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第5章 弟子の魔法使いは世界を彼らと共に守り抜く(掟破りの主人公大集結編!!)
第74話 異世界の来訪者たち 共闘編(弟子は死神とタッグで戦う)。
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「何にも感じないが、本当に此処なのかマドカ?」
「はい、魔力を上手く遮断して景色と同化していますが、この真上に大きな物体が隠れてます」
そう言われて見れば……微かに空の景色に違和感がある。本気で目を凝らさないと気付かないレベルだ。
精霊を使役出来る為かそれとも彼女の原初魔法の効果か、俺の眼はそういうのとは違うしな。
「で、どうやって乗り込むんだ? 俺が飛べばいいのか?」
「そうですね……」
「ちょうど此処にはオレたち以外いないしな」
問い掛ける俺に対して考える仕草をするマドカだが、隣のトオルさんが刀を抜いてそんなことを言う。……嫌な予感がするが、一応聞いておこう。
「……どうするつもりで?」
「斬撃飛ばして「論外」地上に……」
「他にアイデアはないんですか?」
馬鹿な事を言おうとしたトオルさんは無視。他の二人に案がないか訊いてみる。
「オレの異能なら姿を消している効果を無効に出来る筈だ。何かしらの要塞なら入り込めれると思うんだ」
「内部に潜入してですか……」
正直どのくらいの規模か想像は付かないが、マドカが言うには結構な大きさらしい。まずは視界でハッキリ捉えるべきか。
「ところで刃。貴方連戦のようですが、まだ大丈夫なんですか? 融合も使ったんですよね?」
「使ったが、召喚でクーさん呼び出したからまだ余裕はある。それに……」
「それに?」
ジッと見てくるマドカ。泉さんに少しは慣れたようで調子が戻ってきたようだが、なんか探るような目で見てくる。なんで? まぁいいけど。
「んーなんて言うか……前の騒動の件から封印スキルの負担が減った気が……ッ!」
感覚的なので曖昧な感じは否めないと思いつつ言いかけた直後であった。
真上から異常な質の魔力が感じ取れたのは。
「あ、アレが!」
「……出て来たか」
隠されていた物体の空に浮かぶ塔が突然出現した。まるでビルみたいだ。城みたいな外壁に囲まれた塔が空高く浮かんでいる。
驚いている俺たち、泉さんは無感情な瞳で浮かんでいる塔を見つめていると塔から光が落ちる。
「何か来る!」
警戒する俺たちを他所に照らされた光は地面まで届くと魔法陣となる。
転移の系の魔法陣なようでそこから俺が戦った赤い老人の魔法使いとスモアと名乗った褐色の巨大ゴブリンが出現した。
『やはり来たようですが、此処から先は決して踏み入れさせません!』
『ゴバァアアアアア!』
「……強化されてる?」
魔力、もしくは存在感だろうか。二人とも俺やクーさんが倒した時より強くなっている。
雰囲気でハッキリ分かるくらいだ。あの時より厄介になりそうだ。
「それにあのスモアっていう褐色ゴリラの装備が変わってる。明らかに武器の質が上がってるな」
なんかドラゴンのような外骨格の金属武装を全身に纏っている。何かしらの魔道具なのか高い魔力の質と巨大な魔力が注がれていた。
「多分だが、アレは『滅亡の侵略者』だ。魔神の技術者が作っている対魔法師、対神崩し専用の兵器だ。前に戦った魔王も似たような物を持っていたが、アレは見た目以上に手強いぜ」
ショックから復帰したトオルさんが説明する。やはり師匠の守護者だけあって経験は相当積んでいる。無茶苦茶な剣士野郎であるが、情報だけは感謝します(言わないが)。
「対魔法師ってことは俺やマドカの天敵の可能性が高いって事か」
「そのようだが、こっちは四人だ。オレの異能が通じるか分からないが、各々で攻撃すれば……」
