獣人騎士団長の愛は、重くて甘い

こむぎダック

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千年王国

衝撃の真実

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 side・・レン


 フフ~~ン♪
 マークさんからのおっ手紙~~♪

 何が書いてあるのかなぁ?
 相変わらず几帳面で、お手本みたいに綺麗な字ね。

 そろそろ新婚旅行から戻ってくる頃だけど、2人は仲良くしてたのかしら?

 楽しい思い出が、沢山出来ていたらいいなぁ。

 ・・・まさか!?
 旅先で喧嘩して ”成田離婚?”

 いやいや。
 獣人で番同士の2人が ”成田離婚” なんてある訳無い・・・。

 って言い切れないのが、ロロシュさんなのよねぇ~。

 はぁ、本当に離婚するとか書いてあったらどうしよう。

 ドキドキしてきちゃった。

 さてさて。
 何が書いてあるのかな?

 ふむ・・・。
 ロロシュさんの冬眠対策の為に、別荘を買いに先ずは南へ向かったと・・・。

 湖近くの避暑地に、良さげな物件が見つかって、購入手続き中。

 内装その他の支度が整ったら、遊びに来て欲しい。

 成程。
 毎年冬の間、身動き取れなくなるのは困るものね。

 騎士団に来る前のロロシュさんは、冬場は南に避難して居たって聞いてたから、これは確かに必要なお買い物だわ。

 湖の別荘かぁ。
 どんな所だろう。
 マークさんが選んだところなら、きっと綺麗な所よね?

 ふふふ。
 是非伺いたい、とお返事しなくちゃね。

 あとは・・・あちこち見て回って、今はマリカムに居るのね?

 あぁ。なるほど。
 婚姻式の衣装決めで、マークさんに嫌な思いをさせたお詫びに、マリカムで真珠を買うのか。

 折角だから、超高級品を一式買わせたらいいわ。

 マークさんの髪を真珠で飾ったら、きっと似合うし、絶対綺麗だもんね。

 マリカムは直ぐ近くだから、顔を見に行こうかしら。

 イマミアの後はどこへ行くか決めて居なかったし、アメリア伯爵にもお会いしたいから、ちょうどいいかも知れない。

 これはアレクと相談ね。

 最後のページにはなにが・・・。

「はっ?! えっ?! えぇぇぇぇーーーーッ?!!!」

 ちょっと! 
 ちょっと待ってッ!!
 どういう事?!

 読み間違いかも知れない。
 一旦お茶を飲んで落ち着いて・・・。

 もう一度読み返してみよう・・・・・・。

 え~~っと・・・。

 最後に、この度、が懐妊いたしました。

 かねてよりが望んでいた事でもあり。婚姻式に合わせ、ラシルの実を彼は食しておりましたが、初めての試みで運よく子を授かる事が出来ました。

 今は妊娠初期の魔力が不安定な時期でもあり、魔力が安定するまでは、マリカムに留まり、が落ち着き次第、皇都の侯爵邸へ戻ろうと考えております。

 これまで、私とロロシュの関係にお心を砕いて頂いたレン様と閣下へ、この喜びを真っ先にお知らせするべきと、ペンを取った次第です。

 ・・・・・・云々・・・。

「うっそ!!」

 これ、読み間違いとか、書き間違いじゃないのよね?

 何度も "ロロシュが" って書いてあるもん。

 いやいや。
 おめでたい事よ?
 おめでたいけど・・・。
 なんでロロシュさんが?
 ロロシュさんがママ?

「えぇ~~~???」

 似合わない!
 まさかの受けがロロシュさん?
 マークさんが攻めなのは、想像できる。
 でも、ロロシュさんが受け?

 似合わなすぎる!! 
 他人の性癖にどうこう言う積りはないけど、イメージって大事よね?

