【完】姪と僕とのグルメ事件簿【ミステリーオムニバスシリーズ1～4】

すしネタ探偵！シャリの上にも三年

【第8巻：いくらが泣いた日〜寿司屋とヒマワリと保育園児〜】

昼下がりの「グルグル寿司本店」——
いつもどおりのネタ回し……かと思いきや。

「イサキちゃん、事件や！」

「またかいな、今度は何や。わさびが脱走でもしたん？」

「ちがう！いくらが泣いてんねん！！」

「……寿司が情緒不安定ってどういうことや！？」

事の発端は、人気メニュー「極上いくら軍艦」が突然のクレーム対応。

「いくらが……泣いていたんです……！」

そう証言したのは、近所の保育園の年長さん（6）。
園の遠足で来ていた彼は、涙ぐみながら「いくらしゃんが、しょぼんってしたの……」と語る。

「新ジャンル：感受性共鳴型ミステリー爆誕やん」

店内を調べてみると、問題の「いくら軍艦」に異変が。

──いつもより、つやがない。

──ひとつだけ、プチッとつぶれている。

──その上に、ヒマワリの種が乗っていた。

「いや、誰やヒマワリ育てとんの！！」

さらに混乱を呼ぶのが、目撃証言。

・「保育園の子が『これママのいくらににてる！』って言ってた」
・「ヒマワリの種をポッケにいっぱい入れてた子がいた」
・「いくらに“あかちゃん言葉”で語りかけてた園児がいた」

「なんでみんな、寿司をペット扱いすんねん！！」

真相はこうだった——

園児・ハルトくん（6）が、ママのお弁当に「いくらとヒマワリの種」を詰めていた過去を思い出し、
つい、自分で軍艦の上にヒマワリの種をトッピングしてしまった。

その結果、いくらが潰れた＆異物混入クレームへ。

「ママの味を再現したかったんや……いくらが、ぼくのヒーローだから……」

「いくらがヒーロー！？海のヒーローはサケやろ普通！！」

園児の悪気ない行動とわかり、苦笑いで事件は収束。

だがその後、グルグル寿司では新メニューが誕生する——

「お子さま限定！ヒーローいくら軍艦（ヒマワリの種風ふりかけ付き）」

そして店の前には、ヒマワリが咲いたプランターが並ぶ。

店長・エビテンが涙ながらに叫ぶ。

「ネタの裏には！保育のドラマがあんだよ！！」

「うまいこと言うてるけどな、それ、寿司関係あるか！？」

「イサキちゃん」

「ん？」

「俺も、将来は……ヒーローいくらになりたい」

「それはな、ただの寿司ネタや」

事件は解決、心にほのかなヒマワリの香りを残して。

すしネタ探偵、次回もツッコミのシャリで世界を救う！