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千年王国
アセンとリンガ
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怪訝な顔をしたアセンは、私が返事をしてしまった事で、会話を許されたと思ったらしく、話しを続けています。
「愛し子様と大公閣下の武勇は・・・なんたらかんたら」
むむむ。これは手強い。
空気を読まないタイプね。
「ウジュカの討伐と支援の・・云々・・当然我が国への支援も・・・かんぬん」
はあ?
冗談じゃない!
リアンを泣かせた相手に、なんで私が、お金を使わなくちゃいけないの?
〈本当に図々しい人ね。貴方が宮に押し掛けて来た事。忘れてないのよ?性格が顔に出るって言うけど。リアンの方が全然美人だわ。それで良くアーノルドさんを落とせると思ったわね?それに、見るからにアーノルドさんより年上よね?本気でイケると思ってるの?その根拠のない自信は、一体どこから来るの?〉
「は?何と仰っているのか全くわかりませんが?愛し子様は帝国語を、理解されておられないのでしょうか?」
「おい。不敬だぞ。愛し子様は神の御使いだ。この方の言葉を理解できないという事は、アウラ神に選ばれなかった。という事だ」
「は?・・・・しかし」
「俺達は愛し子様との会話が成り立っている。この会場に居る多くの者もそうだ。お前は神に選ばれなかった。それが全てだ。分かったら早う居ね」
アレクさんに冷たくあしらわれ、マークさん、ロロシュさん。セルゲイさんまでが前に出て、漸くアセンは下がって行きました。
私は誰かに、何かをしてもらうのが当たり前、と考えている人が苦手。と言うか嫌いです。
愛し子という立場は、万民を愛さなければならないのかも知れませんが、私には無理です。幾らアウラ様が仲良くしてくれていても、私は唯の人なんだもん。
そこで空中からぽとりと、私の手の中にチョコレートの箱が落ちてきました。
これは・・・アウラ様が慰めてくれている、って事で良いのかな?
ゴトフリーへ行った人達には、見慣れた光景ですが、他の人達にはそうではありません。
これを見て居た貴族の人達が、神の奇跡が~!と、大騒ぎになる事は避けられず、其処は御愛嬌・・・では済まない状況です。
取り合えず、チョコの箱は、ロイド様に進呈させて頂ただいて、あとは知らんぷり。でいいわよね?
「あの人が宮に押しかけて来たのって、私達に討伐と浄化をさせたかったからみたいね?」
「俺たち二人に会いたいなんて奴は、そんなものじゃないか?」
「そうよねぇ・・・でも頼み方ってありますよね?」
「だな。どの道暫くは、大会議での承認は降りないだろうし、俺達が心配してやる義理も無い。礼儀を欠いた相手なら、尚更だな」
「ほんと、それ。内状はあれだったけど、ヨーナムさんは真摯だったものね」
「ヨーナムか。あの爺さん、立ち直ったかな」
「どうでしょう。子供を亡くした親と一緒ですから、簡単にはいかないのじゃないかしら」
「ふむ。サタナスが面倒を見る、と言って居たから問題は無いだろうが」
「子守りをしてもらう約束も有るし、早く元気になってくれると良いな」
「子守り・・」
先ずは子作りからだな?
と耳元で囁かれ、顔が熱くなってしまいました。
「もう!こんなところで、恥ずかしいでしょ!」
アレクさんの腕をぺシンと叩いたら、その手を捕まえられて、指先にキスされてしまい、益々顔が熱くなってしまいます。
「俺のひめは、恥ずかしがりのままだな?」
はあ~~♡♡
もう止めて。色っぽすぎる。
まだ晩餐も始まってないのに、既に瀕死。
これ以上HP削らないで!
「お~~い。まだ行列残ってんぞ~~」
「閣下。退屈だからって、レン様を揶揄ってはいけません」
「揶揄ってない。番を愛でてるだけだ」
「信じらんねぇ。閣下のメンタル鋼かよ」
「煩いぞセルゲイ。早く次を呼べ」
「かあぁぁ~~!?」
「はいはい。次、前へ!」
一通り招待客とのご挨拶も済み、次は国内の貴族の方達です。
此方は伯爵以上の高位貴族の方々が殆どなので、ご挨拶の行列も先が見えてきました。
それに、伯父様やリアンパパ。メリオネス侯爵とマークさんの御両親のアーチャー伯夫夫。等々馴染み深い方々も多くて、助かりました。
一生終わらないかも?
