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2024年4月10日 新宿Azzitto

ヒミツノアト

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あの日、秘密を打ち明けたこと
君は後悔しているだろうか
渡り廊下の向こうから近付いてくる上履きの音
すれ違うたび言葉をくれた
君の視線が好きだった

あの日、秘密を打ち明けたこと
僕は後悔しているだろうか
僕らしくあることと、君らしくいてくれること
天秤にかけて生きるのならば
隣に居られる日々がいい

君がいない毎日は、風に吹かれて倒れそうで
明るかった日差しの色も
白いだけの絵の具みたいだ

君と読んだ本の一節も
全力で逃げた先生の顔も
泣いて笑って怒った日々も
繋ぎ止めてはくれなかった
何も伝えてはくれなかった

同じになんてなれなくていい
それでも側にいてくれるなら
綱渡りだった僕の空に
根を張る場所を与えてくれた

同じになんてなれなくていい
何度だって謝るから
あの日のことを忘れてほしい
みっともなくて、情けないけれど

大事なことは1つでいい
形なんてどうでもいいから

嗚呼、また君に会いたい
それだけが、僕の願い
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