「いや、実質的には俺と泉さんですよ? マドカは周辺の安全確保と情報操作、トオルさんは破壊魔ですから最終防衛ラインに回します」
「やっぱりオレの扱い酷くないか!?」
今さらですか? 少しは自覚してくださいよ。
「マドカの教育の所為か? なんか前より発言の毒が増してるぞ」
「トオルさんは斬撃魔なんですから少しは自重を覚えてください」
「……破壊魔と斬撃魔、どっちが酷い呼び名だろうか」
どっちにしても『なんとか魔』って呼ばれている時点でダメだと思う。
「冗談は置いてもまだ魔王が出てません。いきなり全員で戦ったら魔王の対応に支障が出るかもしれません。最悪の場合はトオルさんが魔王の方へ回ってください。なるべく建物や人は斬らない方針で」
「人斬った時点で絶対見捨てるだろ」
だって切り裂き魔みたいに斬って斬って斬りまくるじゃないですか貴方。
「マドカ、トオルさんのフォローもよろしく」
「激しく嫌です。それならゴブリンの相手した方がマシです」
「ヒドイ!(涙目)」
「後でかき氷奢るから」
「……分かりました。最悪の場合、彼をナキモノ二シマス」
「かき氷で動いた! ていうか後半何かおかしくなかった!? カタコトだったけど明らかにオレの殺人宣言してましたよね!?」
またショックを受けた様子のトオルさんをマドカに任せて泉さんと前に出る。傷付いたか号泣しているけど大男が泣いているとなんか怖いな。
「あれで剣士辞めたらただの暑苦しい猛獣だな」
「君ら……オレの幼馴染並みにドSだな」
頬を引き攣らせて苦笑いする泉さん。でもすぐに待ち構えている敵サイドへ視線を戻した。
「ならオレたちでアレらの相手をしないといけないな。準備はいいか刃?」
「はい、泉さん」
「零でいいぞ」
そう言って微笑むとその笑みが無のものへと変わる。
それが彼の戦闘モードなのだと流石に理解した。俺も全身の気を高めて肉体を調子を上げて戦闘態勢に入った。
「刃、行くぞ!」
「はい、零さん!」
告げた零さんの周りにあの黒い異能が纏う。
俺も二種類の魔力を合わせて融合スキルを解放した。
「『黒夜』【異能術式】──起動」
「融合・第二権能『擬似・属性融合』──発動」
黒い異能が鎧のような形状になって彼の体に装着される。
火属性と雷属性を二種類の魔力と共に融合させる。
「──身に纏え【黒雷迅鎧】ッ!」
「──『緋天の皇蕾衣』ッ!」
お互いに黒色と緋色の雷を纏った。
零さんは雷の槍を構えて俺は緋色の魔剣を取り出す。
「「ッ!」」
『『ッ!?』』
掛け声はなし。数段強化された脚力で一気に敵側へ接近した。
零さんは赤い老人魔法使いに雷の槍を振るうと出現した空間の渦壁と衝突する。
俺は緋天の魔剣でゴブリンのスモアの腕を外装ごと斬り落とそうとするが、火花を散らして弾かれる。
『ゴバァアアアアア!』
武装レベルが格段にアップしたスモアの攻撃力も上がっていた。両腕に装着した翼のような巨大な刃を振りかざして来る。
俺は魔剣を盾にしながら受け流す。お返しに魔剣の刃を通して緋色の雷を浴びせる。やはり魔法耐性は付いているようで多少は弾かれてしまったが、少しだけ動きが鈍ったところを俺は解放した魔剣の一撃を叩き込む。
「『雷轟く緋天王の一振り』!」
炎熱力と雷撃を底上げさせる。至近距離から魔剣の莫大なオーラの全てを……。
「ミヤモト流──『緋雷王の咆哮』ォォォォオオオッッ!」
『ゴバァアアアアアア!?』
ミヤモト流の剣術と混ぜ合わせた咆哮のような斬撃波を叩き込んだ。
吹き飛ばされるスモアだが、頑丈なそうな見た目はどうやら見せかけではなかったらしい。
『ゴバァアアアアアア!』
「耐えやがったか!」
外装の表面に汚れや斬り傷は存在するが、それでも破壊し切れたとは言えない程度のものだった。
