貴方と何故こうなった

目の保養

毎日同じ時間、同じ場所
彼はそこで必ず休息を取っている。

ただ、その姿が観たいだけ

私は物陰の定位置からそっと眺めていた。

『あぁ、麗しき方今日もお会いできたわ』

彼と私は目も合わせたことの無い一方通行な認識
名前さえ知らない
服装からして騎士様なのではないかと想像してはいるが、実際私の無知力により彼の職業さえわからない

私は無知なのだ

箱入り娘なのではなく、ただの無知

興味が有れど知りたいと努力はしない
聞きもしない、知ろうとしないがため無知

何も望まない私が彼だけ観ていたいと望み
今日も眺めている

そして目を閉じた彼の姿しか観た事もない

『さて、一目観れましたしもどりましょう』

踵を返し私は自分が居なければならない場所へ足を向けた、その後で彼の視線が注がれて居ることなど知らず