んでくれたクラスのチームメイトたちには無理を言ったが、どうにか一人になれた。ちょうど第三層に入っていたので急いで門まで駆けるが、魔物たちが行く手を阻む。
「っ! どいてっ!」
岩と炎の狼(マグニーウルフ)の群れと遭遇してしまった。
ランクこそCで決して高くはないが、二十近くいる。普段の春野なら冷静に対処出来たかもしれないが、焦っていた彼女はがむしゃらに魔法を撃つ始末。押されるのにそう時間は掛からなかったが……。
「伏せろ!『魔弾脚』!」
駆け付けた霧島楓の蹴りから魔弾が放たれる。一斉に飛びかかろうとした狼たちがたじろいだ。
「アヤ!」
「カエデちゃん!? どうして此処に!」
「いいから走る! また囲まれたらヤバい!」
手を引くと一気に跳躍。群れを飛び越えると風のように全速力で駆け出した。
「っカエデちゃん待って! 私……!」
「第四層でしょっ! 分かってる! アタシも行くから!」
目指す先は同じ第四層。
マドカが用意した二人が刃の──いや、『星々の使い魔』の元へ急いだ。
開くとそこには朝の七時より最終日まで生徒同士の戦闘エリアの拡大。さらに獲得ポイントが二倍になる知らせが来た。
「さて、準備するか」
いつものように支度を済ませる。
「顔洗い、歯磨き、お着替え、朝食……」
朝食も用意して腹に入れると、一旦テントの中に入る。……で、顔に手を当てた。
「なんかヤバいのが集まってるんだけど……」
四日目のデジャブか? 寧ろ悪化している。
気配からして女性なのは分かるが、複数で全員が中々の厄介なレベルだと一発で分かってしまった。
「居なかったはずだが、アレが学園が用意した上級生たちか?」
だとしてもこれは早過ぎる以前の問題ではないか。待機して時間になったら攻撃してくるぞ絶対。
「報告案件だよな?」
だが、何故だろうか……報告しても無駄に終わる予感がする。連絡用でもあるバッジをジトと見てそう思った。
「マドカに期待しよ」
とマドカ先生さまに心の中で拝んでおいた。通じるか不明だけど。
「しかし、随分と空気が重い」
テント越しでもよく感じれる。重圧というかプレッシャーというか。
「焦ってる?」
何故か。分かる筈なく、時間まで謎のプレッシャーを浴び続けた。
「ここまで大胆な手を使いますか」
外の教員用の室内で、マドカは監視モニターを見つめながら呟く。
他にも何名か見張っているが、呟きに非常に小さく聞こえている者はいない。……代わりにさっきからジッとこちらを見据えている視線がチラつく。
「……」
戦闘クラスの長谷川先生がタブレットを見ながら、こちらを監視する目で盗み見ていた。
理由は何故か。彼女が見ているダンジョン内の彼のモニターが答えだった。
(既に内部まで入り込んでるようですが、問題は何処からという事)
この世界には刃の敵が多い。まず絞らないとマドカも対応に迷いが生まれる。
(彼の周りを包囲しているのは、彼の妹さんが支配する学園の女子たち。春野綾の所属するチームメンバーなら、妹さんが裏で糸を引いている可能性もありますが……)
リストには三年の土御門の名が含まれている。それが引っ掛かる。
(盗聴の時の会話通りなら三年の土御門が彼の倒すべき刺客。ですが、もし妹さんがその事を知って一枚噛んでいるとしたら、加入して来る可能性も十分あり得る)
そして会話の最後で神崎源十郎は『私は何もしない』と白坂隆二に伝えている。
もし神崎緋奈が助っ人として隆二に提案しても、彼が源十郎に伝えるかは……使い捨てとなる戦力が欲しいなら、何が何でも刃を白坂桜香から引き離したいのなら……。
(まずは邪魔な女子たちの対処を優先にした方がいいみたいですが……)
問題は連絡の手段。外の所為で一般の通信機器はダンジョン内部へ電波を送れない。
なので魔道具のバッジに内蔵している通信機能と、雷系の精霊を使ってメッセージを送る方法があるが……。
(彼に直接伝えようとしたら盗聴されると考えた方がいいでしょうね。ならその役割を誰に押し付けるかが鍵でしょうか)
でも誰に伝える? 真っ先に思い浮かんだ白坂桜香は論外。足を引っ張るだけに終わる。彼の試練にもならない。
では誰に伝える? 次に思い浮かんだ四条尊はそもそも関係者か部外者かあやふやだ。刃も巻き込みたくなさそうにしていたので、こちらも省いた方が堅実だ。
じゃあ誰に伝える? 最後に思い浮かんだ人物は───。
(考えてみたら一番盗聴されている可能性が低い人だ。彼の関係者か怪しいラインですが、この件に関しては無関係ではない。いや、いられない)
バレないかは結局のところ運頼みとなったが、メッセージ自体は無事に送る事に成功した。
時間になった途端、俺のテントが爆破された。ルール無用か?
