【完】姪と僕とのグルメ事件簿【ミステリーオムニバスシリーズ1~4】

国府知里

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リベンジマリッジ

【第二話 うす皮一枚のプライド】

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 翌朝、希美はキッチンでフルーツヨーグルトを丁寧に盛りながら、鼻歌まじりに思う。

「人生って、スイーツの下にワサビが隠れてるときがあるよね~」

 昨夜、ニンニク臭でダウン寸前の和真は、寝言で「もうしません」を3回唱えていた。もちろん録音済み。

「ボイスメモって、時に法より強いのよ」

 そんな妻の内心を知る由もなく、和真は出勤準備中。ネクタイが見つからないと騒いでいる。

「希美~!ネクタイどこ~?」

「タンスの左の引き出し、いや、あなたのプライドの下よ♡」

「どこやねん!ってかそれ、探しにくいにも程があるわ!」

 言いつつ、和真は笑ってる。

(なーんだ、ギャグか……やっぱバレてないよな)

 バレてない、と思い込んでくれる。それが今は大事。希美はニコッと微笑んで、朝食を差し出す。

「はい、特製!“浮気封じ弁当”」

「なにそれ怖っ!てか、マジでネーミングやばくない?」

 中を開けると、ご飯の上に刻んだ昆布で“誠実”の文字。ハート型の卵焼きには「NO浮気」とケチャップ。

「これ、会社で開けるの恥ずかしいからやめて……」

「うふふ、愛のこもった冗談よ♪」

(え、ギャグだよね?……だよな?)

 希美は「いってらっしゃい」の笑顔で送り出し、そのままPC前へ。画面には、浮気調査ファイルとアクセス履歴。

「さて、次は“パソコン履歴で夫の心を読む”って回よ」

 夫の検索履歴:
 ・「不倫 バレた 兆候」
 ・「にんにく 消臭方法」
 ・「バレてる 寝言 怖い」

「うん、バレてるって自覚あるじゃない。素直なところは評価する」

 希美、紅茶をすする。

「問題は、自覚しても浮気をやめないところね……って、続ける気かーい!」

 自分で突っ込みながら、思わず笑ってしまう。

 その日の夕方。

 玄関で待ち構えていた希美は、帰宅した和真に紙袋を手渡す。

「これ、新しいスーツ。着てみて!」

 和真が戸惑いながら試着室に入ると、スーツの内ポケットには小さな札が。

《うす皮一枚のプライド、剥がれかけ注意。》

「うおお、呪いのタグか!?っていうかまた怖いジョークきたー!」

 和真の背後から、にっこり微笑む希美の声。

「そのうす皮、どこで剥がれるかは……運次第よ♡」

(だ、だよな……ギャグだよな……?)

 希美はその夜、胎教BGMの『戦場のメリークリスマス』を流しながら、復讐ノートにこう記した。

《第二フェーズ『うす皮一枚攻撃』進行中。対象、自滅モード突入済み》

 次回、「愛してるけど、浮気は罰金五千万円です」──ご期待ください!


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