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千年王国
マーク
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薄い金茶の瞳に強い光を宿したマークは、切々と、時には溢れそうになる激情を押え乍ら、身の内に溜めた感情を吐露して行った。
「私は最初、レン様の心根の優しさに感動したのです。損得勘定を抜きにした優しさなど、私達貴族には無いものですから。その次は、すぐに誰の事でも信じてしまい、ウィリアム陛下の言う事に、コロッと騙されている様子を見て、このような無垢な方は私が御守りせねば、と思ったものです。そして、身を削って浄化をされる姿に、神は何故このような小さく可憐な人に、過酷な使命を与えたのか、と憤りを感じ、浄化で顔色を無くしたお顔を拝見して、何度涙を堪えた事か・・・」
「そうだな・・・」
「この小さくて可憐で、心優しい人には幸せになって頂きたい。その一心でお仕えしてきましたが。それが、こうも次から次へと、面倒ごとに巻き込まれ、と言うか、何故御自分で、火中に飛び込んで行ってしまわれるのか。レン様は慈愛の方ですから、苦しんでいる人々が居れば、出来る限りの事をなさろうとされる。それはもう、致し方ないと、分かってはいるのです。分かった上で、私はレン様を御守りし、愛し子としての使命を全うさせて差し上げたい。ですが、その度にレン様が傷つかれるのではないか、浄化で疲弊される姿を見る事になるのではないか、と気を揉んでしまいます」
マークの言う事は、そっくりそのまま、俺が感じている事と同じだ。
「・・・・」
「先日も、中々レン様が目を覚まされず、アウラ神の庭に留め置かれて居るのだ、と聞いたときには、思わず神を呪ってしまいそうでした」
怒ったように話すマークだが、それはレンに対する怒りではなく、身勝手な神の振る舞いと、レンが与えられた使命の困難さによるものだ。
しかしマークは、これまで自分の感情を押し殺し、これほどまで誠実にレンを想ってくれている。
それに引き換え、俺はレンの身を案じ、狼狽えた姿をマークに見せた事が何度もある。
そんな俺をマークは、不甲斐無いとは思わなかったのだろうか。
「私は・・・・レン様に悩みを聞いて頂き、何度も力になって頂きました。私の替わりに、レン様と閣下には、ロロシュを𠮟り付けて頂いた事もあります。では、レン様は?本当にレン様は、辛いと、怖いと思う事が無いのでしょうか?そんな筈有りませんよね?レン様だって人間です。どんなに神の加護を、沢山頂いていても、心は違います。それに異界の故郷から切り離された、レン様の悲しみや苦悩は、どうなるのでしょうか?」
「マーク」
「いえ。分かって居るのです。レン様には閣下がいらっしゃる。お二人は誰もが羨むほど仲睦まじくて。私の心配など、閣下がいらっしゃれば、なんの問題も無いのだと分かって居るのです。ですが・・・ですが・・・」
「マーク・・・もういい。お前の想いは俺と同じものだ。俺はな・・・嫉妬でお前を殴り飛ばした事もあるが、今は・・・お前がレンを愛してくれて、良かったと思っている」
「あ・・い?・・・愛ですか?」
「お前のそれが、愛でなくて何だというのだ?ただの忠誠心か?違うだろ?家族愛、友愛、レンの世界で言う男女の愛。まぁなんでもいい。レンもお前を大事に思っている。お前とレンの間には、番の俺とは違う、愛情の繋がりが確かにあるだろう?」
「愛・・・なのでしょうか」
「俺はそう思うし。お前がレンの傍に居てくれて良かったと思う。それはレンも同じだと思うぞ?」
「閣下・・・・・」
「レンは、俺にも中々自分の心の内を話してはくれない。それは相手を信用しているかどうかとは関係なく、自分の心の内を、言葉にするのに慣れて居ない所為なのだが・・・」
「閣下にもそうなのですか?」
「俺もな、一人で抱え込んでいては良くないだろう、と思っていたんだ。その事でレンと話し合った事もある。だが無理強いは出来んし、以前よりは話してくれるようになったと思う。しかしだ」
「しかし?」
「この前アウラの庭に留め置かれてから、レンはアウラと話をすることが増えたのだが、その内容が偶に聞こえる事があるのだ。どうやらレンは、アウラには思って居る事を、色々と話しているようでな?まぁ相手が神だから、話が通じず、諦める事もあるようなんだが。それでも、アウラはレンが居た世界の事を知っていて、その分気兼ねなく話が出来る様ではあるな。それにアウラは、レンを自分の子供として扱っているからか、レンもアウラを慕っているし、心を開いている様だな」
「そう・・・なのですか」
「俺もマークと同じで、アウラやクレイオスのやる事には腹が立つし、レンが不憫で成らない事も多い。だからこそ、俺はあの人の笑顔を護りたいと思う」
「それは、私も同じです」
「うむ。レンは丘の上でアウラから、面倒事を押し付けてすまない、と謝られたそうだ」
「そうなのですか?」
「それでな。この一件が終わったら良い事がある、とも言われたそうでな」
ウジュカを併呑出来たら。
という条件は、言わない方がいいよな?