「っ!」
爆風を少々受けたが、『天地』の属性魔力で爆炎を全て外へ流した。
包囲している女子たちの動揺を感じつつ、相手にしている暇はないので包囲網からの脱出を選んだ。
「『風力操作』」
初級魔法の『微風刃』と『天地』の属性魔力を合わせる。
風の力で空を飛んで移動するが、上に飛んで行く俺を見逃す連中でもなかった。
「「『豪火弾』!」」
「「『豪風弾』!」」
上級位魔法の花火みたいに打ち上がって来やがった。遠慮なしか。
「俺は的当てか何かか!」
周囲の風を操りたいが、『豪風弾』の風が邪魔してくる。一発ならまだなんとかなるが、連続で撃ってくる。
「っ」
スピードが出せない。豪火弾をどうにか出した風の障壁で弾くが、とにかく数が多い。全員が相当な魔力持ちである証拠だ。
「『炎熱噴射』」
風の操作を一旦切る。続けて『火炎弾』と『天地』の属性魔力を合わせる。
「逃げさせてもらう」
「っ……! 逃すな!」
異変に気付いた女子の一人が叫ぶが、遅いな。
両手両足からジェットの炎を噴き出した俺の最高速度は、『風力操作』の五倍は超える。
その分衝撃もデカいが、身体強化でどうにか補れる。
「遅いよ」
攻撃魔法を弾幕のように張ろうとしたが、その間に急加速して強行突破する。
包囲網を一気に抜けて最下層の第五層を目指そうとした。
「『光の世界への導き』」
眩い光が俺に追い付いて来た。
次の瞬間、俺の顔面めがけて光の蹴りが飛んで来る。スローのように見えるが、こっちは止まっており、あちらがとんでもなく速さで動いていた。
『第四層で星々の使い魔のメンバーが龍崎刃を襲撃している。場所は──地点付近。止めたいのなら第四層へ続く第三層南側の門まで』
そのメッセージが届いた瞬間、春野綾の脳内が疑問符で埋め尽くされた。
いったい誰からのメッセージか? 宛先はなく答えは最初からなかった。そもそも学園の支給品なので調べようがない。
どうして彼女たちがこのダンジョンにいる? 分かる筈もないが、脳裏で神崎緋奈の顔が過ぎって背筋が凍り付いた。
龍崎刃を襲っている理由? 考えるまでもない。絶対に自分の所為だと彼女は直感した。
そして残された最後文の意味は? 彼女は試されている気がした。
「はっ、はっ、はっ!」
肉体も強化して全力で第三層から第四層へ続く門の一つを目指す。
組んでくれたクラスのチームメイトたちには無理を言ったが、どうにか一人になれた。ちょうど第三層に入っていたので急いで門まで駆けるが、魔物たちが行く手を阻む。
「っ! どいてっ!」
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ランクこそCで決して高くはないが、二十近くいる。普段の春野なら冷静に対処出来たかもしれないが、焦っていた彼女はがむしゃらに魔法を撃つ始末。押されるのにそう時間は掛からなかったが……。
「伏せろ!『魔弾脚』!」
駆け付けた霧島楓の蹴りから魔弾が放たれる。一斉に飛びかかろうとした狼たちがたじろいだ。
「アヤ!」
「カエデちゃん!? どうして此処に!」
「いいから走る! また囲まれたらヤバい!」
手を引くと一気に跳躍。群れを飛び越えると風のように全速力で駆け出した。
「っカエデちゃん待って! 私……!」
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