「シッ!」
降り注ぐ歪んだ空間の球。それを零は持っている槍を振り回し当てて、その度に球は煙のように消滅する。
ツファームは他にも炎や水、土魔法なども発動させて零の隙を作ろうするが、まるで未来でも見えているかのように発動されるよりも速く動いて、その魔法の全てを的確に対処していく。
「俺に魔法とやらは効かんぞ?」
『ッ、確かに噂通りの化け物ですが、これならどうですか!』
無感情な瞳で無駄だと伝える零に苛立ちを隠さず両手を広げるツファーム。
すると足元の地盤が抉れて空中高くまで持ち上がる。大人数人を簡単に潰せれるような巨大な岩盤を四つ。ツファームは空間スキルを駆使して操作したが……。
「馬鹿か貴様は」
『は?』
呟いた瞬間、黒き雷が唸りを上げた。
空中に浮かぶ四つの巨大な岩に直撃する。ツファームの力が消滅した事で四つの岩は重力に従って真っ逆さまに落下する。咄嗟に渦の障壁を展開したので潰される事はなかったが、老けた赤い顔には冷や汗が滲み出ていた。
「効かないと言った。つまり浮かせたところで無効にすれば岩盤の餌食になるのは貴様という事だぞ?」
『──ッ』
呆れたような零の言葉を聞いて悔しげに口を閉ざす。確かに思い付きの戦術であったが、こうも容易く封じられてしまうとは。ツファームは改めて『死神』泉零の危険性を理解させられたが……。
「考えたいバレないようにやれよ」
黒き雷が彼の思考を中断させる。障壁も回避も間に合わず受けてしまった。
魔力器官の神経まで痺れさせるような零の黒き雷。何発も食らっていたら魔力が練れなくなってスキルも使えなくなる。
「大物が控えてるんだ。さっさと終わらせる」
『先には行かせないと言った筈です!』
黒色の雷槍を振るいながら構える零。
対抗するようにツファームの周りにも渦の空間が無数に展開された。
*作者コメント*
前々回から出ているトオルの紹介がまだだったので出しておきます。
オリジナルマスター 登場人物
トオル・ミヤモト(ミヤモト流の継承者)*ツッコミキャラに昇格
主人公ジークの相棒的な一人。守護者なって世界の守っている剣士であるが、剣士馬鹿なので割とやらかしており刃からの信頼はかなり低い。
「はい、魔力を上手く遮断して景色と同化していますが、この真上に大きな物体が隠れてます」
そう言われて見れば……微かに空の景色に違和感がある。本気で目を凝らさないと気付かないレベルだ。
精霊を使役出来る為かそれとも彼女の原初魔法の効果か、俺の眼はそういうのとは違うしな。
「で、どうやって乗り込むんだ? 俺が飛べばいいのか?」
「そうですね……」
「ちょうど此処にはオレたち以外いないしな」
問い掛ける俺に対して考える仕草をするマドカだが、隣のトオルさんが刀を抜いてそんなことを言う。……嫌な予感がするが、一応聞いておこう。
「……どうするつもりで?」
「斬撃飛ばして「論外」地上に……」
「他にアイデアはないんですか?」
馬鹿な事を言おうとしたトオルさんは無視。他の二人に案がないか訊いてみる。
「オレの異能なら姿を消している効果を無効に出来る筈だ。何かしらの要塞なら入り込めれると思うんだ」
「内部に潜入してですか……」
正直どのくらいの規模か想像は付かないが、マドカが言うには結構な大きさらしい。まずは視界でハッキリ捉えるべきか。
「ところで刃。貴方連戦のようですが、まだ大丈夫なんですか? 融合も使ったんですよね?」
「使ったが、召喚でクーさん呼び出したからまだ余裕はある。それに……」
「それに?」
ジッと見てくるマドカ。泉さんに少しは慣れたようで調子が戻ってきたようだが、なんか探るような目で見てくる。なんで? まぁいいけど。
「んーなんて言うか……前の騒動の件から封印スキルの負担が減った気が……ッ!」
