【完】姪と僕とのグルメ事件簿【ミステリーオムニバスシリーズ1~4】

国府知里

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リベンジマリッジ

【第三話 愛してるけど、浮気は罰金5000万円です】

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 翌朝。希美は、洗濯物を畳みながら「もし私が国なら、夫は余裕で関税対象ね」と口ずさむ。

 ベランダでは、干されたシャツの間に手作りの標語プレートが揺れている。

《誠実第一。裏切り二級品。返品不可。》

「風通しのいい関係って、こういうことでしょ?」と満足げ。

 和真はというと、朝食の味噌汁をすすりながら、そわそわしている。

「なあ希美、この間の弁当、部長にめっちゃ見られてさ……」

「“誠実”の文字、見やすかったでしょ?」

「見やすすぎたわ!しかも“NO浮気”の卵焼き、部長が写メ撮ってたぞ」

「SNS映え狙ったの♡」

(やっぱり……絶対バレてるよな……でも笑ってるし……いや、でも……)

 そんな中、希美は書類を一枚、和真の前に差し出す。

「ねえ、ちょっと見てくれる?」

「なにこれ……?えっ、これって……“浮気に関する罰金契約書”?」

 タイトル:『愛と誠実の約束書(違反時ペナルティ:5000万円)』

 本文:
 1.浮気をした場合、希美に対し五千万円を支払うこと。
 2.浮気の定義は、心身いずれかの接触を含む親密行為。
 3.言い訳は禁止。泣いても無効。

「ちょ、ちょっと待て……これは冗談だよな!?」

「もちろんよ~、冗談に決まってるじゃない。ねえ、印鑑持ってきて♡」

 冗談……だよな?いや、でも、朱肉の位置がリアルすぎる……!

(怖い!怖すぎる!なのに……笑ってるのが逆に怖い!)

 希美はフフッと微笑みながら続ける。

「大丈夫よ、やましいことがなければ、書けるでしょ?」

「えっ……う、うん……ないよ!ないってば!」

(やばい、手が震えて印鑑押せない……!)

 その夜。

 希美は久々に大学時代の友人とオンライン飲み会。画面越しの友人たちに、今の様子を話す。

「でね、この間“浮気封じ弁当”に“罰金契約書”。もう、楽しくて仕方ないの!」

「いや、あんたサイコパスの陽キャか!」「え、てか旦那逃げないの?」

「逃げる?あの人、今や私の機嫌を取ることで手一杯。寿司屋の皿回すより必死よ」

 和真はリビングで、スマホにこっそり“夫 浮気 誤魔化し方”と打ち込む手を止め、画面を盗み見る。

「……笑ってる。俺の話で……盛り上がってる……」

 それを背中で感じながら、希美はひとりごちる。

「次はどんな“冗談”にしようかしら~。お楽しみに♪」

 そして復讐ノートには、こう記された。

《第三フェーズ:笑顔で罰金契約。夫、震えながら自白準備中》

 次回、「愛の賞味期限、切れかけてます」──バレないように笑いながら、お楽しみに!


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