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私は魔法少女だ。半年前辺りに突如現れた小さい妖精のような生き物に「魔法少女になって悪を滅ぼすのだ!」と言われ、半強制的に怪人を倒す日々を送らされている。高校3年目で秋になり進路を決めなければならない時期なのに、週に2.3回ほど変身して怪人と戦う異質な生活が数ヶ月続いている。正直私はもう死にたいのだ。特にやりたいこともない。生きててもつまらない。魔法少女という特殊な仕事も最初は気晴らしになるかと期待していたがこれもつまらない。何故私が選ばれたのだろうか。どちらかというと怪人側に同情できてしまう。この世はくだらない。何らかの大きな災害でも起きてみんな死んでしまえばいいのに。
放課後、家に帰り部屋の天井をただぼーっと見つめていると私を魔法少女にした妖精、パメラが現れた。
「怪人が公園で子どもをさらおうとしてるパメ!今すぐ倒しに行くパメ!」
またか。怪人も飽きないな。一人の時間が欲しかった為つい舌打ちをしてしまった。パメラは「はやく!」と囃し立てる。めんどくさいな。
「はいはい。すぐ行きますよ」
早足で公園に向かうと角を生やした白髪の男が佇んでいた。横には虚ろな目をした少女が居り、2人は向き合っていた。
「怪人さんこんにちは」
私に気づいた男は無表情のまま視線を向けた。
「どうも」
「その子をどうするつもりなの?」
「別に痛い思いをさせようってつもりはないさ。僕は不純、人間の汚い心が生み出した存在でさ。この子の純粋さを少し譲ってもらおうとしただけだよ」
なるほど。子どもを養分にしようとしていた訳か。
「吸い取ったら死ぬでしょ、その子」
「まあね。でもそうしないと僕は感情を抑えられず人を殺してしまうんだよ。被害は少なくしたいんだ。怪人にも僕みたいな心を持っている者はいる。どうか見逃してくれないか。本当は人なんて傷つけたくないんだよ」
「1人を養分にして解決できるの?結局何人もの子どもを殺すでしょ、貴方は」
男は黙って下を向く。数秒の沈黙が流れた後、囁くように呟いた。
「そうだよ。そうしないと俺は……俺は……」
「申し訳ないけど見逃せない」
ポケットに忍ばせていたステッキを大きく振る。オーラが私を覆い尽くして変身が始まる。ピンクの衣装が身を包んだ。
「俺だってこんなことしたくない!!!人間のせいだ!!!人間が俺を生み出して俺を傷つけるんだよ!!!」
男は鬼のような怪物の造形に変わり、長い爪を剥き出しにする。
「醜いわね」
これが人間の感情の産物だと思うと嫌気がさす。この男は怪人になりたくてなった訳じゃない。そう思うと殺すのは完全に正義とは言いきれない気がしてしまう。私の行動は果たして正しいのだろうか。言われるがままに怪人を倒してきたがどうにも良いことをしている気分にはなれない。
「くたばれッ!」
怪人が凄まじい速さで私の元へ突進してくる。それをいとも容易く交わして後頭部を力任せに蹴る。怪人は苦痛の声を上げよろけるがすぐに体制を立て直す。
「魔法少女!お前だって分かるはずだ!俺を倒したところで怪人は常に湧き続ける!それにほとんどの元凶は人間だ!この世界は闇に満ち溢れている!そんな人間達の平和を守る為に戦って何になる!?」
無意識に歯を食いしばっていた。私だってそんなの分からない。ただ魔法少女を任せられたからやっているだけだ。正直人間のことなんてどうでもいい。だからと言ってどうすればいいかも分からない。こんな世界を守る意味も必要性も分からない。しかし「魔法少女として怪人を倒し被害を無くす」という行為が正しいと半信半疑に信じてやっている。
「そんなの知らないよ」
怪人に接近して顔を殴る。後ろによろけた所をすかさず腹を殴る。怪人はもう弱りきってとても私には勝てそうにないことが明白だった。
「どうして俺は生まれたんだ……なんでこんな目に合わなくちゃならない……?正しい存在としてありたかった……」
耳を塞ぎたくなる。頭を空っぽにして、何も考えず私は怪人を殺すべく最後の技を放つ準備をする。
「ジャッジメントパワー!」
手のひらから眩い光のレーザーが放出される。それは怪人の心臓付近を貫き大きな穴を開けた。
「ウウッ……魔法少女……忘れるな。俺達は望んでこうなった訳じゃない。生まれた瞬間からこうするしかなかったんだよ。普通でありたい欲望だってあるんだ」
怪人は光包まれ粒子となって消えていく。仕組みは不明だが怪人は毎回このようにして死亡する。
「大丈夫?」
少女に尋ねると「あれ?私……」と呟いた。
「もう夜になるし家に帰りな」
「うん!」
少女は満面の笑みを浮かべて帰って行った。
「よくやったパメ!」
パメラが意気揚々と私の前に現れて嬉しそうに喋る。
「今日も結衣かっこよかったパメ!」
「はいはい」
かっこいいからなんだ。毎回同じことばっか言われて何も思わない。
「パメラ、私は本当に正しいのかな」
怪人の言葉が忘れられずつい聞いてしまった。
「正しいパメよ!怪人は平和を脅かす存在だから結衣は間違いなく人を救ってるパメ!」
「そっか」
まあ魔法少女にさせたのだからそう言うか。聞いても無駄だった。ため息をつく。
「帰ろう」
怪人が生まれる元凶が人間であるなら悪いのは人間では無いのだろうか。それを救うべく戦っている私はなんなんだろう。何が悪で何が正義だろう?
