大好きな貴方への手紙

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side ベルベッツ伯爵家より手紙を預けられし者

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・・・・・最悪だ。

・・・・・頭が痛い。


ベルベッツ伯爵邸は二日前から沈みかえっていた。

太陽の日が消えてしまったかのように静まり返り、誰も笑顔を見せない

奥様は伏せってしまい姿は見せずがすすり泣く咽びは夜通し聞こえる

旦那様は一気に老けて覇気はなくなっていた。

この原因はお嬢様が消えて仕舞われたから


数日前まで笑顔でアルベル侯爵家へ世話しなく通っていた
これも小侯爵に熱をあげてあたからと皆は知っている

ただ、余り上手く行っていないのではとお嬢様付きの侍女が溢していた。

『お嬢様がお可哀想、幼馴染なのだからあれ程冷たくあしらわなくても』

愚痴を言っては涙をため主人の幸せを祈っていた。

変化は数日前からだ、お嬢様が部屋からお出になられなくなった。

何があったわけでもないと侍女は言う

心境の変化だろうか

皆心配しては部屋を訪れるも笑顔で大丈夫とやんわり部屋から出るのを拒む

アルベル小侯爵からはお嬢様が行かなくなったのに何も音沙汰がない

侍女は顔を赤らめ『あんな奴最低だ』と怒っていた
毎日行っていた相手がパタリと来なくなったのに心配さえしないとは幼馴染とはいえ薄情ではないかと自分も思ったほどだ

事件は2日前におこった。

朝、いつものようにお嬢様付きの侍女が部屋へ朝食を運んだ時に気が付いた。

その部屋の主人は忽然と消えていたのである

皆が伯爵邸をくまなく探した。

だが、お嬢様の痕跡は何処にも無かった。

あったのは部屋に残された数枚の手紙

旦那様へ
奥様へ
お嬢様付きの侍女へ
屋敷の使用人達へ

・・・そしてアルベル小侯爵へ

皆の優しさに感謝し、皆の幸せを願い
己が出した結論へ謝罪した手紙を認められていた。

何処へ行くとも書かれていず皆悲観した。

旦那様は多数の知人へ娘の行方を知るため手紙を認め使いをまわしていた。

タイミング的にアルベル侯爵邸に向かう使者としてただの馬車使いにお嬢様の手紙を届けさせる事となったのだ

毎回確かに自分が馬車でアルベル侯爵邸にお嬢様をお連れしていたが手紙など配達した事など1度もない

もう門番へ手紙を渡してさっさと戻ろうと思っていた

なのにだ!

食い下がる門番にアルベル侯爵邸の執事まで現れ部屋の中へ入れられてしまった

帰りたい

だから自分は伝えた

「自分はただ手紙を渡すのみ何も知りませんし帰らせて頂きたい」

相手は返事を書いて渡すからと部屋を出ていった

・・・誰に返事を書くのだ

お嬢様は屋敷には居ない

最悪だぁ・・・伯爵邸に帰りたい

お嬢様の無事を願い頭を抱えていたら執事がお茶を用意し始めた

要らない・・・帰らせてくれ

空笑みが口元に出た時執事を呼ぶ声が聞こえ彼は部屋から出ていった。

もう早くして欲しい

また頭を抱えていた時だった

部屋のドアが思い切り開き男性が自分に掴みかかってきた

怖い!何だ!顔を真っ赤にし発したのは

「イブは、イブは屋敷に居るか?」

旦那様からは小侯爵へは何も伝えるなと言い付けられている

「・・・知りません」

「伯爵令嬢が屋敷に居るか聞いている」

「・・・帰らせてくれ」

「答えろ!答えてくれ、イブは何処に」

泣きそうな顔になる彼はエルヴィス小侯爵だろう

今まで冷たくあしらってきた令嬢が消え、さも清々しい顔をするのかと思っていた

「あれ程嫌っていた相手の何が知りたいと?」

彼は眼を見張り驚いた顔をした

そして赤らめていた顔はみるみる青ざめていく
目に見えて変化する様は異様だ

「自分は何も知りません、帰らせて頂きたい」

彼は動きを止めた。

執事が後から部屋へ入ってきた

もう返事など無いだろう、渡す相手すら居ないのだから

「申し訳ないが帰らせて頂きたい」

一言執事へ伝え足早に侯爵邸を後にした

小侯爵の狼狽ぶりは・・・本当にお嬢様を嫌って居たのか?
訳がわからない

自分が何の答えを導いたとして既に消えて仕舞われたお嬢様が戻ってくるとも限らない

何も知らないし考えるのも止めた

あぁ最悪だ

頭が痛い
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