クズ王太子に婚約破棄された公爵令嬢、久しき日の約束を果たすと年下王子に溺愛される〜君との愛が真実だった?もう遅い〜

ゐをり

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三話 出陣

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あの忌まわしい、婚約破棄のパーティーから数日が経過した。今日は、ナイトレートに婚約の返事を伝えに行く日だ。

 人は見た目が9割、というが、それが真であろうと偽であろうと、人の見た目が与える影響は計り知れない。その為、アリアンヌとその侍女ヴィオラはいつもに増して気合を入れてドレスアップに励んでいる。

「本当にこれでいいのかしら......?」
 
 アリアンヌは鏡を覗き込みながら、ヴィオラに尋ねた。

 ピンクブロンドの髪をハーフアップにして、どこへ出ても恥ずかしくないよう、落ち着いた色のドレスを着こなしているイザベラは、充分に様になっているのだが、ヨハネに年配の貴族へ好印象を与える為、堅苦しい、伝統に沿ったドレスを着せられていた為、本人は普段しない格好をしている鏡の中の自分を見て不安に感じている。

「はい! とってもお似合いですよ! お嬢様!」
「ふふ、ありがとう」

 侍女のヴィオラがアリアンヌの問いに答える。アリアンヌも満更では無さそうだ。


「それじゃあ、行ってくるわね」
「行ってらっしゃいませ、お嬢様。それと......」

 ヴィオラが口をアリアンヌの耳元に近づける。

「もしお帰りにならない、なんてことになっても、私がルーデンス様には言い訳しておきますので......」
「きょ、今日は返事を伝えに行くだけよ! 全く、貴女という人は......」

  そう言ってアリアンヌはヴィオラをジト目で睨みつけるが、その目の奥は笑っていた。ヴィオラはアリアンヌが6歳の時から住み込みで働いている為、お互いに姉妹のように思っているので日頃から軽口をたたき合う仲なのだ。

____いざ、出陣ってところかしら?

 アリアンヌはこの先のことを考え、微笑んだ。


 
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