私はどうしたい?
放課後、家に帰り部屋の天井をただぼーっと見つめていると私を魔法少女にした妖精、パメラが現れた。
「怪人が公園で子どもをさらおうとしてるパメ!今すぐ倒しに行くパメ!」
またか。怪人も飽きないな。一人の時間が欲しかった為つい舌打ちをしてしまった。パメラは「はやく!」と囃し立てる。めんどくさいな。
「はいはい。すぐ行きますよ」
早足で公園に向かうと角を生やした白髪の男が佇んでいた。横には虚ろな目をした少女が居り、2人は向き合っていた。
「怪人さんこんにちは」
私に気づいた男は無表情のまま視線を向けた。
「どうも」
「その子をどうするつもりなの?」
「別に痛い思いをさせようってつもりはないさ。僕は不純、人間の汚い心が生み出した存在でさ。この子の純粋さを少し譲ってもらおうとしただけだよ」
なるほど。子どもを養分にしようとしていた訳か。
「吸い取ったら死ぬでしょ、その子」
「まあね。でもそうしないと僕は感情を抑えられず人を殺してしまうんだよ。被害は少なくしたいんだ。怪人にも僕みたいな心を持っている者はいる。どうか見逃してくれないか。本当は人なんて傷つけたくないんだよ」
「1人を養分にして解決できるの?結局何人もの子どもを殺すでしょ、貴方は」
男は黙って下を向く。数秒の沈黙が流れた後、囁くように呟いた。
「そうだよ。そうしないと俺は……俺は……」
「申し訳ないけど見逃せない」
ポケットに忍ばせていたステッキを大きく振る。オーラが私を覆い尽くして変身が始まる。ピンクの衣装が身を包んだ。
「俺だってこんなことしたくない!!!人間のせいだ!!!人間が俺を生み出して俺を傷つけるんだよ!!!」
男は鬼のような怪物の造形に変わり、長い爪を剥き出しにする。
「醜いわね」
これが人間の感情の産物だと思うと嫌気がさす。この男は怪人になりたくてなった訳じゃない。そう思うと殺すのは完全に正義とは言いきれない気がしてしまう。私の行動は果たして正しいのだろうか。言われるがままに怪人を倒してきたがどうにも良いことをしている気分にはなれない。
「くたばれッ!」
怪人が凄まじい速さで私の元へ突進してくる。それをいとも容易く交わして後頭部を力任せに蹴る。怪人は苦痛の声を上げよろけるがすぐに体制を立て直す。
「魔法少女!お前だって分かるはずだ!俺を倒したところで怪人は常に湧き続ける!それにほとんどの元凶は人間だ!この世界は闇に満ち溢れている!そんな人間達の平和を守る為に戦って何になる!?」
無意識に歯を食いしばっていた。私だってそんなの分からない。ただ魔法少女を任せられたからやっているだけだ。正直人間のことなんてどうでもいい。だからと言ってどうすればいいかも分からない。こんな世界を守る意味も必要性も分からない。しかし「魔法少女として怪人を倒し被害を無くす」という行為が正しいと半信半疑に信じてやっている。
「そんなの知らないよ」
怪人に接近して顔を殴る。後ろによろけた所をすかさず腹を殴る。怪人はもう弱りきってとても私には勝てそうにないことが明白だった。
「どうして俺は生まれたんだ……なんでこんな目に合わなくちゃならない……?正しい存在としてありたかった……」
耳を塞ぎたくなる。頭を空っぽにして、何も考えず私は怪人を殺すべく最後の技を放つ準備をする。
「ジャッジメントパワー!」
手のひらから眩い光のレーザーが放出される。それは怪人の心臓付近を貫き大きな穴を開けた。
「ウウッ……魔法少女……忘れるな。俺達は望んでこうなった訳じゃない。生まれた瞬間からこうするしかなかったんだよ。普通でありたい欲望だってあるんだ」
怪人は光包まれ粒子となって消えていく。仕組みは不明だが怪人は毎回このようにして死亡する。
「大丈夫?」
少女に尋ねると「あれ?私……」と呟いた。
「もう夜になるし家に帰りな」
「うん!」
少女は満面の笑みを浮かべて帰って行った。
「よくやったパメ!」
パメラが意気揚々と私の前に現れて嬉しそうに喋る。
「今日も結衣かっこよかったパメ!」
「はいはい」
かっこいいからなんだ。毎回同じことばっか言われて何も思わない。
「パメラ、私は本当に正しいのかな」
怪人の言葉が忘れられずつい聞いてしまった。
「正しいパメよ!怪人は平和を脅かす存在だから結衣は間違いなく人を救ってるパメ!」
「そっか」
まあ魔法少女にさせたのだからそう言うか。聞いても無駄だった。ため息をつく。
「帰ろう」
怪人が生まれる元凶が人間であるなら悪いのは人間では無いのだろうか。それを救うべく戦っている私はなんなんだろう。何が悪で何が正義だろう?
私はどうしたい?
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