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馬車の中で小言を言われ続けて屋敷に戻った
玄関を入るのが本当は怖く、なかなか馬車から降りない事に侍女にまた小言を言われ仕方なく降りる
玄関を入ると勢いよく隣の客間から兄が飛び出して来た
「「「ベロニカ!」」」
ビクッと肩を震わせると兄は足を止め此方の様子を窺うように見てくる
「あ・・・・ベロニカ、今朝はごめんな・・・・本当に・・・・・ごめん」
シュンと肩を落とし目をウルウルさせる兄に申し訳なさが募る
「・・・・いえ、私こそごめんなさい」
もう真っすぐ見ることができず俯くと
そっと近づいて来た兄が
「違うんだ・・・・何もベロニカは悪くないんだよ」
そういって抱き留めてくれる
兄の優しい腕の中で居ると又目頭が熱くなる
「・・・・あのね、みんな私に何か隠してるでしょ?」
「・・・・なんの事?」
「わかんないの・・・・でも華祭りについてだけ皆敏感なの」
「そうかな・・・」
「そうよ!私何かしてしまったの?何があるの?お兄様教えてくださらない?」
「・・・・・知らなくていい事もあるよ」
「人がなくなっているのよね?グロリオ様って方が」
「思いだしたのかい?」
首を横に振る、思い出すとは何をなのだろう・・・記憶にあるのは踊って楽しい記憶、そして次の日熱で魘された記憶へと飛ぶ
祭りの後どうやって家に帰った?いつから熱が出始めた?考えてみたら不自然だ
「華祭り中に何があったのですか?教えてくださいお兄様!」
拒絶に近い顔で口元を引きつらせる兄の顔を見続けていた
「・・・・もういいです」
踵を返し部屋へ駆け込む
「違うんだベロニカ!待ってくれ」
振り返らず兄に背を向け部屋に逃げ込む
ドアを叩く音がするが無視をする
「ベロニカ・・・お願いだ此処を開けてくれないか?」
「・・・・何も聞きません、今朝の事も気にしなくて結構です。一人にさせていただけますか」
「ベロニカ・・・お前が居なくなってしまう」
「お兄様、私は何も覚えて居ない事に気が付きましたが誰も何も教えてくれない、居なくなると言われても判りません!そっとしておいていただけますか!」
ドア前の気配が消えたので兄は離れてくれたのだろう
侍女にも部屋に入るなと鍵を閉めた
誰も何も教えてくれないなら自分で調べるしかない、明日彼に逢いに行く前には何かしら知っておきたい
昔の自分の日記を探し読み始めるが華祭りの当日と数日間だけが破られて居た
だれが・・・・なぜ此処まで秘密にする
思い出そうにも何も頭に浮かびもしない
そういえば暗示に似た魔法で記憶をさかのぼる方法が本に載っていた気がする
そっと姿眩ませを自分にかけ書庫へ向かう途中ある部屋の前で怒鳴り声を聞いた
父の声だ、そして悲し気な母の声
私に内緒で私の話をしているのだろう、自分の事だが聞き耳を立てる気にはなれない
そっとその場を後にして書庫へ向かう
書庫には着いたので姿眩ませを解き部屋に滑り込んだ
「おや、籠城は終わったのかい?」
「義理兄様・・・・。」
まさかの人物がそこには居た
「まだネモとは結婚してないから兄は早いが嬉しいね」
笑顔で答える隣国の王子が我が家の書庫でなにしているのかしらと疑問の表情を読み取ったのか
「家族会議?らしいので追い出されちゃったんだよ、寂しい事に」
「・・・あぁ、お姉様も一緒に執務室にいらっしゃるのですね」
「皆一緒に居るの知っているの?」
先に部屋の前での声が聞こえた事を話し、会話が聞こえる前に逃げて来たと伝える
「ふーん、君の事だから聞いてきたらいいのに」
「いえ・・・・誰も聞かせたくなさそうなので自分で調べようかと思いまして」
「何を探しに?」
「魔法書を」
「私が知っている魔術なら教えてあげるよ」
「え?」
「これでも王子だから大抵の魔術は使える」
「・・・・記憶をよみがえらせたくて」
「記憶喪失?」
「ひと時の箇所が抜けているのです」
「いいか悪いか判んないが思い出したいのなら」
ふと手を翳し左耳上に近づけるとバチンと音が鳴り王子の手を弾いた
「あ、ダメだこれロックがかかっている」
「ロック?とは?」
「記憶を封印させる為のカギがかかっているんだよ、人為的な仕業だよ」
「解くには?」
「かけた人が解かないと無理だろうね負担がかかる」
「では、掛けた人物とは?」
「魔力が君の兄に似てたけど・・・違うか義理父上様だな」
「お父様が・・・・。」
やはり皆私に隠し事をしているのだと裏切られた気分になった
「複雑そうな感じだが、単純に聞いてみたらどうだい?」
「そうですね」
肯定も否定もせず部屋を後にして自室へ戻った