と思われた挨拶ラッシュも漸く終わりを告げ、次は晩餐です。
大食堂に通された、私の右隣の席に着いたのは、フレイアのお兄さんのリンガさん、タランの王太子殿下でした。
フレイアの話しだと、異母兄弟に当たるという事でしたが、確かに飄々としたフレイアとは違い、ゴリゴリの武人って感じの人です。
別腹とは言え御兄弟なので、どことなくフレイアに似たお顔立ちですが、腕の太さとか、アレクさんといい勝負のゴリマッチョ。
叔父にあたるロイド様とも、どことなく似ている気がします。
大柄の2人に挟まれた私は、傍から見たら、更に小さく見えるようで、しかも2人とも武の人ですから、私に向けられる周囲の視線は、気の毒そうなものになって居ます。
私的には、普段から騎士団の皆と一緒に過ごしているので、こういう事には慣れっこなのですが、荒事に縁遠い王侯貴族の方達には違って見えるのかも知れませんね。
私の頭越しに交わされる、アレクさんとリンガ殿下の会話は、もっぱら魔物の討伐に関するお話で。食事の席でする会話としては、少々無粋なもの、と受け止められているようです。
「大公閣下とはこちらに居る間に、一度お手合わせをお願いしたい」
「俺はいつでも構わんぞ」
「では明後日は如何か?」
「良いだろう、場所は第2騎士団の練武場で良いな?」
「承った。これは楽しみだ」
「アレク。私も一緒に行っても良い?」
「ん?いいぞ。レンも偶には体を動かしたいだろう?」
「うん。ありがとう。リンガ殿下もよろしくお願いします」
「愛し子様に見学頂けるとは、光栄です」
「私も手合わせに参加するのですけど?」
「えっ?」
「なにか?」
「いや・・・大公閣下、宜しいのですか?」
「何がだ?」
「何がって・・・・」
「あぁ。ご心配して下さっているのですね?でも大丈夫です。私そこそこ強いので」
「は・・・はあ」
「明後日が楽しみです」
リンガ殿下は微妙な顔をなさっているけれど、彼がアレクさん程強いとは思えないから、問題は無いと思います。
私達の会話に聞き耳を立てていた、周りの人達はドン引きでしたが、私が気にする事ではありませんよね?
ふと視線を感じて目を向けると、恨みがましい視線を送って来るアセンと、目が合いました。
アセンの周りには、同じように不発に終わった、ヒラヒラ衣装を身に着けた人たちが集められていて、他の参席者の方達から、チラチラ、ヒソヒソされているようです。
ロイド様の采配なのでしょうが、これは中々きついお仕置きだと思います。
まあ、身から出た錆なので、私は何も気付かない振りで、ニッコリ笑顔を送っておきました。
でも、この後のパーティーでダンスも有るのに。こんなにあからさまな事をして良いのかしら?
アセンのあの様子だと
絶対一悶着二悶着在りそうな予感。
これは心して掛からねば!
「愛し子様と大公閣下の武勇は・・・なんたらかんたら」
むむむ。これは手強い。
空気を読まないタイプね。
「ウジュカの討伐と支援の・・云々・・当然我が国への支援も・・・かんぬん」
はあ?
冗談じゃない!
リアンを泣かせた相手に、なんで私が、お金を使わなくちゃいけないの?
〈本当に図々しい人ね。貴方が宮に押し掛けて来た事。忘れてないのよ?性格が顔に出るって言うけど。リアンの方が全然美人だわ。それで良くアーノルドさんを落とせると思ったわね?それに、見るからにアーノルドさんより年上よね?本気でイケると思ってるの?その根拠のない自信は、一体どこから来るの?〉
「は?何と仰っているのか全くわかりませんが?愛し子様は帝国語を、理解されておられないのでしょうか?」
「おい。不敬だぞ。愛し子様は神の御使いだ。この方の言葉を理解できないという事は、アウラ神に選ばれなかった。という事だ」
「は?・・・・しかし」
「俺達は愛し子様との会話が成り立っている。この会場に居る多くの者もそうだ。お前は神に選ばれなかった。それが全てだ。分かったら早う居ね」
アレクさんに冷たくあしらわれ、マークさん、ロロシュさん。セルゲイさんまでが前に出て、漸くアセンは下がって行きました。
私は誰かに、何かをしてもらうのが当たり前、と考えている人が苦手。と言うか嫌いです。
愛し子という立場は、万民を愛さなければならないのかも知れませんが、私には無理です。幾らアウラ様が仲良くしてくれていても、私は唯の人なんだもん。
そこで空中からぽとりと、私の手の中にチョコレートの箱が落ちてきました。
これは・・・アウラ様が慰めてくれている、って事で良いのかな?
ゴトフリーへ行った人達には、見慣れた光景ですが、他の人達にはそうではありません。
これを見て居た貴族の人達が、神の奇跡が~!と、大騒ぎになる事は避けられず、其処は御愛嬌・・・では済まない状況です。
取り合えず、チョコの箱は、ロイド様に進呈させて頂ただいて、あとは知らんぷり。でいいわよね?