「良い事?とは何でしょうか?」
「さあな。アウラの言う事だから、俺達にとっては、大した事では無いかも知れん。しかし、アウラがレンを大事にしている事だけは確かだ。ならば神の加護があるレンに、取り返しのつかない事は起こらない、と思いたい。勿論俺達は死力を尽くさねばならんがな?」
「閣下。そこは思いたいではなく、思うと断言して頂かないと」
しまった。
つい本音が・・・。
「はは! まぁ。そういう事だから、あまり思い詰めるな」
「そうですね。レン様を信じて、着いていく事にします」
「異界に 終わり良ければ総て良し。世は事も無し。という言葉があるそうでな? 俺は気に入って居るのだが、いい言葉だと思わ無いか?」
「終わり良ければですか・・確かに。細かい事を、クヨクヨ悩む気にはなりませんね」
「だろ? 俺達騎士は道の途中で死力を尽くし、死ぬ思いをするかもしれんが、終わりがよけれが途中の出来事は、笑い話に出来るからな」
「レン様は的確で、良い言葉を沢山ご存じですよね」
「これが異界との、文化水準の違いなんだろうな。・・・それにしてもさっきから、外が騒がしいな。物資の配給で揉めているのか?」
「・・・そういう訳では無いようですが・・・ちょっと様子を見てきます」
外に出ようとするマークが幕舎の垂れ布に手を掛けた時、布の向こうから誰かが勢いよく中に飛び込んで来た。
「うわッ」
「ヴッ!」
マークが抱きとめる形で、飛び込んで来たのは、俺の番だった。
「レン様? そんなに慌てて、どうされたのです?」
「いったぁ~~! ハッ! マークさんごめんなさい!」
「レンどうした?」
マークの腕に捕まったまま、片手で鼻を押えた番は、かなり慌てている様だった。
「アレク! 外に来て!! カルとクレイオス様が喧嘩を始めちゃって!」
「喧嘩?!」
「ドラゴンと龍が?!」
これはとんでもない事だぞ。
あいつらが本気でやりあったら、首都の魔物の群れなど目じゃない。
大陸全土が焦土と化してしまう!
「私は最初、レン様の心根の優しさに感動したのです。損得勘定を抜きにした優しさなど、私達貴族には無いものですから。その次は、すぐに誰の事でも信じてしまい、ウィリアム陛下の言う事に、コロッと騙されている様子を見て、このような無垢な方は私が御守りせねば、と思ったものです。そして、身を削って浄化をされる姿に、神は何故このような小さく可憐な人に、過酷な使命を与えたのか、と憤りを感じ、浄化で顔色を無くしたお顔を拝見して、何度涙を堪えた事か・・・」
「そうだな・・・」
「この小さくて可憐で、心優しい人には幸せになって頂きたい。その一心でお仕えしてきましたが。それが、こうも次から次へと、面倒ごとに巻き込まれ、と言うか、何故御自分で、火中に飛び込んで行ってしまわれるのか。レン様は慈愛の方ですから、苦しんでいる人々が居れば、出来る限りの事をなさろうとされる。それはもう、致し方ないと、分かってはいるのです。分かった上で、私はレン様を御守りし、愛し子としての使命を全うさせて差し上げたい。ですが、その度にレン様が傷つかれるのではないか、浄化で疲弊される姿を見る事になるのではないか、と気を揉んでしまいます」
マークの言う事は、そっくりそのまま、俺が感じている事と同じだ。
「・・・・」
「先日も、中々レン様が目を覚まされず、アウラ神の庭に留め置かれて居るのだ、と聞いたときには、思わず神を呪ってしまいそうでした」
怒ったように話すマークだが、それはレンに対する怒りではなく、身勝手な神の振る舞いと、レンが与えられた使命の困難さによるものだ。
しかしマークは、これまで自分の感情を押し殺し、これほどまで誠実にレンを想ってくれている。
それに引き換え、俺はレンの身を案じ、狼狽えた姿をマークに見せた事が何度もある。
そんな俺をマークは、不甲斐無いとは思わなかったのだろうか。