感覚的なので曖昧な感じは否めないと思いつつ言いかけた直後であった。
真上から異常な質の魔力が感じ取れたのは。
「あ、アレが!」
「……出て来たか」
隠されていた物体の空に浮かぶ塔が突然出現した。まるでビルみたいだ。城みたいな外壁に囲まれた塔が空高く浮かんでいる。
驚いている俺たち、泉さんは無感情な瞳で浮かんでいる塔を見つめていると塔から光が落ちる。
「何か来る!」
警戒する俺たちを他所に照らされた光は地面まで届くと魔法陣となる。
転移の系の魔法陣なようでそこから俺が戦った赤い老人の魔法使いとスモアと名乗った褐色の巨大ゴブリンが出現した。
『やはり来たようですが、此処から先は決して踏み入れさせません!』
『ゴバァアアアアア!』
「……強化されてる?」
魔力、もしくは存在感だろうか。二人とも俺やクーさんが倒した時より強くなっている。
雰囲気でハッキリ分かるくらいだ。あの時より厄介になりそうだ。
「それにあのスモアっていう褐色ゴリラの装備が変わってる。明らかに武器の質が上がってるな」
なんかドラゴンのような外骨格の金属武装を全身に纏っている。何かしらの魔道具なのか高い魔力の質と巨大な魔力が注がれていた。
「多分だが、アレは『滅亡の侵略者』だ。魔神の技術者が作っている対魔法師、対神崩し専用の兵器だ。前に戦った魔王も似たような物を持っていたが、アレは見た目以上に手強いぜ」
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「対魔法師ってことは俺やマドカの天敵の可能性が高いって事か」
「そのようだが、こっちは四人だ。オレの異能が通じるか分からないが、各々で攻撃すれば……」
「いや、実質的には俺と泉さんですよ? マドカは周辺の安全確保と情報操作、トオルさんは破壊魔ですから最終防衛ラインに回します」
「やっぱりオレの扱い酷くないか!?」
今さらですか? 少しは自覚してくださいよ。
「マドカの教育の所為か? なんか前より発言の毒が増してるぞ」
「トオルさんは斬撃魔なんですから少しは自重を覚えてください」
「……破壊魔と斬撃魔、どっちが酷い呼び名だろうか」
どっちにしても『なんとか魔』って呼ばれている時点でダメだと思う。
「冗談は置いてもまだ魔王が出てません。いきなり全員で戦ったら魔王の対応に支障が出るかもしれません。最悪の場合はトオルさんが魔王の方へ回ってください。なるべく建物や人は斬らない方針で」
「人斬った時点で絶対見捨てるだろ」
だって切り裂き魔みたいに斬って斬って斬りまくるじゃないですか貴方。
「マドカ、トオルさんのフォローもよろしく」
「激しく嫌です。それならゴブリンの相手した方がマシです」
「ヒドイ!(涙目)」
「後でかき氷奢るから」
「……分かりました。最悪の場合、彼をナキモノ二シマス」
「かき氷で動いた! ていうか後半何かおかしくなかった!? カタコトだったけど明らかにオレの殺人宣言してましたよね!?」
またショックを受けた様子のトオルさんをマドカに任せて泉さんと前に出る。傷付いたか号泣しているけど大男が泣いているとなんか怖いな。
「あれで剣士辞めたらただの暑苦しい猛獣だな」
「君ら……オレの幼馴染並みにドSだな」
頬を引き攣らせて苦笑いする泉さん。でもすぐに待ち構えている敵サイドへ視線を戻した。
「ならオレたちでアレらの相手をしないといけないな。準備はいいか刃?」
「はい、泉さん」
「零でいいぞ」
そう言って微笑むとその笑みが無のものへと変わる。
それが彼の戦闘モードなのだと流石に理解した。俺も全身の気を高めて肉体を調子を上げて戦闘態勢に入った。
「刃、行くぞ!」
「はい、零さん!」
告げた零さんの周りにあの黒い異能が纏う。
俺も二種類の魔力を合わせて融合スキルを解放した。
「『黒夜』【異能術式】──起動」
