【完】Nurture ずっと二人で ~ サッカー硬派男子 × おっとり地味子のゆっくり育むピュア恋~【ブルーモーメントオムニバス1~2&5】

国府知里

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【シリーズ1】Nurture ずっと二人で ~ サッカー硬派男子 × おっとり地味子のゆっくり育むピュア恋~

【19 初めてのお弁当(まこ)】

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 あんなに早起きしたのに、結局バタバタになっちっゃた!


 出来上がったお弁当を保冷バッグに詰めて、私は急いで玄関を飛び出した。



「まこ、気を付けてね!」


「はあい、いってきます!」



 キックオフは十時から。


 急いでグラウンドに向かうと、すでにフェンスの周りにはうちの学校の応援とS高校の応援とで人だかりが来ていた。



「まこ、こっちこっち!」


「あんたが一番最後ってどうなのよ」


「ご、ごめん~っ」



 折り畳みベンチでしっかりと場所を陣取っているせなちゃんと麻衣ちゃんが手招きしている。


 私の名前が入っている席の隣にそれぞれ二人が座っている。


 私もいそいで、自分の席について、グラウンドを見つめた。


 ピーッと開始を知らせるホイッスルが鳴る。


 それぞれのチームがコートに集まり、挨拶ののちすぐにキックオフ。


 ついに試合が始まった!


 序盤、ボールは互いの選手が奪い奪われして、どちらも攻めあぐねている。


 お互いにお互いの戦略を研究し尽くしているからだ。


 予想通り、八代くんにはふたりのマークがびったり張り付いている。



「あ、あれじゃパスが通らないよ……」


「大丈夫、あのくらいで抑え込まれる八代くんじゃないよ」



 麻衣ちゃんが力強くいった。


 そ、そうだよね、みんなの力を信じよう……!


 けれど、どちらのチームの決定打なく、前半戦が終了。


 チームにも苛立ちが見えてきた。


 せなちゃんがめずらしく口を出す。



「S校の10番、新田くんのプレイスタイルが似てるね。あれはやりづらいね」


「浜岡敬くんだよね。そう、新田くんと体型もポジションもよく似てる。


 多分、お互いに考えていることも分かるんだろうね。


 そういう相手って、やりにくいんだ」



 麻衣ちゃんは相手チームの主要選手の情報も把握していた。


 なるほど……。


 そうだよね、サッカーはチーム戦。


 自分のチームの構成はもちろん大事だけれど、相手チームの構成や戦略によって、試合は全然変わってくる。


 休憩の間、監督とコーチの周りで、部員たちが話を聞いている。


 新田くんは汗を拭きながら、真剣な目でうなづいている。



「後半、押して行けッ!」


「おおっ!」



 気合の入った掛け声とともに、新田くんたちが再びコートに走っていく。


 がんばれ……、がんばれ、新田くん……!


 祈りながら見つめていると、チームの動きが変った。


 選手を前に上げて、より攻撃的な形になっている。



「いけ、いけっ!」


「走れ、山西~っ!」


「奪えっ、井口!」



 部員たちの声掛けもより頻繁になって、激しい熱気を帯びている。


 試合が動き出した!


 チームメイトのつないだパスが、新田くんのもとへ。


 それを読んでいたかのように、いつの間にか八代くんがガードを交わして前へ。


 まるで、サッカーのお手本のようなアシストからのシュ―トがみごとに決まった。


 ――わぁっ!


 グラウンドに歓声が響く。


 八代くんが派手にガッツポーズを決めて、そこへ新田くんや他のメンバーが駆け寄る。



「おらぁっ、もう一本いくぞッ!」


「おうっ!」



 気合を新たにゲームが再開する。


 しかし、一点入れられたS校も黙っていない。


 先制点を取られてことで、闘争心に火がついたように攻めに転じた。


 再びお互いにボールの奪い合いになり、試合は膠着状態に。


 でも、このまま一点を守り切れば勝ち……。


 でも、サッカーは最期まで何が起こるかわからない。








 後半戦も中盤を過ぎ、S校チームに強い焦りの色が見える。


 S校の監督が大声で指示を出しているけれど、なかなかパスが回らない。


 焦りや苛立ちが募って、集中力が切れかけている。


 そのとき、八代くんが突然駆け出し、ボールを奪いに行った。


 誰もがその動きに注視していたはずのエースストライカー。


 それなのに、その時は誰も予想していなかったのか、八代くんの素早い動きに、コートのいた全員が大きく動揺した。


 集中力を欠いていたところにさらに意表をつかれた選手の足元から、まるで餌を奪い取る鷹のように八代くんがボールをさらった。



「きゃああっ!」



 その鮮やかなプレイに、女の子たちの歓声が最大音量で響き渡った。


 そのまま八代くんが前へ駆け出す。


 S校の選手たちはまるで一拍遅れているみたいな動きだった。


 ――誰も追いつけない……!


 誰もが夢中で八代くんの姿を目で追いかける。


 そのとき、八代くんに合わせたように、ゴールを狙える位置にいたのは、新田くんだった!


 すかさず八代くんがパス。


 まるでプロみたいな速攻の連携プレー。


 新田くんの右足が放ったシュートが、ゴールネットに突き刺さった!


 わあああっ、と響く歓声。


 私も麻衣ちゃんも、いつもは座りきりのせなちゃんまでもが立ち上がり、声を上げていた。


 麻衣ちゃんが大声を上げて、両手を高く振った。



「きゃあああっ、やった! すごい! すごいよ!」


「うんっ、やったね!」


「ふわぁ~……、今のはやばいわ~……」



 手を振ると、コートの中の新田くんがこっちに向かってガッツポーズをしてくれた。


 新田くん……!


 やったね、すごいよ!


 すごく、かっこいい!


 試合はそのまま2対0で、勝利!


 みごとにインハイの雪辱を晴らすことができた。


 すごく胸が熱い。


 ワールドカップを見ているときみたいに感動してる。


 新田くん、すばらしい試合を見せてくれてありがとう!


 大好き!


 だいすき……!




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