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第2章〜少年と惑星〜

ep45. 少年は感動する

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「お待たせいたしました。こちらが先ほど捕獲した生き物のでございます。ブーケガルニとクローブで獣臭を消しております。赤ワインでじっくり煮込みましたので、非常に柔らかくなっており食べやすいかと」


さぁ、さぁ、さぁ、やってきましたよ!問題のブツが!!!

どうしてくれようかね。この……プラザ?プラモ?まぁよく分からないやつ

ただ、すっっっごく手の込んだ料理ってのは理解できた


「エミリー、そのプラザだかプラモだかよく分からない料理はどういったやつなの?あと、ブーゲンビリアとかグローブって言ってたけど……凄いの入れちゃったね」

「ジェム君、プラザやプラモではなく。です。そして、ブーゲンビリアもグローブも入っておりません。です。両方とも香辛料の名前ですので、ご安心ください。それでは、プレゼについてご説明致します。プレゼというのはーーー」


それからエミリーは、ペラペラとブレゼについて説明し始めた。歴史から入るものだから恐ろしく説明が長い……


まぁ、要約すると謂わゆる『蒸し煮』の事らしい


食材の上半分は蒸して、下半分は煮るという調理法で作る料理……というか、そういう名前の調理法らしい


調理法が料理名になるって不思議な話なんだけどね

きっと、どこぞのお偉いさんが考えたものだろうから、僕の知った事じゃないけどさ


さて、早速頂きたいのですが………これ冷めちゃってない?彼女の説明の長さで冷えっ冷えになってないですかね?大丈夫???


「……なんか冷めてそうだけど、とりあえずいただきます。おっ!やっわらかいね!これナイフ要らないよ。フォークだけで十分切れる!!!」

いざ食べようとフォークとナイフを肉に入れたのは良いけど、それがあまりに柔らかかったものだから肉の繊維に沿ってホロリと崩れちゃうの

見たら分かる。これ口の中でやつや……



見た目は完璧……いや、超完璧ですよ!

なんだかワクワクしてきちゃった

よ、よし。実食するぞ。口に入れるぞ……


「さ、フォークの背に載せて……あれ?おっとっと……グラグラしてすぐ落ちちゃうな。オシャレに気取って食べたかったけど無理かぁ~」


慣れないことはしない方がいいね。恥かいちゃうよ

…………あとで練習しとこっ


妥協して、安定しやすいようにフォークの腹へ載せ、ゆっくりと口の中へ入れるとーーー


「うっっっっまぁああああい!!!!!うまっ!何これ!いやいやいや、これがあのグロテスクな肉塊っていうの!?絶対、嘘だぁ~ナイナイナイ!ありえなぁ~い!」


いや~誠に驚きでございます。動揺が隠せない。

今まで食べた料理の中で一番の美味しさ!ナンバーワン!!!!

こう言っちゃ悪いけど、お母さんの手料理より美味しい……お母さんホントごめんなさい

でも、マジで今まで食べた料理の中で1番美味しい!


肉を口に入れるじゃない?そしたら口の中に無いの

なに言ってるか意味わかんないよね。……分かる、僕でもそう思う


何て言えばいいかなぁ?……あのね、普通の肉って口の中に入れると『俺は肉だぞぉー!』って主張があるじゃない?

このブレゼの肉って、それがないの。むしろ『わ、私、肉にございます……すいません』って感じなの。すっごい控えめで、肉のくせして低姿勢なんだ

でも、噛めば噛むほど肉のは口いっぱいに広がるし、肉汁と一緒に溢れ出してくる煮汁も心地よいぐらいのフルーティさ!

それでもって、煮汁のフルーティな香りが肉の脂感を無くしてくれてるの


結論を言うと、彼女今すぐ店を出した方がいい!

まぁ、この惑星に僕ら以外居ないんだけどね~

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