きれいだから。

ねのん

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『出来ることなら、
 君と
 沢山の美しいものを見たかった。』

「はぁ……はぁ…」

彼女は息を切らし、
病院の屋上にいた。

ふと、彼の言葉を思い出す。

「僕、君の瞳が大好きだ」

「っ……私はっ、」

(あなたの瞳が大好きだったのに…)

ぼろぼろと涙がこぼれ落ちる。
あの
底抜けの美しさを詰め込んだような
きらきらと輝く瞳が、
ただただ好きで、
それを見つめているだけで
凄く幸せだったのだ……

喉が熱い。
声を大にして、
泣き叫びたかった。
でも、誰かに聞こえて
慰めは買うのは嫌だ。

口元を両手でおおい、
嗚咽をこぼし泣き崩れる。

爽やかな風の吹く、
とある曇天の下での出来事だった。
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