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すしネタ探偵!シャリの上にも三年
【最終巻・前編 大トロの向こう側】
しおりを挟むある日、『グルグル寿司』のまかないメニューに「特上・大トロ丼」が登場した。
「今日の目玉は大トロやで、平っち!」とイサキちゃんがニッコリ笑う。
「え、大トロ!? この前の給料日よりテンション上がるやつやん!」
平っちはすでに口が“醤油の用意できてます”状態だった。
しかし、その日、寿司屋に異変が起こる。回転レーンの上に、大トロの札だけが置かれ、肝心のネタが一貫も出てこない。
「なにこれ、見せトロ? バーチャル大トロ? 未来寿司先取りしてんの?」
「ちゃうちゃう、あんたのそのボケの方が未来行き過ぎとるわ」
イサキちゃんが軽快にツッコんだところで、店長・エビテンがやってきた。
「シャリに米がねえ! 今朝、米の納品が止まっちまったんだよ!」
「え、なにそれ、寿司屋の最終奥義“ネタだけ出し”が発動するやつ?」
「というか寿司屋で米切れって、焼肉屋で牛抜き、ラーメン屋でスープなしやん」
「そ、それぐらいヤベェってことだ!」
調べてみると、グループ全体の仕入れで米の仕入れ価格が高騰、その余波で配送トラックも遅れているらしい。
その混乱の中、裏口に置かれていたはずの「特上・大トロ」20人前分が忽然と消えた。
「大トロ……盗まれたんか!?」
平っちは事件の香りに鼻をピクリと動かした。
「シャリがなければ、ネタだけを狙うやつもおるちゅーことか」
「もしかして犯人は、米の値段が高くて家計が苦しい自炊大学生とか……?」
そこへ、レジ前に現れたのは釣り竿とベスト姿の中年男性。
「すまん、大トロ……あの、わしの釣ったやつ、知らんかね?」
「え、釣った!? え、大トロって海におるん? 渓流釣りで??」
「いや、最近の渓流は冷凍マグロも流れてくる時代でな……」
「流れてくるかぁー! 清流なめんな! てか渓流マグロって何やねん!」
釣り人の名は鱒岡(ますおか)。趣味が高じて魚を店に卸す個人漁師だった。今回、特別に納品を請け負っていたという。
「確かにワシがさっきここに20人前置いたが……その後、見当たらんのや」
そこへ、グルグル寿司の監視カメラに映った謎の人物。
緑の渓流ジャケット、釣り用ウェーダー、そして背中に“大トロ命”と筆文字で書かれたのぼり旗。
「なんやあれ!? 釣り界の美食ハンター!?」
「いやあれ、どう見ても大トロだけのために転生してきた系主人公や!」
ここにきて、事件の核心が見え始めた。
「つまり、この“大トロ泥棒”……犯人は、釣り仲間に紛れた、寿司店に恨みを持つ人物や!」
平っちはそう叫ぶと、シャリの上に立ち上がった(実際はメニューボード)。
「米がない? いや、俺の推理は炊き立てだぜ!」
「誰がうまいこと言え言うた! シャリが冷めとるぞ!」
果たして、大トロはどこへ消えたのか? そして、“大トロ命”の男の正体は!?
後編に続く──。
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