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姪と僕とのグルメ事件簿
第14話「姪と僕と、ほうれん草とスーパーファンデーション」
しおりを挟む【プロローグ:味噌の香りと、秘密の肌】
「おじちゃん、きょうの味噌汁、なんかへんだった」
日曜の朝、ひかりが言ったのは、昨日スーパーのフードコーナーで食べた「無料試食:ほうれん草の味噌汁」のことだった。
「しょっぱくて……なんか、くすりのあじした!」
ぼく、高城真(33歳・弁護士)は、ひかりとともに週末の買い物帰りだった。試食販売員は化粧の濃い女性で、笑顔がぎこちなかったのを覚えている。
だが、その味噌汁を飲んだあと、販売ブースにいた男性が倒れ、病院に運ばれた──「顔が真っ白になって、気を失ってた」と通報があった。
【第一幕:スーパーマーケットの影】
事件のあったスーパー「ミナト・マート」では、年に一度の“地産地消フェア”を開催中だった。
問題の味噌汁は、地元農家のほうれん草を使った「特製・無添加だし仕立て」。だが、倒れた男性・堂本は、化学アレルギーの持病があり、「化粧品のある成分」に強く反応していた。
「味噌汁にファンデーションなんて、入れるわけが……」と店側は否定。
だが、試食ブースの紙ナプキンに、微量のミネラルパウダー系ファンデーションの成分が検出された。
「ねえ、おじちゃん。あのひとの顔、きのうとちがったよ」
姫の観察は鋭い。彼女が言う“あのひと”とは、味噌汁を配っていた女性販売員・庄司麻子。
実は、彼女は昨日の午前と午後で「顔の質感」が変わっていたという。
【第二幕:化粧と迷彩と正体】
庄司麻子は化粧品メーカー「ナチュリファイン」の販売員。スーパーでは試食担当に“応援”として派遣されていた。
だが実は、午後から出ていた庄司麻子は「双子の妹」だったことが判明。
本来出る予定だった姉が、当日急遽体調不良で倒れ、代わりに“妹”の涼子が化粧だけ整えてブースに立った──味噌汁の出汁も継続使用し、誰も気づかなかったのだ。
しかし、涼子は普段「舞台用の重ね塗りメイク」をしていたため、知らず知らずに味噌汁をよそう動作の中でファンデーションが落ち、具に混ざってしまった。
「つまり……“化粧崩れ”が、アレルギーの原因か」
「うん!だっておみそしるのふちに、きらきらしてた!」
姫の指摘で、容器のふちに残っていた“微細な光沢粒子”が重要な証拠になった。
【第三幕:ほうれん草の誤解と、姫の味覚】
後日、堂本は無事退院したが、化粧品成分の検出に驚いた。
事件性はなく、過失による微量混入と判断されたが、姫の鋭い“味覚”と観察は、ぼくの調査の何歩も先を行っていた。
「やっぱり、“ほうれん草の味”って、ちゃんとわかるとちがうよね」
ひかりは、配られた全種類の味噌汁の中で、“本物の無添加”と“変な味”の区別を味だけでしていた。
「ファンデーションって、おみそしるにいれるものじゃないでしょー」
ぼくは笑いながら、言った。
「でもな、ひかり。見た目を整えようとすると、つい“余計なもの”が入るんだ。法も味噌汁も、余計な混ざりものには注意しないとな」
【エピローグ:「しっかり味見、正しく判断」】
スーパーでは“試食中の衛生管理”を強化することに。
ひかりは、事件後もスーパーの味噌汁試飲コーナーにこっそり通い、毎回コメントを記録する“味ノート”をつけ始めた。
「おじちゃん、これが“証拠”ね!」
彼女のノートには、こう書かれていた。
「ほんとうの味は、あじじゃない。うそをまぜない、しんじつのスープ」
ぼくはその言葉を、弁護士バッジの裏にこっそり書き写した。
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