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窓際のベッドで眠る彼に告げた。
「お薬の時間です。」
彼はゆっくりと目を開けると、
彼女にニコリと笑いかけた。
「おはよう」
「おはようございます。
昨日はよく眠れましたか?」
「夢を見たよ。
凄く素敵な夢を。」
「そうですか。
はい、お薬です。」
「ありがとう」
彼は貰った薬を一気に口に入れ
水を含んだ。
何となく、
それを眺めていると、
彼は目を細めて言った。
「僕、君の瞳が大好きだ」
「まぁたそれですか。
毎日言って、よく飽きませんね。」
「まぁ、本当に思ってることだしね。
いくら言ったってかまわないほどさ」
彼女は小さなため息と共に
肩をすぼめた。
彼の言葉から嘘は感じられない。
だからこそ、
その言葉の意図が理解出来ないのだ。
何故毎日同じ事ばかり言うのか、
その言葉の意味を説明しようという
意図も感じられない。
「僕は美しいものが大好きなんだ」
「………」
うっとりするような
きらきら輝く彼の瞳から目をそらすと、
彼女は言った。
「じゃあ、行きますね。」
「うん。いつもありがとう。」
病室を出る際も、
彼の静かな視線を感じる。
とある朝の
看護婦と患者との出来事だった。
「お薬の時間です。」
彼はゆっくりと目を開けると、
彼女にニコリと笑いかけた。
「おはよう」
「おはようございます。
昨日はよく眠れましたか?」
「夢を見たよ。
凄く素敵な夢を。」
「そうですか。
はい、お薬です。」
「ありがとう」
彼は貰った薬を一気に口に入れ
水を含んだ。
何となく、
それを眺めていると、
彼は目を細めて言った。
「僕、君の瞳が大好きだ」
「まぁたそれですか。
毎日言って、よく飽きませんね。」
「まぁ、本当に思ってることだしね。
いくら言ったってかまわないほどさ」
彼女は小さなため息と共に
肩をすぼめた。
彼の言葉から嘘は感じられない。
だからこそ、
その言葉の意図が理解出来ないのだ。
何故毎日同じ事ばかり言うのか、
その言葉の意味を説明しようという
意図も感じられない。
「僕は美しいものが大好きなんだ」
「………」
うっとりするような
きらきら輝く彼の瞳から目をそらすと、
彼女は言った。
「じゃあ、行きますね。」
「うん。いつもありがとう。」
病室を出る際も、
彼の静かな視線を感じる。
とある朝の
看護婦と患者との出来事だった。
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