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リベンジマリッジ
【最終話 さようなら、そして5000万、こんにちは】
しおりを挟むその日、天気は快晴。洗濯物もカラッと乾く陽気の中、希美はベランダに新たな標語をぶら下げた。
《最後に笑うのは、証拠を集めた者》
「太陽って偉いよね~。何もかもを明るみにするんだもん」
リビングでは、和真が青ざめた顔でスマホをにらんでいる。今朝もまた、“浮気 ばれたくない”で検索していた。
「最近、希美の笑顔が怖いんだよな……あれ絶対、ただの笑顔じゃない……」
そしてそのとき、ついにそれは届いた。郵便ポストに封筒一通。
中身は弁護士からの内容証明と、びっしり詰まった写真データ──浮気相手とのラブホテル出入り、手をつなぐ瞬間、そして社内メールの転送。
差出人はもちろん、希美。
和真は震えた。「……えっ、いや、これって……も、もしかして本気のやつ?」
そこに、希美が麦茶を持って登場。
「飲む?それとも……真実の味、見る?」
テーブルの上には、ついに現れた“浮気完全証拠ファイル”。そして付箋付きで一言添えてある。
《浮気の代償、計5000万、諸費用別》
和真は頭を抱えた。
「ちょ、ちょっと待って、これって……嘘だよな!? 冗談だったじゃん、ずっと!」
「え?あれ全部本気だけど?」
希美は笑顔で麦茶を飲み干す。
「でもね、私も大人だからさ。話し合いはちゃんとするよ。大トロ食べながらね」
「えっ、寿司!? この状況で!?」
「うん、最後くらいちゃんと“ネタ”揃えたくて」
連れてこられたのは、回らない高級寿司店。
板前が「大トロ、炙りで」と差し出すと、希美はにっこり。
「人生も炙ったほうが、脂の乗りが違うってね」
和真は箸を持つ手が震える中、希美は静かに口を開いた。
「じゃ、いただきます。──あなたの人生、今日でおしまいです」
その後の会話は、ほぼ一方的な“公開処刑”だった。
証拠の提示、浮気の経緯、社内不倫の報告義務、そして慰謝料請求。
希美は終始ニコニコしながら話し、和真は寿司のネタも喉を通らず、まるで生けるトロ。
「ちなみに佐倉さんにも請求してあるから、安心して。公平が大事よね」
「うわああああああああっ!!」
和真、絶叫。
希美は席を立ち、最後に一言。
「5000万、現金が無理なら、腎臓で分割払いでもいいよ」
その笑顔は、女神というよりは、復讐の化身だった。
──数ヶ月後。
離婚は成立し、和真は会社を退職。佐倉も左遷。世間体も信用もすべて失った。
そして希美はというと……
あるカフェで、赤ん坊を抱きながらミルクをあげていた。
「……いい子ね。ママ、いっぱい笑ったから、もう泣かないよ」
スマホのニュースにはこう出ていた。
《話題の“笑って復讐主婦”に学ぶ、離婚戦略》
希美は画面を見て小さく笑う。
「人生は、笑ったもん勝ち」
そう言って、カフェの奥で赤ん坊と手をつないだ。
──リベンジマリッジ、これにて完結!
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