好きだから笑顔でさようならいたします

笑顔の君

婚姻がなされ今目の前には愛するビアンカが居る

ビアンカには過去の話はしていないが伯爵が殿下を慰めてあげないとだけ言ったみたいで、あれから何があろうと傍を離れる事はなかった

そして事あるごとに子ども扱いして頭を撫でてくるのだ

「・・・奥さん？もう子供じゃないんだからヨシヨシはやめてくれないかい？」

「あら、旦那様ダメですよ！慰めにはこれが一番なのです！」

「だが、もう父親となったのだから恥ずかしい」

「良いのです、私の父も母にはヨシヨシして貰っていました。どうしても駄目なら命令くださいな」

「義理父上が！命令などしたくない、ただ恥ずかしいだけで嫌でも無いから・・・」

「ね、旦那様は本当に可愛らしい方ですわ」

ビアンカに勝てる気がしない

あの衝撃な目覚めから数日後女は極秘に捕らえられ王により処罰された

姿や名前など判っているのだから対応は速かった
だが、慢心する事無いように皆には魔道具を付け続けさせた

自分は今回の人生では王になり民に慕われている

子供達にも恵まれビアンカにも素敵な人生を経験させてあげれていると思う



そして、二度目のビアンカとお別れの時が来た

「ビアンカ、愛しているよ」

老衰により彼女の意識が朦朧としているだろう今

「ロイド様、私は幸せでした。愛してますわ」

「あぁ、私も幸せだよ君が一緒に居てくれて」

「あのね、最後だから言いますわ、一度目の人生では不幸にして私の間違いで悲しい思いをさせてごめんなさい」

「ビアンカ？記憶があるのかい？」

「最近なの、ふと頭に記憶ぐ蘇り、ロイド様の最後を見届けてお迎えに行ったのを思い出したのは、その時ロイド様寂しがって居たわ」

「違うんだ、私が間違えたんだ！ビアンカ許してくれ」

「あらあら、今回は幸せだったのよ、一緒に居てくれてありがとうございました」

「愛しているよ、今回もまた迎えに来てくれるかい？」

「えぇ、先に行きますが待ってますね」

「余り待たせないよ」

最後にとびきりの笑顔で「ロイド様さようなら」
と眠るように息を引き取った。


その数年後自分も老衰により眠るように息を引き取った

今回違うのは私の周りには子供達や孫に見届けられて笑顔でこの世を去れた事

そして、約束通り

「ロイド様お迎えに来ましたよ」

「あぁ、ビアンカ会いたかった。また一緒に居られるね」

「えぇ、ずっと一緒ですわ」


永遠に手を離したくない人と共に光へ吸い込まれて






終