 私の乏しいBL知識でも、ないわ~~。
 これは無い。

「さっきからどうした? マーク達は新婚旅行でも喧嘩しているのか?」

 私とは別に、急ぎの手紙に目を通していたアレクさんが、怪訝な顔で手紙を覗き込んできました。

「アレク。これ読んで?」

 差し出した手紙に目を通したアレクさんは特に驚いた様子もなく「なるほど、これは目出たい」と頷いています。

「しかし、こんなに早く懐妊するとは。二人の魔力の相性は良かったのだな」

「えっ?! そこ?!」

 感心してるけど、おかしいでしょ?
 なんとも思わないの?

「ん? レンはさっきから何に驚いているのだ?」

 手紙を片手にアレクさんは、本当に不思議そうです。

「だって、私はてっきりママになるのはマークさんだと思って」

「あ~~それでか。たしかレンの世界では、子を孕むことが出来るのは、レンと同じ性別の者だけだったな。見た目で考えれば、マークの方が母親向きではあるが、そういう事は関係ないのだぞ」

「そうなの?」

 苦笑いを浮かべながら、隣に腰を下ろしたアレクさんは、流れる様な動作で私を抱き上げ、太腿の上に乗せられました。

「ヴィースではラシルの実を食せば、誰でも子を孕むことが出来る」

「それは知ってるよ?」

「まあ、普段の営みについては互いの嗜好が優先されるが、子を設けるとなれば話は別だ。 仕事の都合や家門ごとの決まり事、本人の体調など様々な理由で、どちらが子を孕むのか決めることが出来る」

「なるほど?」

「特に貴族の場合。直系が産んだ子供にしか、継承権を与えない。という家門も多い」

「メリオネス家もそうなの?」

「いや。あの家はそういう縛りは無かったと思う。より好ましいという程度ではなかったかな。だがロロシュの特性を考えると、こうするのが最適だろう」

「ロロシュさんが、パールパイソンだから?」

 私の髪を撫でながら、アレクさんは「そうだな」と頷いています。

「パールパイソンは、番や子供に執着しない。だが自分が産んだ子に関してだけは、多少情が湧くようだ。とエーグルが話していただろ?」

「そう言えば、エーグルさんのお母さんだけは、様子を見に来てくれたって、言ってましたね」

「ロロシュの産んだ子は、メリオネス家の後継となり、広大な領地と莫大な財産を引き継ぐことになる訳だ。親の愛を知らず、人格形成に問題が出たら一大事だろ?」

「ん~~? マークさんなら、普通に愛情を注ぐと思うけど」

「マークならそうだろうな。この先ロロシュは影に潜る気でいるし、騎士団で表舞台に立つマークより、自分が産んだ方が良い、と考えたのかも知れんしな? まあ、そういう訳だから、ロロシュの妊娠を驚く必要はないのだぞ?」

「・・・因みになんだけど。アレクも私との子供を産みたいとか思う?」

 前にも聞いた事があるけど、本当なのか再確認です。
 
 私の問いに天井を見上げ、顎を摘まんで暫く考え込んだアレクさんの答えは。

「うん。有りだな」

「あ? 有りなの?」

「一応俺も子を孕むことは出来るし、可能であればレンの子を産みたい」

 衝撃の真実!!
 ロロシュさんの妊娠も衝撃だけど。
 アレクさんも出産したいだなんて・・・。
 ゴリマッチョのアレクさんが妊娠?

 全っ然!想像できない!

 彼の希望も叶えてあげたいけど・・・。 
 無理があると思う。

 でも本当に可能なら?

 魔力を混ぜるだけなら、女の私でもアレクさんを妊娠させられる?

 どうすれば良いのかしら?

 だけど女と産まれたからには、私も赤ちゃん産みたいし。

 子作りに関しては、要相談ね。

 マークさん達は、暫くマリカムに居るそうだから、イマミアの様子を確認したら、2人に会いに行こう。

 お祝いに何を贈るのかも考えなきゃ。

 だけど、この2.3日アレクさんの様子がおかしいと言うか、落ち込んでる感じがするのよね。

 何か言いたそうに、こっちを見てる事も有るし。

 どうしたのかしら?

 私、何か気に障るようなことしたかしら?

 子作りも大事だけど。
 円満な夫婦生活の為には、こっちの問題を片付けるのが先決だわね。

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