【完】Nurture ずっと二人で ~ サッカー硬派男子 × おっとり地味子のゆっくり育むピュア恋~【ブルーモーメントオムニバス1~2&5】

国府知里

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【シリーズ2】あの日君とみた空はこんなにも届かない

【第15章 卒業式の日】

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 卒業式。
 優菜が迎えたかったはずのこの日。

 三月の朝は、少し肌寒いけれど、どこか春の気配を含んでいた。校門をくぐると、花壇にはパンジーが並び、体育館の前には卒業式を祝う垂れ幕が掲げられている。

 俺たち三年生の最後の日。

 この日が来ることを、ずっとどこかで怖がっていた気がする。優菜と一緒に過ごすはずだった高校生活の終わりが、静かに近づいていた。

 式が始まる前、教室でクラスメイトと顔を合わせる。蓮が「なんだよ、その顔、泣くなよ」なんて言って笑ってきたけど、その目も少し赤かった。

「泣かねーよ、ばか」

 そう返して、俺も笑った。たぶん、俺たちは皆、同じ気持ちだったんだと思う。嬉しさと寂しさと、不安と期待がぐちゃぐちゃに混ざったような、なんとも言えない感情。

 体育館に向かうと、保護者の席には母の姿も見えた。目が合うと、にこっと笑ってくれた。兄貴も来てくれてるらしい。家族に支えられてここまで来たんだな、としみじみ思う。

 卒業証書を受け取るとき、担任の先生が小さく「よく頑張ったな」と声をかけてくれた。

 ああ、本当に終わるんだ。

 式が終わり、校舎に戻る途中。渡り廊下の窓から見える空が、透き通るように青かった。優菜が好きだった、あの空だ。

 優菜。俺、ちゃんと卒業するよ。

 君がいたから、ここまで歩いてこれた。

 放課後、校庭の隅で一人空を見上げた。どこまでも広がる空。その向こうに、君がいる気がした。

「見てる?俺、ちゃんと前を向いてるよ」

 そっとポケットから、小さな手紙を取り出す。あの日、病室で渡された、優菜からの手紙。

『智くんへ。
 もしこれを読んでるなら、きっと卒業式の日だね。おめでとう。最後まで、ちゃんと歩いてくれてありがとう。
 私、智くんに出会えて、ほんとうに幸せだったよ。
 これから先も、ずっと応援してる。
 たとえ姿が見えなくても、私はずっと、空のどこかで見てるから。

 大好きだよ。
 優菜より』

 読みながら、涙がぽろぽろと頬を伝っていく。

 でも、それはあの頃のような悲しみだけの涙じゃなかった。あたたかくて、優しくて、愛おしい涙だった。

 いつかまた、どこかで会えると信じてる。その日まで、俺は精一杯、生きる。

 空に向かって、静かに手を振った。

「ありがとう、優菜」

 そして俺は、未来へ歩き出した。


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