玄関を入るのが本当は怖く、なかなか馬車から降りない事に侍女にまた小言を言われ仕方なく降りる
玄関を入ると勢いよく隣の客間から兄が飛び出して来た
「「「ベロニカ!」」」
ビクッと肩を震わせると兄は足を止め此方の様子を窺うように見てくる
「あ・・・・ベロニカ、今朝はごめんな・・・・本当に・・・・・ごめん」
シュンと肩を落とし目をウルウルさせる兄に申し訳なさが募る
「・・・・いえ、私こそごめんなさい」
もう真っすぐ見ることができず俯くと
そっと近づいて来た兄が
「違うんだ・・・・何もベロニカは悪くないんだよ」
そういって抱き留めてくれる
兄の優しい腕の中で居ると又目頭が熱くなる
「・・・・あのね、みんな私に何か隠してるでしょ?」
「・・・・なんの事?」
「わかんないの・・・・でも華祭りについてだけ皆敏感なの」
「そうかな・・・」
「そうよ!私何かしてしまったの?何があるの?お兄様教えてくださらない?」
「・・・・・知らなくていい事もあるよ」
「人がなくなっているのよね?グロリオ様って方が」
「思いだしたのかい?」
首を横に振る、思い出すとは何をなのだろう・・・記憶にあるのは踊って楽しい記憶、そして次の日熱で魘された記憶へと飛ぶ
祭りの後どうやって家に帰った?いつから熱が出始めた?考えてみたら不自然だ
「華祭り中に何があったのですか?教えてくださいお兄様!」
拒絶に近い顔で口元を引きつらせる兄の顔を見続けていた
「・・・・もういいです」
踵を返し部屋へ駆け込む
「違うんだベロニカ!待ってくれ」
振り返らず兄に背を向け部屋に逃げ込む
ドアを叩く音がするが無視をする
「ベロニカ・・・お願いだ此処を開けてくれないか?」
「・・・・何も聞きません、今朝の事も気にしなくて結構です。一人にさせていただけますか」
「ベロニカ・・・お前が居なくなってしまう」
「お兄様、私は何も覚えて居ない事に気が付きましたが誰も何も教えてくれない、居なくなると言われても判りません!そっとしておいていただけますか!」
ドア前の気配が消えたので兄は離れてくれたのだろう
侍女にも部屋に入るなと鍵を閉めた
誰も何も教えてくれないなら自分で調べるしかない、明日彼に逢いに行く前には何かしら知っておきたい
昔の自分の日記を探し読み始めるが華祭りの当日と数日間だけが破られて居た
だれが・・・・なぜ此処まで秘密にする
思い出そうにも何も頭に浮かびもしない
そういえば暗示に似た魔法で記憶をさかのぼる方法が本に載っていた気がする
そっと姿眩ませを自分にかけ書庫へ向かう途中ある部屋の前で怒鳴り声を聞いた
父の声だ、そして悲し気な母の声
私に内緒で私の話をしているのだろう、自分の事だが聞き耳を立てる気にはなれない
そっとその場を後にして書庫へ向かう
書庫には着いたので姿眩ませを解き部屋に滑り込んだ
「おや、籠城は終わったのかい?」
「義理兄様・・・・。」
まさかの人物がそこには居た
「まだネモとは結婚してないから兄は早いが嬉しいね」
笑顔で答える隣国の王子が我が家の書庫でなにしているのかしらと疑問の表情を読み取ったのか
「家族会議?らしいので追い出されちゃったんだよ、寂しい事に」
「・・・あぁ、お姉様も一緒に執務室にいらっしゃるのですね」
「皆一緒に居るの知っているの?」
先に部屋の前での声が聞こえた事を話し、会話が聞こえる前に逃げて来たと伝える
「ふーん、君の事だから聞いてきたらいいのに」
「いえ・・・・誰も聞かせたくなさそうなので自分で調べようかと思いまして」
「何を探しに?」
「魔法書を」
「私が知っている魔術なら教えてあげるよ」
「え?」
「これでも王子だから大抵の魔術は使える」
「・・・・記憶をよみがえらせたくて」
「記憶喪失?」
「ひと時の箇所が抜けているのです」
「いいか悪いか判んないが思い出したいのなら」
ふと手を翳し左耳上に近づけるとバチンと音が鳴り王子の手を弾いた
「あ、ダメだこれロックがかかっている」
「ロック?とは?」
「記憶を封印させる為のカギがかかっているんだよ、人為的な仕業だよ」
「解くには?」
「かけた人が解かないと無理だろうね負担がかかる」
「では、掛けた人物とは?」
「魔力が君の兄に似てたけど・・・違うか義理父上様だな」
「お父様が・・・・。」
やはり皆私に隠し事をしているのだと裏切られた気分になった
「複雑そうな感じだが、単純に聞いてみたらどうだい?」
「そうですね」
肯定も否定もせず部屋を後にして自室へ戻った
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