「融合・第二権能『擬似・属性融合』──発動」
黒い異能が鎧のような形状になって彼の体に装着される。
火属性と雷属性を二種類の魔力と共に融合させる。
「──身に纏え【黒雷迅鎧】ッ!」
「──『緋天の皇蕾衣』ッ!」
お互いに黒色と緋色の雷を纏った。
零さんは雷の槍を構えて俺は緋色の魔剣を取り出す。
「「ッ!」」
『『ッ!?』』
掛け声はなし。数段強化された脚力で一気に敵側へ接近した。
零さんは赤い老人魔法使いに雷の槍を振るうと出現した空間の渦壁と衝突する。
俺は緋天の魔剣でゴブリンのスモアの腕を外装ごと斬り落とそうとするが、火花を散らして弾かれる。
『ゴバァアアアアア!』
武装レベルが格段にアップしたスモアの攻撃力も上がっていた。両腕に装着した翼のような巨大な刃を振りかざして来る。
俺は魔剣を盾にしながら受け流す。お返しに魔剣の刃を通して緋色の雷を浴びせる。やはり魔法耐性は付いているようで多少は弾かれてしまったが、少しだけ動きが鈍ったところを俺は解放した魔剣の一撃を叩き込む。
「『雷轟く緋天王の一振り』!」
炎熱力と雷撃を底上げさせる。至近距離から魔剣の莫大なオーラの全てを……。
「ミヤモト流──『緋雷王の咆哮』ォォォォオオオッッ!」
『ゴバァアアアアアア!?』
ミヤモト流の剣術と混ぜ合わせた咆哮のような斬撃波を叩き込んだ。
吹き飛ばされるスモアだが、頑丈なそうな見た目はどうやら見せかけではなかったらしい。
『ゴバァアアアアアア!』
「耐えやがったか!」
外装の表面に汚れや斬り傷は存在するが、それでも破壊し切れたとは言えない程度のものだった。
「シッ!」
降り注ぐ歪んだ空間の球。それを零は持っている槍を振り回し当てて、その度に球は煙のように消滅する。
ツファームは他にも炎や水、土魔法なども発動させて零の隙を作ろうするが、まるで未来でも見えているかのように発動されるよりも速く動いて、その魔法の全てを的確に対処していく。
「俺に魔法とやらは効かんぞ?」
『ッ、確かに噂通りの化け物ですが、これならどうですか!』
無感情な瞳で無駄だと伝える零に苛立ちを隠さず両手を広げるツファーム。
すると足元の地盤が抉れて空中高くまで持ち上がる。大人数人を簡単に潰せれるような巨大な岩盤を四つ。ツファームは空間スキルを駆使して操作したが……。
「馬鹿か貴様は」
『は?』
呟いた瞬間、黒き雷が唸りを上げた。
空中に浮かぶ四つの巨大な岩に直撃する。ツファームの力が消滅した事で四つの岩は重力に従って真っ逆さまに落下する。咄嗟に渦の障壁を展開したので潰される事はなかったが、老けた赤い顔には冷や汗が滲み出ていた。
「効かないと言った。つまり浮かせたところで無効にすれば岩盤の餌食になるのは貴様という事だぞ?」
『──ッ』
呆れたような零の言葉を聞いて悔しげに口を閉ざす。確かに思い付きの戦術であったが、こうも容易く封じられてしまうとは。ツファームは改めて『死神』泉零の危険性を理解させられたが……。
「考えたいバレないようにやれよ」
黒き雷が彼の思考を中断させる。障壁も回避も間に合わず受けてしまった。
魔力器官の神経まで痺れさせるような零の黒き雷。何発も食らっていたら魔力が練れなくなってスキルも使えなくなる。
「大物が控えてるんだ。さっさと終わらせる」
『先には行かせないと言った筈です!』
黒色の雷槍を振るいながら構える零。
対抗するようにツファームの周りにも渦の空間が無数に展開された。
*作者コメント*
前々回から出ているトオルの紹介がまだだったので出しておきます。
オリジナルマスター 登場人物
トオル・ミヤモト(ミヤモト流の継承者)*ツッコミキャラに昇格
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