「あの人が宮に押しかけて来たのって、私達に討伐と浄化をさせたかったからみたいね?」
「俺たち二人に会いたいなんて奴は、そんなものじゃないか?」
「そうよねぇ・・・でも頼み方ってありますよね?」
「だな。どの道暫くは、大会議での承認は降りないだろうし、俺達が心配してやる義理も無い。礼儀を欠いた相手なら、尚更だな」
「ほんと、それ。内状はあれだったけど、ヨーナムさんは真摯だったものね」
「ヨーナムか。あの爺さん、立ち直ったかな」
「どうでしょう。子供を亡くした親と一緒ですから、簡単にはいかないのじゃないかしら」
「ふむ。サタナスが面倒を見る、と言って居たから問題は無いだろうが」
「子守りをしてもらう約束も有るし、早く元気になってくれると良いな」
「子守り・・」
先ずは子作りからだな?
と耳元で囁かれ、顔が熱くなってしまいました。
「もう!こんなところで、恥ずかしいでしょ!」
アレクさんの腕をぺシンと叩いたら、その手を捕まえられて、指先にキスされてしまい、益々顔が熱くなってしまいます。
「俺のひめは、恥ずかしがりのままだな?」
はあ~~♡♡
もう止めて。色っぽすぎる。
まだ晩餐も始まってないのに、既に瀕死。
これ以上HP削らないで!
「お~~い。まだ行列残ってんぞ~~」
「閣下。退屈だからって、レン様を揶揄ってはいけません」
「揶揄ってない。番を愛でてるだけだ」
「信じらんねぇ。閣下のメンタル鋼かよ」
「煩いぞセルゲイ。早く次を呼べ」
「かあぁぁ~~!?」
「はいはい。次、前へ!」
一通り招待客とのご挨拶も済み、次は国内の貴族の方達です。
此方は伯爵以上の高位貴族の方々が殆どなので、ご挨拶の行列も先が見えてきました。
それに、伯父様やリアンパパ。メリオネス侯爵とマークさんの御両親のアーチャー伯夫夫。等々馴染み深い方々も多くて、助かりました。
一生終わらないかも?
と思われた挨拶ラッシュも漸く終わりを告げ、次は晩餐です。
大食堂に通された、私の右隣の席に着いたのは、フレイアのお兄さんのリンガさん、タランの王太子殿下でした。
フレイアの話しだと、異母兄弟に当たるという事でしたが、確かに飄々としたフレイアとは違い、ゴリゴリの武人って感じの人です。
別腹とは言え御兄弟なので、どことなくフレイアに似たお顔立ちですが、腕の太さとか、アレクさんといい勝負のゴリマッチョ。
叔父にあたるロイド様とも、どことなく似ている気がします。
大柄の2人に挟まれた私は、傍から見たら、更に小さく見えるようで、しかも2人とも武の人ですから、私に向けられる周囲の視線は、気の毒そうなものになって居ます。
私的には、普段から騎士団の皆と一緒に過ごしているので、こういう事には慣れっこなのですが、荒事に縁遠い王侯貴族の方達には違って見えるのかも知れませんね。
私の頭越しに交わされる、アレクさんとリンガ殿下の会話は、もっぱら魔物の討伐に関するお話で。食事の席でする会話としては、少々無粋なもの、と受け止められているようです。
「大公閣下とはこちらに居る間に、一度お手合わせをお願いしたい」
「俺はいつでも構わんぞ」
「では明後日は如何か?」
「良いだろう、場所は第2騎士団の練武場で良いな?」
「承った。これは楽しみだ」
「アレク。私も一緒に行っても良い?」
「ん?いいぞ。レンも偶には体を動かしたいだろう?」
「うん。ありがとう。リンガ殿下もよろしくお願いします」
「愛し子様に見学頂けるとは、光栄です」
「私も手合わせに参加するのですけど?」
「えっ?」
「なにか?」
「いや・・・大公閣下、宜しいのですか?」
「何がだ?」
「何がって・・・・」
「あぁ。ご心配して下さっているのですね?でも大丈夫です。私そこそこ強いので」
「は・・・はあ」
「明後日が楽しみです」
リンガ殿下は微妙な顔をなさっているけれど、彼がアレクさん程強いとは思えないから、問題は無いと思います。
私達の会話に聞き耳を立てていた、周りの人達はドン引きでしたが、私が気にする事ではありませんよね?
ふと視線を感じて目を向けると、恨みがましい視線を送って来るアセンと、目が合いました。
アセンの周りには、同じように不発に終わった、ヒラヒラ衣装を身に着けた人たちが集められていて、他の参席者の方達から、チラチラ、ヒソヒソされているようです。
ロイド様の采配なのでしょうが、これは中々きついお仕置きだと思います。
まあ、身から出た錆なので、私は何も気付かない振りで、ニッコリ笑顔を送っておきました。
でも、この後のパーティーでダンスも有るのに。こんなにあからさまな事をして良いのかしら?
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