宇宙のアスドレイシア

白黒yu-ki

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第0話 プロローグ

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俺の名は佐久間竜胆さくまりんどう。今、とってもピンチなんだ!

何の素材かも分からぬ檻に入れられ、見たこともないたくさんの品物と一緒にひとつの部屋に監禁されていた。

事の始まりは20分前に遡る。
春休みを利用して田舎を旅していると、深夜の山奥でなんと、UFOを発見したのだ。

どこかの軍の乗り物という説もあるが、もしも本当に宇宙からやってきたのだとしたら、地球の文明とは一線を画す。何かの部品でもネコババすればお金持ちになれるのではと邪な考えから潜入し、搭乗員である宇宙人に見つかってこのように捕らえられてしまった訳だ。

どうにかして抜け出そうとするが、檻の形はしていても全面バリアーのようなものに包まれていて手を出す事も出来ない。

「…あかん。手も足も出ん」

数分後には諦めて不貞寝するが、突然UFOが大きく揺れた。その衝撃で物が落ち、檻の錠部分に強く当たってバリアーが消える。

俺は何事かと混乱しながらも、檻の前で散乱する宝石のような赤い石に手を伸ばしていた。何とかひとつだけ拾い上げる事に成功し、懐に仕舞い込もうとした直後、天井部分に亀裂が走った。気圧の関係かこの部屋にあったものはどんどんと吸い込まれていく。その僅か数秒後、UFOは完全に崩壊した。

俺の眼下には惑星があった。しかしそれは見知った地球ではなく、全く別の星…。驚いた俺は思わず手に持っていた石を手離してしまった。石は俺の口の中に入ってしまい、思わず飲み込んでしまう。

宇宙空間に放り出された?

放射能は?

俺はこのまま死んでしまう?

一瞬でたくさんの感情が湧き上がる。

「オ…俺は金持ちになって楽な生活を送るんだ…こんなとこで死んでたまるかよ…!」

死の恐怖よりも突然の理不尽さに苛立ちを募らせて俺は叫ぶ。

それと同時に赤白い光の帯が俺を包み込む。帯は俺の胸から放出され、宇宙空間という場にいながらも息苦しさから解放された。

「胸に…さっき飲み込んでしまった石が埋め込まれてる…?」

5センチ程の小さな石が、そこにあった。宇宙空間という環境下で生きながらえている理由は分からないが、この石が関係しているのは間違いなさそうだ。

背後で光が走る。
振り向くとUFOが完全に爆散していた。あの爆発では宇宙人も生きてはいないだろう。

俺は再び眼下の惑星を見下ろす。
重力に引かれ、徐々に大陸の形も見てとれるようになる。やはり地球とは違う。

思わずワクワクした。

「…そうだ、この星で地球にはないものを集めよう! それを持ち帰った時、俺は億万長者だ!」

決意を固めた俺は惑星に飛び込んだ。
大気があり、眼下には雲が広がっている。それらの雲はどんどんと背後に走り、物凄いスピードで自分が落下しているのが分かる。

「く…ぐにに…風の抵抗が…強い…」

俺の見えている大地は大自然が広がっている。高度な文化的建物は見当たらなかった。この星に大金になりそうなものが存在するのか心配になったが、俺を横切った生物を見て思わずワクワクが再燃した。

体に炎を纏った地球では決して見る事の出来ない生物、火の鳥…。体長10メートルはあろうかという巨大な火の鳥は優雅に羽ばたき、天空へと消えていった。

…この世界にはまだ見ぬロマンが溢れている。







まぁ、それよりも先にどうやって着地するのか早急に対策をしなければならない。この落下スピードであれば30秒もあれば確実に地面に叩きつけられるだろう。そうなればロマンを求めるどころじゃない。

俺は両手を広げて少しずつ落下方向を調節していく。正面に見える大木に落ちる事ができれば葉や枝がクッションとなって衝撃を最小限に抑えれるだろう。最善であるかは分からないが、何もしないよりはずっとマシだ。体が石のように硬くなれば無事に済むかもしれないが、そんな事は不可能だろう。

そんな事を考えていると突然目の前に…いや、網膜内に何かが映し出された。

『身体硬化の科学を実行します』

胸に埋め込まれた赤い石が光り、体を硬質化していく。肌の色は黒く変色し、状況を把握できず、混乱する自身のすぐ目の前に大木が迫っていた。衝撃緩和のクッションになれば…と考えていたが大木の木々に突っ込んだ体の痛みは微塵も感じられなかった。それどころか大地に背中から落ちてしまったが、その痛みさえもなかったのだ。

これは胸の赤い石の力なのだろうか。宇宙の科学力なら、自分の理解が及ばない現象を引き起こしても不思議はない。この石を使いこなせればどんな危機も脱する事ができるかもしれない。

「やったぜ」

自分のサクセスストーリーを妄想し、テンションを上げる。体は硬質化したままなので、大の字になって空を見上げている状態のままだが…。

硬化解除をイメージすると『身体硬化の科学を解除します』と網膜内にメッセージが流れた。そして体の自由を取り戻した俺は立ち上がって周囲を見渡す。天空から見た感じ、どこかの山の中に落ちてきたようだ。近くに大きな街のような建造物は見当たらなかったので、まずはこの星にどんな生物が存在するか把握したい。宇宙人が存在したのでこの星にも人がいるかもしれないが、いないかもしれないのだ。

俺は意識を集中させる。

『この星の生命体の検索科学を実行します』

自分のいる場所から半径5キロ、10キロ、50キロと範囲を広げていく。その時点で引っかかった生命体は野生の動物ばかりだ。勿論地球にいるような動物とは違う。似たような種もいたが、それでもやはり地球とは違うのだと実感した。

検索を続け、南に65キロの地点に人間の住む街を発見した。見た目は地球人と変わらない。

「まずはそこを目指すか」

最初の目的地は決まった。

俺の…佐久間竜胆の夢と希望に満ち溢れた冒険記が今、始まったのだ。
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