「私は・・・・レン様に悩みを聞いて頂き、何度も力になって頂きました。私の替わりに、レン様と閣下には、ロロシュを𠮟り付けて頂いた事もあります。では、レン様は?本当にレン様は、辛いと、怖いと思う事が無いのでしょうか?そんな筈有りませんよね?レン様だって人間です。どんなに神の加護を、沢山頂いていても、心は違います。それに異界の故郷から切り離された、レン様の悲しみや苦悩は、どうなるのでしょうか?」
「マーク」
「いえ。分かって居るのです。レン様には閣下がいらっしゃる。お二人は誰もが羨むほど仲睦まじくて。私の心配など、閣下がいらっしゃれば、なんの問題も無いのだと分かって居るのです。ですが・・・ですが・・・」
「マーク・・・もういい。お前の想いは俺と同じものだ。俺はな・・・嫉妬でお前を殴り飛ばした事もあるが、今は・・・お前がレンを愛してくれて、良かったと思っている」
「あ・・い?・・・愛ですか?」
「お前のそれが、愛でなくて何だというのだ?ただの忠誠心か?違うだろ?家族愛、友愛、レンの世界で言う男女の愛。まぁなんでもいい。レンもお前を大事に思っている。お前とレンの間には、番の俺とは違う、愛情の繋がりが確かにあるだろう?」
「愛・・・なのでしょうか」
「俺はそう思うし。お前がレンの傍に居てくれて良かったと思う。それはレンも同じだと思うぞ?」
「閣下・・・・・」
「レンは、俺にも中々自分の心の内を話してはくれない。それは相手を信用しているかどうかとは関係なく、自分の心の内を、言葉にするのに慣れて居ない所為なのだが・・・」
「閣下にもそうなのですか?」
「俺もな、一人で抱え込んでいては良くないだろう、と思っていたんだ。その事でレンと話し合った事もある。だが無理強いは出来んし、以前よりは話してくれるようになったと思う。しかしだ」
「しかし?」
「この前アウラの庭に留め置かれてから、レンはアウラと話をすることが増えたのだが、その内容が偶に聞こえる事があるのだ。どうやらレンは、アウラには思って居る事を、色々と話しているようでな?まぁ相手が神だから、話が通じず、諦める事もあるようなんだが。それでも、アウラはレンが居た世界の事を知っていて、その分気兼ねなく話が出来る様ではあるな。それにアウラは、レンを自分の子供として扱っているからか、レンもアウラを慕っているし、心を開いている様だな」
「そう・・・なのですか」
「俺もマークと同じで、アウラやクレイオスのやる事には腹が立つし、レンが不憫で成らない事も多い。だからこそ、俺はあの人の笑顔を護りたいと思う」
「それは、私も同じです」
「うむ。レンは丘の上でアウラから、面倒事を押し付けてすまない、と謝られたそうだ」
「そうなのですか?」
「それでな。この一件が終わったら良い事がある、とも言われたそうでな」
ウジュカを併呑出来たら。
という条件は、言わない方がいいよな?
「良い事?とは何でしょうか?」
「さあな。アウラの言う事だから、俺達にとっては、大した事では無いかも知れん。しかし、アウラがレンを大事にしている事だけは確かだ。ならば神の加護があるレンに、取り返しのつかない事は起こらない、と思いたい。勿論俺達は死力を尽くさねばならんがな?」
「閣下。そこは思いたいではなく、思うと断言して頂かないと」
しまった。
つい本音が・・・。
「はは! まぁ。そういう事だから、あまり思い詰めるな」
「そうですね。レン様を信じて、着いていく事にします」
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「うわッ」
「ヴッ!」
マークが抱きとめる形で、飛び込んで来たのは、俺の番だった。
「レン様? そんなに慌てて、どうされたのです?」
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マークの腕に捕まったまま、片手で鼻を押えた番は、かなり慌てている様だった。
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